『モラン探索者広報 vol.7』
発行:モラン探索者協会本部・広報係
・『階層注意報』
◆ピックアップ:第六階層『呪祖宮殿』と『人喰い宝物庫』の惨劇
今回は、探索者協会が発足する以前の調査で判明した、極めて凄惨な記録が残る「第六階層」の情報をお届けします。
・構造:
【第六階層:中央迷宮区】
◆呪祖宮殿(危険度★★★★)
├地下闘技迷宮(危険度★★★★★)(独立固有種:呪闘士/討伐済)
└聖妃刑場(危険度★★★★★)(独立固有種:首無し処刑人/討伐済)
└ビシャマルの血呪塔(危険度★★★★★)(独立固有種:首無し英雄/討伐済)
└人喰い宝物庫(危険度★★★★★★)(独立固有種:首無し巨人/討伐済)
・暗黒時代の遺構『呪祖宮殿』:
中央迷宮区は、ジャッフハリム暗黒時代を再現した、荘厳ながら歪で忌まわしい宮殿です。そこから『地下闘技迷宮』や『聖妃刑場』へと接続されています。
(※奥地にいた独立固有種『呪闘士』『首無し処刑人』『首無し英雄』『首無し巨人』は過去の精鋭調査隊により討伐済みです)
・『人喰い宝物庫』で起きた血の惨劇:
『聖妃刑場』の先にある『ビシャマルの血呪塔』、その天辺には伝説の『人喰い宝物庫』が存在します。かつて複数パーティで挑んだ際、最初に『九代遊んで暮らせる宝物庫』に目が眩んで呑み込まれた中心的パーティと、他のパーティとの間で地獄のような殺し合いが発生しました。
結果、宝物に一切手を触れず、理性を保った探索者だけが奇跡的に生還しました。
欲望を呼び起こす恐ろしい魅了と精神汚染の呪詛は、一流の探索者すら飲み込むほどの凶悪さです。皆さんも宝物を目の前にした時は、まず落ち着いて事前調査を!
・『輝く星々! 注目の探索者インタビュー』
◆第七回:登録第100号『裏道開拓者』(レベル53)
(個性派にして実力派、古参のベテランパーティ)
(メンバー:旅人ネキャティス・バイパー/医者カラサフラス・ノウ/商人イドール・ホッツ/主婦フィラン・ホッツ/仲人ピーナ・サンブル)
第七回は、かつて第六・七階層の極限調査に参加し、現在は九英雄に次ぐ腕前と称されながらも親しみやすい雰囲気を纏う『裏道開拓者』の皆さんです!
――皆さんのアンケートを拝見したのですが……「職分」の欄に「旅人」「医師」「商人」「主婦」「仲人」と書かれていますね。これは一体……?
ネキャティス(リーダー/旅人):
「蛇神ルーウィスパ様は知ってる? 槍神様の伴神で、我らが主にかわって現世利益を与えてくれるありがたい五つ首の蛇神だよ。僕ら五人それぞれが『五頭蛇神の権能』を分担して役割を決めているわけ。僕は『指針』で、旅の助言・見張り・家内安全担当。まあ斥候と戦士と呪文戦をマルチにこなす感じかな」
カラサフラス(医師):
「私はそのままですね。『医術』の役割を担っていますが、これは他所のパーティの治療士と変わらないでしょう。戦闘中はやることがないので、暇つぶしにメスとか投げています。ああ、生成できるんですよ。私や他者の骨や血液から、ね。そう難しくはないはずですが、ディンの奴は中々覚えないんですよね。ええ、『伝説踏破団』の。あれは不肖の弟子です」
イドール(商人):
「お、次かい。わしはイドール、役目は『契約』やな。金運がっぽり、探索の資金繰りと呪具でのサポートが仕事や。あとはまあ、精霊界や影世界にもお得意さんがぎょうさんおるから、色々と交渉して契約術で召喚に応じてもらったりもするな。ん? ほな召喚士やないかって? いやいや、ドリスちゃんみたいな無茶は無理やって。あくまで金払ってお仕事頼んでるだけやから」
フィラン(主婦):
「亭主は謙遜してはりますけどね、うちは中々のもんやないかって思ってますよ。ええ、イドールの妻のフィランです。『毒見』なんて言っても、やることは結局いつもと同じ朝昼晩の台所仕事。ダンジョンだと食材調達も難儀でなあ、他に食べるもんがないと、戦いながら料理することもしょっちゅうです。焼き払ってぶった斬るばっかで芸がない、品数も少ないなんて亭主によく文句言われてますわ」
ピーナ(仲人):
「私はねえ、恋バナ担当かな! 『円環』の権能はぁ、縁結びと仲裁、円滑な人間関係を助けてくれるの。イドっちとフィラらんも私がアシストしたんだよ~! ねえねえ、エルマりんはどお? いい人いる? ってか探索者協会の恋バナききたいよ~! 若くてエネルギッシュな子たちを見ると、はあ、はあ、おねえさん、弓が、恋の弓矢がね、もう番えそうになっちゃってぇ・・・・・・。番ってくれないと、私番えちゃう!」
――えっ、あ、いや、私は仕事中でして……! わっ、ここで弓矢を構えるのはやめてください! えーとあの、そうだ! 話は変わりますが皆さんはかなりの深層まで探索を進めていらっしゃるんですよね? お話をうかがっても?
ネキャティス:
「ああ、ドリスやバーサーミンさんたちから聞いた? 僕らも前に第六、第七階層に挑んだことがあるけど、実力不足を痛感したよ。あの『槍頭戦団』もリーダーごと主力の一軍が壊滅。二軍が浅層からリスタートしたくらいだし。僕らも今は第三・四階層の再探索から足場を固め直している。ゼドには負けたくないしね!」
――ベテランの皆さんにとって、彼は最大のライバルということですか?
ネキャティス:
「個人の強さはともかく、パーティの総合力ならこっちの圧勝だとは思うんだけど、ちょっと底が見えないよね、ゼドは。なんかダンジョン勘とか裏道発見力で上回られてて悔しいって感じ? 実力だけで言えばドリスみたいな天才とか、あとはロドックさんとかバーサーミンさんあたりも腕は中々だよ。グルメさんもまーダルいけど種は割れてるから、やっぱゼドだな~。なんかあいつ嫌い。生意気だから(笑)」
イドール:
「めっちゃ上から(笑)。わしらいったい何様やねん。正直に言えば、生き残ってるだけでしっかり強者やと思うわ。生きてさえいれば成長の余地がある。負けても逃げればもっと強くなれる。探索者はしぶとくてなんぼや。棺担ぎの依頼なんてなければないほどええねん」
フィラン:
「うちらの少し後にやってきた世代だと、『恐れ知らず』とか『伝説踏破団』とか、新しい『槍頭戦団』あたりも成長してる方とちゃう? ああでも、ヒースはんが抜けたんやっけ? ほなちょっと力不足やねえ」
カラサフラス:
「不肖の弟子はともかく、レライエさんがあれでは再起には苦戦するでしょうね。あとヒースはソロで頑張ってるらしいですよ。誰の影響なんだか」
ピーナ:
「あっ恋? 恋の話でしょ?! 槍頭戦団時代はパっとしなかったあのヒースがさあっ!! あれぜったい極光湖の件で! 頑張って強くなったんだよ! 探索スタイルもさ~危ないからやめとけばいいのにさ~! 本当はデュオが・・・・・・キャーッ!!」
ネキャティス:
「ピーナ、どうどう。ヒートアップしすぎ」
――あはは・・・・・・。その~、実力派パーティの冷静な分析、興味深いです。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました! あ、ちょっとピーナさん、ここでの射撃はお控え・・・・・・。ネキャティスさん連絡先をお尋ねしても? どこ住みですか?!
(※この後インタビュアーの魅了はスタッフにより解呪されました)
・『コラム:受付窓口でお茶を飲みながら』
◆第七回担当:受付(夜間担当) サフィーリア
『月明かりの過ち〜パーティ内の節度とコンプライアンス〜』
「みなさま、こんばんは。サフィーリアです。
夜の酒場やキャンプ地にて、酒の勢いに任せた異性間トラブルや、力関係・立場を利用したセクハラ、強要行為などの相談が協会窓口に寄せられています。
ダンジョンにおいてパーティ内の信頼関係は命そのもの。過去にも恋愛感情の縺れや不誠実な態度が原因で連携が崩壊し、全滅に至った事例がございます。
名指ししますと、『夜探』のことです。
みなさん他山の石といたしましょうね。
また、窓口職員へのお誘いはお断りさせていただいております。
執拗なアプローチはご遠慮ください。
名指ししますと、ディンさんのことです。エルマさんやエリザさんにも声をかけていること、バレてますよ。
みなさん反面教師といたしましょうね。
節度ある行動と相手への尊重を忘れないでください。もしお困りの際は、一人で悩まず受付窓口までご相談くださいね」
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