ワンコの新生活 ②
ワンコが来たら、一日二日は、家に慣れるためにあまり構ってはいけません。
ワンコが自ら動き回るまで、そっとしておきましょう。
本にも書かれていますし、ペットショップでも言われたことです。
ここ五月家では、五月先生とめいとさんのほうがワンコの周りをソワソワと動き回っています。
ワンコはハウスの中でじっとしていますが、これでは落ち着いて眠れませんよね。
「また突ついてるのか?」
「突ついてなんかおりません。見ているだけです」
「そっとしといてやれ」
「そういう五月様だって、気になって見にいらしたのではないのですか?」
「いや……私はコーヒーを……」
「さっきおかわりしたばかりではございませんか」
「いや……ちょっとおやつを……」
「もうすぐお夕飯ですよ」
「……そっか……」
ワンコはハウスの中で寝ています。
五月先生とめいとさん、お夕飯を食べています。
「出てこないな」
「出てきませんね」
「水は飲んだか?」
「いえ、飲んでないと思います」
「あのまま明日まで寝るのかな?」
「どうでしょう……」
ワンコ、ハウスの中で丸まっています。
目は閉じていますが、熟睡しているようには見えません。
ときどき、背中がプルプルっと震えます。
「寒いのでしょうか?」
「そうなのかな?」
「バスタオル掛けてあげましょうか……」
「そうだな。ちゃんと寝床作ってやるといいかもな」
めいとさん、お風呂場から花柄のバスタオルを持ってきました。
「それ、お前のお気に入りだろ。いいのか?」
「大丈夫です。五月様に新しいの買っていただきますから」
「か、買わんぞ」
「冗談でございます。決めておりました。これはワンコにあげるんです」
ワンコ、愛されていますね。