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おさんぽ大好き ③

 そもそも、なぜチロさんが〈ぽ〉に反応するようになったかと申しますと、それはめいとさんのせいなのです。

 その前に、チロさん、鳴かないワンコだけでなく動かないワンコでもありました。

 シュシュを首輪代わりに練習した甲斐もなく、お散歩デビューでは一歩も歩きませんでした。


「メイドさん、今日もお散歩抱っこかい?」


 なんて、ご近所さんに冷やかされていました。

 それが、今では〈ぽ〉だけで行く気満々になるのですから。

 きっかけは……何だったでしょう?

 いつの間にかめいとさんを引っ張るくらいに走るようになりました。


「チーちゃん、そんなに走ってはいけません。わたくしより前に出てはいけないのでございますよ」


 あ、めいとさんこけた。

 とまぁ、こんな具合に。


 動かないチロさんだった頃、何とかお散歩するよう促すために、めいとさんはいろんなことをしてみました。

 ボールやほねで外まで誘導したり、長〜いリードで自由に動けるようにしたり、ワンコが集まる公園に連れて行ってみたり。

 しかし、どれもダメでした。

 お散歩ができるようになるどころか、ストレスなのかアレルギーなのか、しきりに体を掻くようになってしまいました。

 またまたヨシミ先生のお世話に。

 皮膚が弱いという診断で、ほねのガムと公園にダメ出しをされてしまいました。


「チロ、散歩はどうだ?」

「チーちゃん、お散歩行きましょう」


 五月先生が声をかけても、めいとさんが声をかけても無理でした。


「チーロさん、お散歩行きましょ、おっさんぽ♪ ぽっぽっぽっぽ、おっさんぽぉ〜♪」


 挙げ句の果てにめいとさん、お散歩の歌を作ってしまいました。

 この歌の〈ぽっぽっぽっぽ〉の部分がいけなかったようです。

 手を抜いて〈ぽっぽっぽっぽ〉だけを調子よく歌っていたら、いつの間にか〈ぽ〉に反応するチロさんになってしまいましたとさ。


 あ、きっかけはお寿司屋さんでした。

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