甘えん坊ワンコ ③
めいとさんの後をついて行かなかったチロさん、お客様の膝の上にいます。
「人に慣れてますね」
「どうもすみません。足を崩してお楽にしてください」
「女の子ですね」
チロさん、五月先生が何度どかしても、オオムラさんの膝に戻ってしまうのです。
「甘えん坊さんだ」
めいとさんが紅茶を持ってきました。
「お持たせで失礼ですが、どうぞ」
「恐れ入ります。いただきます」
「このバムクーフェン、今とっても人気があるのですよね」
「バム?」
「メイド、それを言うならバームクーヘンだろ?」
「はい。バムクーフェンです」
「……」
「メイドはちと横文字に弱いのです」
「あ、はははは」
「五月様っ! 原稿でございますっ!」
「あ、はは、すみません」
チロさん、オオムラさんの膝の上でテーブルに手を掛け、バム……いえ、バームクーヘンのにおいをくんくん嗅いでいます。
「チロさん、ダメですよ。チョコレートは食べられません」
めいとさん、チロさんを抱き上げました。
チロさん、おとなしく抱かれましたが、目がとっても残念そうです。
「お話が終わるまで、わたくしのお部屋へいっていましょうね。失礼いたします」
めいとさん、チロさんを抱えて自分の部屋に入っていきました。
片方の手には紅茶も持っています。
こぼさないようにゆっくり部屋に入ると、お客様と五月先生に出した倍の大きさのバームクーヘンがありました。
「さ、いただきましょ。チロさんはダメですよ」
モグモグ、モグモグ………。
「ふふ、おいし♪」




