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愛なき子

作者: 中里しのぶ

私は、自分の子供が嫌いだ。自分で生んだ子だが可愛くない。私自身子供が嫌いであったが、よりによってこの子の父がどこかに消えてしまったのだから、なおさら可愛くない。嫌いだ。消えてしまった人の子をどう愛したらいいものか。愛せまい。


そろそろいいだろうか、幼稚園まで子を迎えにいく。一日の中で、この時間と朝送りにいく時間が、私は死ぬほど嫌いだ。あの子と家族と思われるこの時間が。今日もまたそれだ、憂鬱。そこに着くと、独りぼっちになった子が先生と一緒にいた。


「あのう、何度も言うんですが、もう少し早く来ていただけませんか。みのるくん、お母さんを待ってていつも独りになっちゃうんです。」

「はい....」

「聞いてますか?」

「はい」

「みのるくんがどんな気持ちで待ってると思ってるか考えたことありますか」


考えるわけない。だがある程度はわかる。独りになって孤独を味わっているんだろうと。そうでなかったら私はわざと遅れてはこない。早く嫌われているのに気付いてほしい。そして孤独を味わって欲しい。この世に自分独りしかいないのだという悲しきことを。



だがあの子はそのことにまだ気付いていない。そしてあの先生も。よくもまぁ、お世辞にも可愛いとはいえないこの子のために、私にお説教するものだ。若いのに感心してしまう。一体、不細工なこの子の、どこに思ってあげられるところがあるのか。私には全く理解できない。いっそのこと、あんたが親になったらいいのに。


「とにかく、次からは早く来てあげて下さいね」


そんなこと聞くはずもなく、なにも言わず立ち去った。


家に着くと、軽い屋根から水が垂れる音がした。雨が降り始めた。確か洗濯物を出したままだった。自分のだけとりこもう。枯れ草の並ぶ寂しいベランダに出た。ぼろのベランダだが、それなりの高さはある。そう、落ちたら即死で、グシャと音をたて頭が割れ脳みそが飛び散り、辺りには血やはみ出た臓器目玉脳みそが・・・・いい死に方はしない。

あの子もいつかああなるといいのに。そしたら楽なのに。

毎日毎日、あの嫌な顔を見ないですむ。死んだらいいのに。きっとあいつが居なくなれば、この不幸から逃げ出せる。


あいつが生まれてからいいことが起きたためしがない。生まれたのを知って父親は逃げ出し、両親からは勘当され嫌というほど罵声を浴びせられた。それだけでなく会社を首になった。おかげで金がなくなった。昼も夜も関係なしに働いた。それでも生きていくにはやっとで、自分のような女が行くところにも彷徨った。子供を堕ろすこともあった。やめようと思っても生きるためには仕方がなかった。あいつが居なかったらこんな目にはあわなかった。あいつさえ生まれてこなかったら....

あいつが死んだら元に戻れる。

あいつは悪魔だ、殺さなきゃ。そう思った。

気付いたらベランダでナイフを握り締めていた。目の前には悪魔がいる。手が自然と前に出た。その時、ふっと時間が止まった。止まったのではなくゆっくりに見えた。よく交通事故でその時はゆっくりに見えたというあれだ。

強い風が吹いたのだろう、体がフェンスに向かって倒れていく。

フェンスはもろかった。

私はそのまま地面に叩きつけられた。痛い、身体全体が痛い。まだ意識はある、生きているのか。仰向けのまま動けない。目線の先に、自分が落ちたベランダが見える。

なにか動いている。暗い中に時折光る物が見えた。自分の手にナイフがなかった。

ないと気付くか気付かぬかの刹那、

光が堕ちてきた。ゆっくりだった時間が元に戻った。


私はラクになったのだろうか



ベランダから風のようなわらい声が聞こえた。








途中でホラーを書いているはずがなにを書いているのか分からなくなってしまった、駄作でございます。が、とりあえず完成させなくては気持ちが悪いので完成させたのですが、どうでしょうか。誰が一番愛されていなかったのか、わかっていただけたら書いたかいがあったかなと。ホラになっていなければいいなぁ

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