とある探索者協会員の記録.9
新史歴XXXX年/金錐月/第九日
ボロミア文明圏 聖火都市モラン 第六主街区 『木漏れ日通り』
NOTEAPP.NEXXXX.0509
『モラン探索者協会本部』一階受付業務日報
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■担当窓口:受付係エルマ、補佐ポーレッテ、警備兼窓口キュエン、マルク(『ベルニクス意気揚々隊』)
■業務概要:イキュー討伐隊の出陣見送り、講習会打ち合わせ、不審探索者ゼドの報告受領、九英雄対応
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【1.イキュー討伐隊の出陣および救命講習の準備】
・AM 08:30【合同討伐隊の出陣】
『伝説踏破団』『ヤイエス団』『栄光の槍』による『舌獣イキュー』討伐隊がパレルノ山へ向け出陣。本部前で見送りを実施。
・AM 09:00【応急手当講習の打ち合わせと募集開始】
モラン中央病院・聖火大聖堂付属病院との合同企画『非治療士向け応急措置・救命講習』の募集を開始。
前日の全滅事案を受けて新人・中堅探索者から応募が集中し、定員五十名の枠がわずか三十分で埋まった。
・AM 09:30【新人に対する暴言と騒動】
集まった新人探索者らに対し、第083号『ここはガキの来るとこじゃねえぜ団』の代表、戦士ママミルク・ゴーホームが『ここはガキの来るとこじゃねえぜ』と発言。
第058号『洞窟荒らし』代表、戦士イニロがこれに対抗し、暴力沙汰となった。
警備担当のバーグ及びキュエンの介入により事態は収束。
両パーティに対して厳重注意を行った。
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【2.九英雄への取材】
・AM 10:00【メディア対応】
複数メディア(ボロミア州・モラン市の新聞社、水晶テレビ局ほか)による九英雄ニトリス・ボウス氏への取材対応および随行支援を実施。
【参加メディア一覧】
・アルゾラ風説社
・モラン遠見晶局
・ボロミア公共放送連盟
・エルネトプレス
・紀南通信
・南ボロミア新聞
・モラン普遍新聞
(※その他、義国圏主要媒体を含む)
【取材・収録予定内容】
・九英雄ニトリス・ボウス氏へのインタビュー
・『ボロミア槍術連盟』を率いての第一階層『湖中穴』魔獣討伐
・討伐後の帰還セレモニーおよび協会での歓待・祝砲
・モラン市内の散策・美食レポート
・地獄解放からの復興アピール企画
【随行体制】
・協会長ベルロイ
・総務課長ダミアン
両名がメディア対応および随行支援を担当。
【追加案件:エジーメ家からの申し出】
メディア対応中、エジーメ家系列企業『トルケイド人材派遣』より、探索者協会とのタイアップ企画に関する打診があった。
【企画内容】
同社の企業広報(HP掲載用)として、
九英雄のうち以下二名への取材・念写撮影・イメージ利用を希望
・『猛火義士軍』ピュクトー・アーニスタ氏
・『不殺隊』チャスコーン・イモーム氏
企業イメージ向上および「義国圏復興支援」キャンペーンの一環として、
九英雄の活動を広報素材として使用したい旨を表明。
【対応】
現在、担当者が他メディア対応中のため、
折り返し連絡を行う旨を伝達済み。
総務課および広報係にて、企画内容・使用範囲・肖像権処理について確認予定。
【協会長指示(広報強化方針)】
これを受けて、協会長より以下の広報強化指示があった。
1.『九英雄速報』の特集順序
広報誌『九英雄速報』にて、以下の順で特集記事を掲載すること
『大フォグラント勇者隊』
『聖光の盾』
『ボロミア正統槍術会』
『爆炎呪戦団』
『金宝珠』
『聖なるシャオルオン英雄団』
(※各隊の功績・活動報告を順次掲載し、復興支援の広報効果を高める方針)
また、協会側からマウザ系列企業へタイアップ企画を打診すること。
(復興支援キャンペーンの一環として、九英雄のイメージ活用を推進)
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・PM 02:30【戦果報告:第010号『木漏れ日採集隊』、第042号『遺跡研究会』、第052号『獅子王研究会』】
対象階層:第一階層『獅子王の遺跡』
活動内容:広域共同探索、隠し部屋調査、遺物回収、薬草採取
成果:
・古代遺物(呪槍・火噴槍など装備品)計二十七点を回収
→ 鑑定の結果、メクセト統一王朝期の遺留品と判明
・更に奥地で年代の異なる遺物(呪宝石剣・るつぼ鋼刀剣)計十五点を追加回収
→ 獅子王統一王朝崩壊〜メクセト王朝移行期の遺物と判明
・破壊された自動機械と機能停止状態のゴーレムを発見
・希薄化した死霊及び冬眠状態のホムンクルスと遭遇し、討伐
・遺物の一部を拾得者権利として使用
・残りを協会へ提出
協会評価:
・複数時代の遺物が混在している点から、
獅子王期の遺跡に挑んだメクセト期の探索者の末路と思われる。
獅子王期の自然科学発展・人道意識向上による死霊術・錬金術の衰退、
その反動としてのメクセト期『外法革命』を裏付ける状況証拠と推察可能。
・学術的価値が高く、大神院より追加鑑定依頼
・遺物提出分は高額評価
・同遺跡の再調査班を編成予定
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【戦果報告:第019号『ローナン傭兵団』、第033号『セラティスたんファンクラブ』、第053号『トレジャーハンターズ』】
対象階層:第一階層『湖中穴』及び側面洞穴
活動内容:魔獣討伐および遺物回収 、固有種『双頭虹犬霊』討伐
成果:
・『湖中穴』主要観光ルートの安全確保と魔獣数削減
・鉱石素材の採掘・採集
・犬人、犬精と呼ばれる異獣の屍を多数討伐
・遺留品の回収(上質な弓が中心)
・固有種『双頭虹犬霊』の討伐、集霊呪石回収
・主要観光ルートへの中型魔獣の誘導
備考:
・戦果報告時、『ローナン傭兵団』より、共同探索時における協会ガイドラインについての質問があったため対応した。
・同パーティは以前より自主的に紙による簡易契約書を用いて共同探索を行っており、傭兵の守護者シャルマキヒュに血の誓願を立てた上で契約を結んでいた。
・宗教的慣習が絡むため、契約書は同パーティが自前で用意したいとのこと。
・協会のガイドライン及び窓口配布の簡易契約書と内容をすり合わせた上で、問題はないことを確認。
・協会発足前からの活動実績もあり、周囲の評判を鑑みて許可した。
・後日、協会長より私的に謝礼と功績点を追加。
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【3.重大な新情報の報告】
・PM 03:15【探索者ゼドの来訪と新資料の提出】
第一日に不審な形で登録されていた第006号『ゼド』本人が窓口に現れる。
第三・第四階層の調査不足エリアに関する詳細な手描き地図を提出。
地図には以下の未登録異界が記載されていた。
・隣接異界『俯きの沼地』
・『ピッチャーナの隠れ神殿』
・『無力女王の工房王国』
報告後、探索者ゼドは「継続調査を行う」と述べて退去した。
・PM 03:30【新エリアの危険性告知】
上記報告を受け、協会内で新エリアへの挑戦希望が急増。
ただし報告資料には「凶悪な固有種・罠の存在」が記されていたため、協会として立ち入り注意喚起を発令した。
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【4.九英雄『火竜封じの祝祭』に伴う要求】
・PM 04:00【マウザ大公家・大神院の使者来訪】
『九英雄』側より、伝統儀式『火竜封じの祝祭』開催に伴う協力要請が届く。
・儀式概要:炎帝の化身に見立てた赤亜竜をダンジョン内に放ち、九英雄がそれを討伐するパフォーマンス。クロウサー家・大神院が後見となり、武功を立てる順番や討伐手順は事前の話し合いで決定済み。
・協会への要求:赤亜竜を解放するダンジョン内区画(および探索者ゼド発見の新エリア一帯)の一般探索者の立ち入りを完全に禁止し、九英雄の独占区画とすること。
・PM 05:45【戦果報告と乱闘】
九英雄『ボロミア槍術連盟』ニトリス・ボウス氏と、『シャト軍団』シャト・ロウマン氏が第一階層『湖中穴』の戦利品(鉱石及び呪石)を巡り口論となり、殴打を伴う衝突へ発展。窓口警備担当キュエンが仲裁し、事態を収拾した。
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【担当者所感・業務裏メモ(※個人暗号化ログ)】
「もう、頭が痛いどころの騒ぎじゃないよ!
エリザさんが収めてくれた明け方の乱闘騒ぎ(『鉄の血潮』と『夜の探検隊』は反省しなさい!)の後片付けを手伝ってようやく落ち着いたかと思えば、準備を整えてきたイキュー討伐隊が集まるや否や猛烈な口喧嘩!
『伝説踏破団』と『栄光の槍』、どっちが主導権を握るに相応しいパーティか、モラン武術大会の総合成績と内容はどっちが上だったか、そんなんどうでもいいだろアホ~ってガキ喧嘩が勃発。
テオドールさんとルサイさんはベスト十六で、クラヴィスさんは初戦敗退だったんだ、とかどうでもいい知識ばかりが増えていく。ああ、九英雄に負けたんだ……とちょっとしたガッカリがあったけど……ていうか『ヤイエス団』とルハーナさんが困ってるじゃん! やめなさいよ男子ども!
探索者って本当に血の気の多いやつらばっか!
キュエンおじいちゃんとバーグさんが止めてもヒートアップするもんだから、思わず拡声呪文で注意しちゃったよ。『そんなことしてる場合か』って。
みんながこっち見ててちょっと恥ずかしかったけど、なんとか事態が収まったのでまあ良しとしましょう。
イキュー討伐に向かうみんなの背中に『どうか全員無事で!』って祈りを捧げました。
きっと槍神様の加護があるって信じてるよ!
あと密集事故に気をつけてね!
パレルノ山は比較的人数キャパ緩めだから大丈夫だと思うけど、他パーティと不意の遭遇やトレイン事故もあり得るから。
それからちょっと気になったのは、討伐隊の出発直後にケイネンって九英雄がパレルノ山に採取目的での届出を提出してきた件。非推奨とはいえ逆らえるはずもなく。けどなんかやな感じだったなあ。
場所は全然違うし、大丈夫だよね?
ていうか英雄なら討伐行ってよ、とか思うけど、強制はできないしな。うーん。
その後は応急手当講習の募集。
みんなが『命を守るために頑張ってる』って感動してたのに、またしても柄悪いヤツらが騒ぎを起こす。もー毎日こんなんだよ。
正直、口喧嘩や殴り合いなら全然いいかなって思い始めてきたところ。
武器抜いたり呪い合ったりするより平和だもんね。
でもって、お次は九英雄対応~!
も~! も~! も~! 牛になりそう~!
メインで対応してたのは協会長だったけども~。
詳しいことはわかんないけど、家同士のパワーバランスがどうの~とか聞きたくもない噂話がいっぱい聞こえてきてこわいよ~。
この辺の話は貴族だけあってポーレッテちゃんが詳しいんだよね。
九英雄のスポンサーは言わずと知れた超大貴族のクロウサー家だけど、その内側は派閥争いでドロッドロみたい。
ゾラ家はマスメディア関係に強くて、人材を動かすのが得意なエジーメ家が別の動きで対抗しようとしてて、マウザ家は地元なのに後手に回ってるから協会長が忖度して無理めな指示をしてて~みたいな?
九英雄、なんかこう、政治~お金~権力~って感じ。
つかれた! でもこれきっとず~っとこんな感じだよね。
慣れないと。無にしよう無に。心をね。感情を。切り替えよ。
いちいちぎゃーぎゃー言うのはダメ。はい終わり!
あ、でもローナンさんたちありがとうね! しっかりした傭兵さんたちで頼りになります! これからもどうぞよろしく!
それはそれとして、午後ですよ更なる問題は。
来たの、例の『ゼド』が! 予想通り不気味な、けど思ったより若い感じの男。
音もなく受付の前に立ってて心臓が止まるかと思った!
でも渡された資料を見て二度ビックリ。
『隣接異界』に『隠れ神殿』に『工房王国』!?
第三・第四階層にそんなすんごい場所が隠されてただなんて!
そしたらどっから噂を聞きつけたのか、探索者が集まってお祭り騒ぎ!
一気にフロア中が『新エリアだー!』って大歓声に包まれた!
クールな凄腕言語魔術師のベラムリープさんまで仲間たちと一緒に集まって、魔導書をぎゅっと抱きしめながら興奮してたくらい。垂れ耳ぱたぱたが可愛いのはおばあちゃんと一緒だなーとか思っちゃった。
それはいいんだけど……ゼドのノートには、絶対に普通じゃないヤバい魔獣のスケッチと特徴メモが描いてあったの。みんな浮かれすぎないでね!
それから夕方に威張り散らしながらやってきた『九英雄会』の使者。
『火竜封じの祝祭』とか言ってるけど、要するに『お偉いさん同士で話し合って決めた出来レースのカッコつけイベント』でしょ~?
祖父から聞いた紀南地方の火竜封じってもっと安全な、踊ったり神輿を担いだりする儀式だったはず。そのために赤亜竜を迷宮に放すだけでも危ないのに、ゼドが見つけたばかりの新しい場所を思い付きで『自分たちが占有するから一般人は立ち入るな』だなんてさ……いやタイミングの悪さもあったけど……。
ロビーにいた一般の探索者さんたちも大激怒だよ!
『俺たちの稼ぎ場を奪う気か!』
『談合ヒーローが仕切るな!』
って怒号が飛び交って大荒れ。キュエンおじいちゃんが必死に抑えてくれたけど、みんなの眼光が本当に怖かった。
自分の手は汚さず、おいしいところだけ権力で横取りしていく九英雄。
命をかけてパレルノ山に向かった討伐隊のみんなや、傷つきながら頑張ってるみんなが馬鹿みたいじゃない!」
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『編集部』宛ての追記事項
攻撃性の増大を確認。
『愛国者として振る舞え』というd4時点でのコマンドの影響を確認しました。
強いストレス下で、怒りの情動を敵意に転化する傾向があるようです。
ですが、九英雄が同胞に対して不利益をもたらすようなケースが発生した場合、私は『愛国者として振る舞え』というコマンドから生じた攻撃性を九英雄という愛国者に対して向けてしまうようです。
指定されたロールを正しく表現することが困難です。
矛盾の解消が必要です。エディター、指示を仰いでも良いでしょうか。
この記録に、囁きの天使の加護がありますように。
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