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甲斐風林火山組決起集会!

作者: ミスター

この小説は「日の本のお殿様」(好評連載中)の五円玉様から戴いたお話「通算百話記念! 大独眼竜決起集会」の続編というか…主役を武田に変えたバージョンです。


そちらを読んでいなくても問題無く内容は分かります。


ただまぁ、そっちも読んでいただけると嬉しいです。ってお話です。


五円玉様から正式な依頼を受けて…っていうと大袈裟ですね。


「書いて」って言われたので書きました。


史実は踏まえてますよ。

奥州で独眼竜組が決起集会を開いているころ、甲斐国の躑躅ヶ崎館でも集会が開かれていた。


全国的に名の知れた極道集団、甲斐風林火山組の決起集会だ。


躑躅ヶ崎館は甲斐風林火山組の本拠地である。


「つーか、晴信と独眼竜が同じ時代設定とかどーよ?しかも決起集会とかモロ被り~って感じぃ。もっと頭捻って物語考えろ~。チョーウケルー」


この身長が中途半端に低い金髪オールバックの男は武田義信。


甲斐風林火山組総長の武田晴信の実の息子。


だがしかしBUT、全く敬意を持っていない。


その証拠に実の父親を「晴信」と呼び捨てにした。


「おい義信!父上様と呼べと何回も言っただろ!それとそういう小説の裏面に触れるんじゃない!」


怒りを抑えて息子を注意する総長の武田晴信。


「あははは!父上様とか自分で恥ずかしくないの~?ウケルー!」


怒るな…こらえるんだ晴信よ…。


ここでキレたら後世にはやたら家臣に厳しくハゲとしか伝わらない気がするんだ!


晴信は自分に言い聞かせ、すんでの所で怒りをしまい込んだ。


「お前、何でさっきからコギャルみたいな話し方してんの?」


怒りを押し殺して出た言葉がこれ。


「コギャルとか死語~!」


義信のこの言葉が晴信を怒らせた。


「黙って聞いてれば調子に乗りやがって!貴様には俺の後は継がせない!」


「おいそりゃ無いぜ?何故だ!?」


「自分の胸に聞いてみろ!」


「何故だ?こっそり謀反企んでたのがバレたとか?いや、有り得ないだろ…。明智ミッツ秀著書の『レッツ謀反!~そして本能寺へ~究極の裏切り教えます』を何度も読んだからそれはない。…はっ!もしかして、晴信俺の髪の毛が羨ましいから?」


「……義信お前、東光寺から出てくるな」


こうして、義信は東光寺に幽閉された。





さて、気を取り直して。


「では、集会に入るぞ!今日集まってもらったのは他でもない北陸毘沙門天組のことだ」


北陸毘沙門天組とは、甲斐風林火山組と長年対立している上杉謙信率いる極道集団である。


「事の発端は俺らが村上義清に勝ったことだよな~」


嬉しそうに語る晴信。


晴信が義清を攻め領地(しまを奪った。

その結果北陸毘沙門天組に逃げ込んだ。


それ以来毘沙門天組と風林火山組は敵対しているのだ。


「片や欲望のままに領地(しまを広げようと戦う男。片や自分に欲は無くただ人を助けるために戦う男。大丈夫!正義は勝ちます!」


そう言ったのは山本勘助。


体が不自由だが、持ち前のヤマカンで数々の修羅場をくぐり抜けてきた風林火山組のブレーンである。


「おい待て!それだとこちらが負けることに…。第一、極道に正義はいらねーよ。俺は謙信の正義ぶった所が嫌いなんだよ!極道のくせして総長の趣味が募金とボランティア、将来の目標は子供たちが笑って暮らせる世の中を作ることってのは納得できねー!」


「まさに神のようなお方ですな~!」


「…お前さ、やたら上杉の肩持つけど、まさか内通してないだろうな?」


「まさか!いくらワシの弟が毘沙門天組に所属してるからって裏切ったりはしませんよ~。そんな疑いかけられたら責任感じてタイマンのとき自ら敵に突っ込んじゃいますよ?」


「お前弟いたの?しかも毘沙門天組とは…。実在しないくせにやりよるな!」


「あー?何だとこら?誰が実在しないって?」


「ひー!ごめんなさい!」


勘助の剣幕に、晴信は謝るしかなかった。


「ふっ…。あの虎がワシに頭を下げた。これでワシも皆に権力を示したな」


「それ違う人の逸話です!」


勘助の言葉に突っ込みを入れた家臣だった。




「全く会議が進まんな…。ところで昌信。今日は喋らないがどうしたんだ?」


晴信は、いつも真っ先に作戦を提案してくれる高坂昌信がずっと黙っていることに気付いた。


「…あなたが悪いのですよ」


その目には、明らかな憎しみが込められていた。


さらに言葉を続ける昌信。


「あなたが浮気したりしなければ…こんなことには…!この変態!男好き!ショタコン!」


昌信は走り去って行った。


「…あとで、謝罪文書こう…」


落ち込んだ晴信。


「え…?総長まさか、昌信と付き合って…?」


「俺は昌信と結婚したい!愛があれば性別の壁など…!」


「この変態!」


家臣にまで叫ばれて、総長としての威厳が地に落ちたころ馬場信房から戦法についての提案が出た。


「総長!キツツキ戦法なんてどうでしょう?」


「キツツキ戦法?どんな戦法だ?」


晴信は信房の話に食いついた。


「はい。キツツキを大量に捕まえてきて手懐け、敵をつつかせてビックリさせる作戦です!」


「却下」


迷わず却下した晴信。


それに異議を唱える男がいた。


山本勘助その人である。


「な、なんで却下すんですか!?信房さんのキツツキ戦法素晴らしいじゃないですか!背後からこっそり近づいて敵を驚かし、退却した敵に総攻撃を仕掛けるっていうキツツキ戦法いいと思いますよ」


「待て待て!信房の説明と全然違ったぞ!」


「まぁ総長が却下というなら仕方ない…」


「話を聞けー!その作戦なら採用だ!」


晴信のその言葉を聞いて笑顔になった信房。


「いや半ば勘助の案だったぞ!?何でお前が笑顔なんだ?」


それでも笑顔のままだった。




「いよいよ川中島にて宿敵北陸毘沙門天組とのタイマンを張る!お前ら!本気出して行けよ!」


喝を入れた晴信。


「今回こそ戦うんですよね?前3回みたいに河原でにらめっこはゴメンですよ!」


実は過去に3回川中島で甲斐風林火山組と北陸毘沙門天組の勢力抗争が行われたことがある。


その全てが睨み合いだけで終わっていた。


「今回は仕掛ける!甲斐風林火山組の恐ろしさ見せてやるぞ!作戦はキツツキ戦法で頼む」


「いや、頼むっていうかあの…」


部下を配置し、さあこれからタイマンだというときに、部下の1人が晴信の後ろを指差した。


「謙信が一対一でタイマン張ろうとか言って、もうそこにいるんです」


部下の言葉をきき、ゆっくり首を後ろに向けた。


そこには、宿敵北陸毘沙門天組の総長、上杉謙信が立っていた。


「おい晴信。貴様も男なら一対一から逃げないよな?」


「ふん。俺は逃げない。ただ、女のお前は俺から逃げることになるだろうけどな!」


「…その説は止めてくれ」


素で落ち込んだ謙信。

謙信に向かって「お前女だろ」的な言葉は禁忌。


言ってしまったほうが心から反省してしまうくらい落ち込む。


だから今晴信も謝っているのだ。


「あの…ごめん。いや、そんなに落ち込むとは…」


「いやいいんだ…。お前は敵。敵の弱点を衝くのは正しい戦い方だ…。これは苦戦しそうだ…」


「いや…この状態のお前倒しても…。半ば倒しちゃったし…」


「ふっ…。私を侮るでない!勝負だ晴信!ルールは簡単。『敵に塩を送る』の逸話で、お互いが相手に送ったものを先に1キロ食べた方が勝ちだ!」


まさかのタイマンじゃないだと!?


しかし、晴信が突っ込みたい場所はそこではなかった。


「お互いが送ったものというと…。お前塩じゃん!止めとけよ!脳卒中とかで死ぬぞ?」


「多分大丈夫だ!そして晴信。お前が食べるのは…」


俺が食うもの?


俺が塩のお返しに謙信に送ったものって…。確か、塩留の…。


あ…。


「待て!完全に乗せられるとこだった…。その条件だと俺剣食べることになっちゃうじゃねーかよ!どこのマジシャンだよ!嫌だろ!極道の総長がマジック披露するビックリ人間だったら!」


「良かった…。断ってくれなかったら私も塩1キロ食べることになってたよ…。さすがに喉乾く…」


「心配するとこが喉乾くこと!?」


しばらくお互いの出方を見ていた二人だったが…。


やはり謙信が仕掛けた。


「ええい!今度こそ最後の勝負といこうぞ晴信!」


「二回戦目にして『今度こそ最後の勝負』とはちと違和感があるがよかろう!さあ来い謙信!」


睨み合う二人。


拳を構える晴信。

頭に光が当たり、輝いたときに謙信が行動に出た。


「今回はこの酒を先に飲み干した方が勝ち!」


「…簡単じゃないか。かつて毎日のように宴会をしていた俺にその条件とは。いい度胸だ」


「毎日宴会?働けニート!」


そう言ってる間に、謙信の部下が大きな酒樽を2つ持ってきた。


最初からこっちで勝負する気だったんじゃないかと思う程準備がいい。


それを見て、さすがに晴信の表情が変わった。


「…これ、全部飲むの?」


酒樽の大きさ的に、1人では絶対無理と思われる量であった。


「怖じ気づいたか!では勝負!残さず飲めよ!」


この謙信の言葉を合図に、酒を飲み始めた二人。


しかし…。

威勢がいいのは最初だけだった。


30分後…。


「けんしーん。おつまみちょうらーい」


「えちごめーぶつかはしらんがえだまめをあげよう」


もうただの飲み会。


二人とも酔いつぶれていた。

呂律が回っていない。


「あっはっは。ボランティアたのしそうじゃないか!」


「おー。はるのぶもやる?」


「やりたいなー」




時は流れ勝負開始から1時間半。


二人の大量の酒樽はお互いに底をつきかけていた。


「お?さいごのいっぱい…」


「なごりおしいがここまでか…。では…」


お互いに酒を酌み交わし…。


「かんぱーい!」


二人同時に飲み終えた。


と、同時に眠ってしまい後の記憶は無い。


翌朝。


「頭痛い…。はっ…!ここは?謙信は?川中島は?」


頭をさすりながら目を覚ました晴信は何故かベッドの上だった。


「はぁ~。覚えてないんですか。総長が寝ちゃうから運んできたんですよ。毘沙門天組を潰すどころか妙に楽しそうでしたよ!」


「…覚えてない。で、謙信は?」


「向こうの部下が連れ帰って行きました」


「まだ生きているのか…。もう一度!必ずタイマンでやつを潰す!」


この出来事が第五回川中島の戦いを招いたのかどうかは定かではない。




その後しばらく、第五回川中島の戦いも睨み合いに終わった後、晴信は病に倒れた。


「俺が死んだら、亡骸は諏訪湖に…。そして3年は俺の死を隠せ。風林火山組のためだ…」

枕元にいた部下の真田幸村に晴信が言った。


「は~い!言い換えれば、総長の死体は無造作に諏訪湖にぶん投げとけばいいってことですね」


「はっ!?俺が湖に浮いてたらそれはそれで事件じゃねーか!」


「あ…そうか。総長脂肪が多いから浮いちゃって隠せませんね。死ぬ前に筋トレして頑張って沈んでください」


「…大往生を前にしてるやつに言う言葉かそれ?沈むのがセルフサービスって…」


これが晴信最後の言葉になった。


幸村は、その後すぐに死を隠そうと奔走した。


テレビCMで「武田晴信はこれから3年間は生き続けてます。皆さんの心の中では永遠に生きてます」という告知を流したりした。


しかし、すぐにバレた。


「あれ~?なんでだろ?」


「明らかに不自然なんだよ!」


首を傾げる幸村に天界から突っ込んだ晴信。


そして幸村は一言。


「悪霊退散」


「幸村貴様っ!」

勘助の「他の人の逸話」は秀吉と家康の逸話をもとにしました。


史実+ギャグがこんなに難しいとは…。



今回は意識してセリフを増やしてみました。


五円玉様の「通算百話記念! 大独眼竜決起集会」がそんな感じだったので…。



逸話も多く取り入れてみましたがどうでしょう?


因みに、武田信玄ではなく武田晴信としたのは紛れも無く「殿といっしょ」の影響です(笑)


では、甲斐風林火山組と北陸毘沙門天組が永遠のライバルであることを願って…。


「日の本のお殿様」大好評連載中!


宣伝で終わります。

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