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春、沖牟中学園での新たな出会い、その1

沖牟中学園。

私立の学校であり、沖牟中の市内の学校の中では一番大きな学校である。

名門の進学校とまではいかないが、学力の一番高い学科では市内でも高い偏差値を持つ人間が集まると言われている。

また学力だけではなくスポーツ推薦による進学も許されるくらいにはスポーツにも力を入れており、また専門的な技術の学科もあり、上から下まで、様々な学生達が集まる学園と言える。

部活動も、部によっては県大会や地方大会、全国大会レベルの部活もあるなど、人によっては自分の活躍の場を見つけられる場所と言えるだろう。

姫華は学力がそこそこあったので普通科に入る。

なので普通科のクラスの組み分けが張り出してある玄関口近くの掲示板に向かう。

(えっと、私のクラスは……1組だ)

クラスの確認をした姫華は、早速とばかりに校舎の中に入っていった。


_________


周りがざわざわとざわめいている。

新しい日々の始まりに浮つく空気感。

彼はそれをまるで祭りのようだと嫌ってはいなかった。

そのざわつきの原因の中には自分も含められているのも分かった上で。

カツ、カツ、カツ。

ブーツの音を鳴らして、髪を靡かせて彼は自分のクラスを確認した。

自分の名前を見つければ、これからの始まる生活ににやり、と口元に笑みを浮かべる。

彼は、自分を見ろとばかりに、自分を見せつける様に、堂々とクラスへと向かっていくのであった。

_________


姫華はクラスの自分の席を見つければ、そこに座り、周りの同じクラスの人と話しながら教師を待っていた。

一番後ろの左から二番目の席。

姫華的にはなかなか良い席だ。

同じ学校から沖牟中学園に進学した人も居れば、もちろん別の学校からの人も居る。

沖牟中学園はエスカレーター式の学校なので、そこから進学している人の方が多い。

なので既にある程度人間関係が出来上がっている所があるのだが、姫華はそういう事にはあまり物怖じしない。

なので結構普通に楽しく話に行く事にしていく。

姫華はどこか緩い、ふわふわとした緩い雰囲気が少しあるせいか周りの人も話しやすいらしく、コミュニケーションは順調だ。

そんな中でも、姫華が特に気になった生徒は自分の左の人だ。

綺麗なボブくらいな長さの白髪に、前髪が片目を隠すような髪型の可愛らしい女の子だ。

胸やお尻なども姫華より少し大きめ、だが背は姫華よりは小さい。


「初めまして、よろしくね、米山さん。」

「は、はいっ。米山、よねやまひかりです……よ、よろしく、お願いします……。」

にこやかに微笑む姫華とは対照的に、光は緊張しているらしく、少しおどおどとした小さな、消え入りそうな声で、その白い髪と白い肌に映えるくらい頬を赤くして応える。


「……米山さん、もしかして緊張してる?」

「っ……。」


びくっ、と肩が小さく動く。

そして少しの間の後、小さくこくこくと頷く光。

(分かりやすい反応だなあ……)と、心の中で思わず姫華は苦笑してしまうのであった。


「そ、その、実は、その……わ、私、緊張しやすくって、人から見られるような衆人環境も苦手で……人見知りな小心者なので……ご、ご不快な思いをさせないように気をつけます、すみませんっ!」

「だ、大丈夫、怒ったりしてないから、謝るような事何もしてないから……。」


ぶんっ、ぶんっ、と頭をまるでヘッドバンキングのように勢いよく下げて謝る光につい少し慌てて手を肩に乗せる姫華。

どうしたものか、と姫華は考えていると一つ名案が浮かんだ。

こういう時には距離感を縮めるのが良い物だ。


「あ、そうだ。」

「すみません、すみま……どうか、しました……?」


光の翡翠色の瞳が、小さく震えて姫華を見つめる。

姫華よりも身長が低いせいか、少し上目遣いになっているのが可愛らしいな、と姫華は思いながら、提案を口にした。


「お互いに、下の名前で呼んでみるのはどうかな?」

「……。」


ぽかーん、とした顔をする光。


「駄目、かな……?」


固まったままの光に、お願いをするように小さく首を傾けて、軽く手を合わせて問う姫華。


「……そ、そそそそそそんなっ、まだ会ったばかりなのに名前で呼んでいいなんて恐れ多いですよっ!?」


姫華の提案に顔の赤みを増しながら首をぶんぶんと横に振って反応する光。

気弱でおとなしそうな見た目や雰囲気のわりに大きなリアクションについ(可愛いなぁ……)と思いながら姫華の口元は緩む。


「私は良いと思うんだけどなぁ……駄目かな、光ちゃん?」

「はひっ……!?」


駄目押し、とばかりに先に名前で呼んでみる。

その事につい気の抜けた返事……というか声が出てしまった光は、「あの……。」「その、えっと……。」と考えた末に。


「ぁぅ……よ、よろしくお願いいたします、ひ、姫華さん……。」

「うん、よろしくね、光ちゃん。」


ついに折れて小さく頭を下げる光に、そっと手を握って握手する姫華。

「あうぅ……。」と小さく声が光の口から漏れるのであった。




光と姫華のやり取りが元々の原案よりだいぶあざとい感じになりましたね……これでもあざとさはだいぶ抑えたつもりですが、姫華と光が絡むと多分今後も基本こんな感じになるかもしれませんね。あと、同じ1年生でも光は後輩っぽく書きましたが、はたしてこれで後輩らしさがでていますでしょうか?

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