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序章 記憶
まだまだ未熟者ですので、アドバイス感想その他お待ちしておりますorz
お盆の季節。
電車の外の風景は、田舎そのものだった。田んぼがあり、山があり――
懐かしい風景だ。自然と、笑みが浮かんでくる。
電車を降り、道を行く。一歩、また一歩と歩くたびに、あの頃の情景が思い浮かんでくる。
『別に、忙しいなら、帰ってこなくてもいいのよ?』
数日前、電話で母がそう言っていたのを思い出す。
『いいの。私が、帰りたいの』
この景色を、この空気を、忘れないように。
あの記憶を。あの夏の思い出を。たまには呼び起こさないと、叱られてしまいそうで。
夏風が頬をかすめ、遠くから祭り囃子が聞こえ、自然と心がわくわくする。
今年からお盆にも祭りを開催するという情報は聞いていた。すでに友達と約束はしているので、行くのが楽しみだ。その前にまず、実家へ寄らなければ。
「……」
小さく、息を吐く。
家までの道のりは、駅から少しある。
昔のことを思い出しながら、私は歩くことにした。