おさんぽ大好き ④
「メイド、原稿料が入ったぞ」
「わ〜いでございます」
「久しぶりに寿司でも食べるか?」
「あいっ! 出前を頼みましょう」
「ん、許す」
「わ〜い、わ〜い、おっ寿司、おっ寿司」
ピンポ〜ン……。
ワンワン、ワンワン、ワンワン……。
「毎度、つるかめ寿司でーす」
「あいあ〜い、ただいま」
「ずいぶんとご無沙汰でやしたね。今日は何か特別の日っすか?」
ワンワン、ワンワン、ワンワン……。
「五月様の原稿料が入ったのでございます」
「それはようございやした。そいじゃ、毎度っす」
「ご苦労様でした」
パタン……。
「五月様、お寿司参りましたでございますよ」
「ん」
「濃いめのお茶、おいれしますね」
「ん」
「おっ寿司、おっ寿司、甘エビ、いくら、ほたて、と〜ろ」
「ん」
「豪華です」
「ん、ん?」
「ん?」
「チロは?」
「チロさんならそこに……お、おりません!」
「どこ行ったんだ」
「まさか……」
ドタバタ、バタドタ……バタン!
「チロー、チロー」
「チロちゃ〜ん、どこ行きましたぁ〜」
「チーロー」
チロさん脱走です。
五月先生とめいとさんは真っ青です。
「へい、チロお待ち」
「お寿司屋さん」
「あっしについてきてやした」
「あ〜、良かったです。ありがとうございました」
その日から、チロさんはお散歩が大好きになりました。




