鳴かないワンコ ②
「たっだいっまでぇ〜す」
めいとさんがお買い物から帰ってきました。
「あ、いいところで……」
チリチリチリーン、チリチリチリーン……。
「あ〜ん、五月様ずるい。わたくしもチーちゃんと遊びます」
「トイレさせたついでに少し相手してただけだ」
「ホントでございますか?」
「もうお疲れのようだよ。タオルで巣作りしてる」
「あん、つまんないです……」
「起きたら遊んでもらえ」
ホリホリ、ホリホリ……コテッ!
チロさん、おやすみなさい。
「ふぁーん。私も夕飯まで少し寝る」
「お好きにどうぞです」
五月先生、おやすみなさい。
スー、ピー、スー、ピー……。
クカー、グググ……。
「さてと、お夕飯の下ごしらえは出来ましたっと。一息つきましょう」
スー、ピー、スー、ピー……。
クカー、グググ……。
〈……五月様、チロさんの隣でゴロ寝ですか。ちょっかい出していなかったでしょうね?〉
クカー、グッ。
〈ふふ、チロさん、気持ち良さそうに寝ています〉
スー、ピー、スー、ピー……。
〈うっ……ううう……触りたい。……肉球、触りたい〉
こらこらめいとさん、いたずらしてはいけませんよ。
チュピチュピ、チュパ、チュピ……。
チロさん口を動かして、母犬のおっぱい飲んでる夢でも見ているのでしょうか。
〈に、肉球……〉