ワンコ来ました ④
めいとさん、あまりにワンコがプルプルしているので、カウンターに下ろしてあげました。
ワンコは背中を丸くして小さくなり、うつむいてしまいました。
五月先生、改めてめいとさんに尋ねました。
「で、どうなんだ?」
「う〜」
「ビビッときたか?」
「う〜」
めいとさん、なかなか返事をしません。
この子には、ビビッとこなかったのですかね。
「連れて帰ります!」
ふぇ? あ、ビビッときていたようです。
「いいのか?」
「はい、この子はうちの子です。うちに来たいと言っています」
「いや、言ってはいないだろ」
「そう思ってるはずです!」
「わかった。連れて帰りますので手続きをお願いします」
「はい。かしこまりました」
十三万円とお安くても、立派な血統書付きです。
飼主の変更届を書いたり、犬舎の登録をしたり、ペットショップの会員証を作ったり。
この子、本名をレナちゃんといいます。
小型犬の発情期は年二回あり、一度に二、三匹を産みます。
最初の出産の子たちにはすべてAから始まる名前を付けます。
二度目の出産の子たちにはBから始まる名前を。
レナの頭文字はLなので、十二回目の出産の子ということになります。
ブリーダーさんにお手紙を書くと喜ばれるようです。
「ワクチン注射はもう済んでいますが、先ほどの獣医さんで狂犬病の注射をしていただいてください」
「役所にも届けないといけないですよね」
「それもお願いすれば獣医さんが手続きしてくださいます」
「それはありがたい」
「お散歩はしていいんですか?」
「狂犬病の注射のあとが良いかもしれません。それも獣医さんにご相談してみてください」
めいとさん残念。
お散歩はもう少し先ですね。