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探索者協会物語  作者: 最近


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《第013号探索隊・戦闘行動記録(音声ログ)》




ログID:NEXXXX-0507-PM1030-1100

記録元:第一階層隣接異界『パレルノ山』奥地

第013号『モラン無敵隊』:魔導書端末内・音声ログ



■音声記録(記録状態:自動録音/術式補正あり/一部ノイズ混入)


無敵王:

「喰らえやヘビ野郎! こいつで一丁上がりってな!」


(※打撃音。巨体が倒れる衝撃、地響き)


ガイン:

「流石です、リーダー。爆撃槍の準備してたんですが、無駄になっちまいました」


無敵王:

「ふーっはっは! この俺の『無敵防壁』の前には蛇の王も形無しってか! ま、新人は偉大なリーダーを見て学ぶことだな!」


シーラム:

「いやなんか独自技っぽく言ってますけど、標準呪術の『霧の防壁』三枚重ねにしてるだけでしょ。俺もできますからねそんくらい」


無敵王:

「ふふん。この練度、この集中を維持しながら戦士としても一流というのが後衛術士との大きな違いだ。いいか? 大抵のダメージは半減の半減の半減だぞ? ここまでやれば前衛の壁としてはほぼ隙なし。ルハーナの治癒さえ大して必要ないくらいだ」


ガイン:

「いやー、前衛の訓練しながらリーダーみたいに呪術の勉強とか、やってらんないっすよ。俺には向いてないっつうか。でもガチで無敵なのはすごいっす」


無敵王:

「だろ? 尊敬しろよこの無敵王様をよ」


シーラム:

「っつっても無敵は大げさでしょ。なんか弱点とかないんですか?」


無敵王:

「そうだな。視界に依存した邪視、音声呪文、物理エネルギー、これらは『霧の防壁』の中で彷徨い、その威力を半減させる。大抵の初見殺しは見られただけで発動する邪視だからな。レアケースの聴覚邪視とか触覚邪視も、大抵は呪文や物理攻撃との複合。想定外の未知がやってくることなんてごく稀だから、基本は無敵だ」


シーラム:

「安全神話じゃないっすか。崩壊しても知らないですよ俺」


無敵王:

「やかましい。そんなもん恐れてたら何もできん。探索者はある程度の備えをしたら一歩を踏み出さなきゃ始まらんだろうが。新人も入れて、東方無敵隊改めモラン無敵隊として再出発したんだぞ。気合入れろ! 不安なんざ投げ捨てちまえ! そら、牙と呪石だけ取ったらさっさと行くぞ。隊列はさっきと同じだ。歩け歩け!」


(※移動する足音。しばしの沈黙)


ルハーナ:

「でもびっくりですよ。正直言って半信半疑でしたけど、本当にパレルノ山って夜の方が楽なんですね。ムテキオウさんとシーラムさんが調子いいとはいえ、さんざん脅された蛇の王があんなにあっさりと……」


無敵王:

「なんだよ信じてなかったのかよ。明確にヤバいのは単眼巨人と蛇の王の二種だからな。視界が悪い方が邪視の効果も減衰しやすいし、こっちから照明符で目を眩ませるって戦術もとりやすかったろ? ま、『赤猫』の連中も視認しづらくなるが……ジャスマル。そっちはどんなもんだ?」


ジャスマル:

「んー、俺っちの天眼圏内には反応ナシっすね。ザコ虫がぶんぶん飛んでるのと、ちょい先でトントロポロロンズが単眼巨人にいじめられてるくらいっす。あと、この森林地帯を抜けるといい感じに開けた花畑? があるっぽい。なんかの植物素材だと嬉しいんですけどね」


無敵王:

「今はスルーだな。『赤猫の足跡』捜索を優先する。行方不明になってからの時間を考えると、まあ死んでてもおかしくはないが、石化状態ならワンチャンあるかもだ。ルハーナ、ビークス、解呪と治癒の準備だけはしといてくれ」


ビークス:

「ういういーっと。でも無敵王さんもけっこうお人よしですよねえ。『赤猫』の連中とは何度か小競り合いもあったってのに」


無敵王:

「ま、それでも同じ東方辺境からの移動組だしな。ボーステンタクスの影絵回廊、ワリバーヤの大狼霊廟、ドラトリアの琥珀変動異界……思えば色々な探索で競い合った腐れ縁だ。何だかんだでここまで生き残ってきたんだ、骨くらい拾ってやろうと思ってよ。あとニャムミューンの野郎の負け犬っぷりを笑ってやりたい」


ビークス:

「ははっ、それを言うなら負け猫っすよ! でも確かにあの猫騎士フリークがどんなやられ方したのかは確認しときたいっすね。俺はまた兜の三角耳が吹っ飛んでるパターンに銀一で賭けるっす」


無敵王:

「んじゃ俺はあいつのクソ長い鉤爪が付け尻尾に絡まって事故ったパターンに金一で……おい待て。ジャスマル。ありゃ何だ?」


ジャスマル:

「何って……え? 嘘だろ、さっきまでは何も……でもあれは確かに見覚えありますよ。ニャムミューンの三角耳兜。かたっぽ取れてますけど」


ルハーナ:

「あ、あのっ! あっちに散らばってるのって、もしかして、カイザンビークさんの飼ってた、紫槍歯虎の……」


無敵王:

「総員警戒っ! ガインは槍燃やしてシーラムはコウモリ飛ばせ! 遺体及び遺留品の状況から『赤猫』は全滅と判断するっ! ルハーナ、念写して魔導書に記録したら治癒と身体強化の準備! こいつは蛇の王の石化じゃねえっ! 何かもっとヤバ」


ガイン:

「おごっ、な、見えな、速、がっ」


(※ノイズ/風切り音/複数名の叫声)


ジャスマル:

「細長い、なんだありゃあ! 鞭? 触手? くそ、ちょこまかとっ!」


ルハーナ:

「ガインさんっ! うそ、なにこれ、胸が削れて、消滅してるの……? こんなのもう、私の『修復』じゃどうしようも……」


無敵王:

「下がれルハーナ! こっ、こいつはっ、かふっ……。(※防壁術の崩壊音と思われる高周波ノイズ)バカな、霧を舐って、吸収……? 捕食、そうか、味覚型のっ」


シーラム:

「ちくしょおっ! だから言わんこっちゃねえ! 俺が時間を稼ぐ! ルハーナとビークス連れて逃げろっ、ジャスマル!」


ビークス:

「あっ、俺の杖っ! う、うあああああ!!!!」


(※激しい衝撃音、爆発音、悲鳴、音声途絶)



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