おもちゃきらい ②
待合室では、アメショーの猫ちゃんが診療を待っています。
もうひとり、別の飼主さんも座っていました。
今日は受付に、若いお姉さんがいます。
「入院中の五月チロちゃんですね、お呼びするまで少々お待ちください」
五月先生は持ってきた単行本を、めいとさんはワンコのひとみを読みながら待ちます。
ヨシミ先生は優しいだけではありません。
診察がとても丁寧で、この辺りの飼主さんたちに評判が良いです。
獣医はヨシミ先生ひとりなので、いつもけっこう混んでいます。
アメショーちゃんは健康診断に来たようです。
三十分ほど待ちました。
「お待たせしました」
ヨシミ先生がチロさんを連れて出てきました。
チロさん、先生にしがみついています。
カウンターに下ろすと、背中を丸くして頼りな気にお座りしました。
めいとさんが近づくと、自分からめいとさんの肩に手を乗せ、抱きつきました。
「昨日の夜からご飯を食べるようになり、今朝、ウ◯チもしました。人の動きにも反応しますし、しがみつく力も強いです。今日はおうちに帰ってみましょう」
チロさん、ヨシミ先生の言う通り、めいとさんにしっかりしがみついています。
「しばらく様子を見ていただいて、もしまた気になることがあれば連れて来てください」
「よかったですね。今日は帰れますよ」
「ありがとうございました」
思わぬ出費でしたが、これでひとまず安心です。
帰り道のおふたりは、とってもうれしそうです。
ヨシミ先生から、問題がなければ次は狂犬病の注射と、役所への登録に来るように言われました。
それまでお散歩はさせてはいけません。
めいとさんは連れて来たときと同じタオルにチロさんをくるんで、抱っこしています。
チロさんはまあるいひとみでめいとさんを見つめ、顔を近づけためいとさんの鼻先をペロリと舐めました。
「鼻舐められました!」
「ふふ、なめられてるな」
「あい……ん?」




