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沖牟中奇譚  作者: 大蛇山たんと


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春、異能力と光の大鎌の稽古

「旭さん、日出さん、私とも稽古しませんか?」

「光お姉さんも?珍しー、見てたらやる気出ちゃった?」

「光お姉さんは、大鎌ですから、私達で稽古になるかはわかりませんが……やる気なら、応えたい、です。」

「ふふ、ありがとうございます。御木千代先輩だけ良い所を魅せるのもなんですから……わ、私も、姫華さんのお友達……ですから。」

「あ、光お姉さん恥ずかしがってる、かわいーっ!」

「光お姉さん、お友達が出来て、良かったですね……。」

「わ、私は可愛くは……全く……。」


そう言いながら、どうやら光もやる気が出た事自体は変わらないらしく、大鎌の代わりに90度直角に曲がった鎌型の木の棒を用意し始めた。


「あ、あれが鎌の稽古に使うの?何か、不思議というか、武器っぽくないというか……。」

「大鎌自体、使い手が少ないからね。里守の中で、『飛来鎌』という異能力を使える人間だけが大鎌使いになれる前提だからね。僕も大鎌は使えないんだ。」

「そうなんだ……。」


その様子を見ながら御木千代と姫華は話す。

そこで、姫華はふと思った。


「そういえば、異能力って何なの?私の『桜形代』とか、玉姫お姉ちゃんの『御木結界』とか、鎌使いの人の『飛来鎌』とか……なんか、超能力みたいな物なの?」

「それは……。」

「それについては私が説明するわ~。」

「玉姫お姉ちゃん?」


さっきから稽古の様子をにこにこと見ていた玉姫が声を掛ける。

玉姫は前から姫としての役割をやっていたからこの稽古は見慣れているのだろう。

玉姫は、解説を始める。


「里守……もしくは他の地域で言う、里守に近い存在は神様や妖などの加護だったりを受けているんだけど、それを私達沖牟中の里守の間では異能力、って呼んでるのよ~。」

「沖牟中では……って事は、他の所では呼び方が違うんですね。」

「ええ、でも基本的に私達の場合は異能力、って呼び方で良いと思うわよ~。それで、私達の場合はツガネ様、オロチ様を主として、色んな神々、もしくは伝説の存在の加護だったりをもらえるんだけれど……どうもらうか、とか、いつ目覚めるか、とかはツガネ様やオロチ様にもわからないらしいわ。」

「えっ?加護を与えるのに、わからないんですか?」

「異能力の加護は里守に直接を与えるわけじゃないから、らしいわよ~?本当は加護を直接与えたいらしいけど、神様の力だけじゃなくて、離界からの加護も無いと異能力に目覚めないらしいし……それに、異能力を持たない里守も居るから。」

「え、異能力って必ず持ってるんじゃないですか?」

「私や姫華ちゃんみたいな『姫』は必ず異能力を持つけど、里守は必ず、というわけではないみたいよ~、事実御木千代君は異能力を持っていないしね~。」

「……そうなの?」

「ああ、僕は異能力をもっていない。もしかしたらまだ目覚めていないだけ……という可能性も無くはないけど、この歳でまだ異能力が無いなら多分無いだろうね。」

「でも、身体強化の加護があるんじゃ……。」

「あれは異能力じゃなくて、里守全員が持っている魔石炭の加護だね。僕達里守の服は黒い服ばかりだっただろう?あれは魔石炭から作った染料を染み込ませた服なんだけど、あれを一度でも着て里守の適正があるならすぐに身体強化の加護を得る事が出来る、まさに魔石炭の魔力ってわけさ。」

「そうなんだ……で、『飛来鎌』も使えないから大鎌も使わない、って事なんだ。」

「そういう事だねっ。」

「それでも御木千代君は当代最強の里守なんだから凄いわ~。よしよし~。」

「ふふ、沢山褒めてくれ、玉姉さんっ。」


よしよし、と頭を撫でる玉姫と自慢げに胸を張る御木千代。

そのやり取りがあまりにも自然なので、普段からこういうやり取りをしているのだろうなあ、と姫華は少し感心してしまった。

姫、という特別な立ち位置に居る玉姫。

その玉姫とこうやって仲良くしているのは、単に歳が近いから、というわけでもないだろう。

多分姫と里守として、そして学生として、きっと長い、そして単純に長いだけではなく、濃密な時間を過ごしてきたのであろう。

里守の中には、既に成人している人間も居た、御木千代よりずっと体格が優れている里守も居た。

そんな中で、まだ高校生で当代最強、と呼ばれるようになっているのだから、その道のりは決して平坦な道では無かったのだろう。

それに、先程の二刀流。

一刀で普段戦っているのに、二刀流での稽古もしているという事は、きっと手加減しているわけでもあるまい。

二刀流を練習している、としたら、まだまだ飽くなき強さへの向上心がある、という事なのかもしれない。

そう考えると、姫華はもっと皆の事を、特に御木千代の事を知りたい、理解したい、と思うのであった。


「よし……御木千代先輩、合図をお願いします。」

「光お姉さんからは絶対何本か取るよ、日出!」

「何本と言わず勝つつもりで行くよ、旭……。」

「わかったよ……では、試合、開始!」


「やああっ!」

「はああっ!」

「……っ!」


カァン!と、大きく木刀と木の大鎌型の棒がぶつかる音が鳴る。

二人とも纏めて受け止める為に、敢えて強く大振りにしたらしく、事実として二人の初手を牽制して受け止めている。

そして、大鎌独特の距離感……要するに、刃の部分に当たるように広範囲を攻撃しながら、大鎌の持ち手での部分には近づかせない。

大鎌の攻撃を掻い潜って接近しようとする宮部従姉妹に、的確な攻撃を、攻撃の合間や隙になりそうな部分にはバックステップしたり、壁が近づいたら壁を蹴って足場に移動しながら詰め寄らせはしない。

そしてもちろんそれだけではない。


「はあっ!」

「おっと!」

「っ、と……!」


距離が離れた時には『飛来鎌』を活かして大鎌型の棒をまるでブーメランのように回転させて放り投げる。

それを旭は避けた……が、位置が悪かった日出は切り払って対処する、が、そのせいで二人とも体勢が崩れる。


「そこです!」


ダッ、と一気に駆ける光。

『飛来鎌』で手元に戻ってきた大鎌型の棒をキャッチした光はそのまま攻撃に移る。


「やああっ!!」

「っ、させないよっ!」

「させま……せんっ!」


無理矢理体勢を直す宮部従姉妹の木刀と光の大鎌型の棒がガァンッ!!と強くぶつかった。



異能力についての説明は敢えてあまり固めていない、というのはありますが、一応それの説明は必要だなあと思って書いた回でした。光や宮部従姉妹がもっと活躍する回も早く書きたいですね。

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