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12/30

 嬉しいことに最近私の活躍の場が広がっている。今まで中高生向けの雑誌が主戦場だったが、今日撮影するのは20代のOL向けの雑誌の撮影で来てる。


 原因は私の容姿にある。優れた美貌の外国人でオッドアイ。またどうやら日本人には私が少し大人びて見えているようでもあった。

 

 でもあの、湿度と温度高いこの時期に薄いとはいえコートは辛いです……。しかも今日カンカン照りですよ。確かに撮影にはうってつかなんだけど。笑顔は作れるけど滝のように流れてくる汗は如何ともしがたいんですよ……。


 当然だが、次の季節の商品はその季節が訪れる前に雑誌に掲載する必要がある。まだ寒さの残る初春、寒風吹き付ける海岸での水着撮影もあったとかなんとか。


 暑さに辟易し、それはスタッフも同じだったようで適度に休憩を挟みつつ撮影を続ける。コートが”ばえる”ようにポーズを変え変え。コートを引き立たせ、あるいは後景に退かせる着こなし、佇まいを魅せる。小物を持ったりもして日常使いに最適ですよ!みたいなアピールも織り込む。


 かれこれ1時間くらい撮影を続けてて、また休憩兼衣装変えの時間。ふと私は考える。清華に対して美しさってどれくらい意味があるんだろう。


 男に対しては抜群だ。ラブレターは学校の男子から、雑誌の読者から幅広く、数えるのも億劫なほどの数もらっている。


 この人気のおかげでモデル業でもそれなりのワガママが言える。水着撮影は断固お断りとか。

 

 では清華に対しては?そもそもの問題として清華が同性愛をどう思っているのかだ。日本は比較的性的嗜好に対して寛容だと思う。では清華は?当然だが集団と個人は同一ではない。付言すれば理解があることと同性愛者になることも違う。


 もし清華が同性愛者、両性愛者、そうでなくても同性愛的な気質があれば私の美貌というのは絶対的なアピールポイントたり得る。


 しかしもしそうでなかったら?私はどうやって清華に自分の魅力を伝えたら良い?どうやって愛を伝えたら良い?清華は受け入れてくれる?拒絶された日には私はどうすれば良いの?涙が枯れることなく流れ続けるのは間違いない。


 物憂げな思索にふけっていると、いきなりパシャリとカメラマンが写真を一枚。その物思いに沈んでる表情、いいね!だって。


 カメラマンと撮影監督がいいねいいねって言い合う。


 「すごいねえ、えーっと……」


 横合いから湿度の高い声で名前を尋ねてきたのは先輩の……、先輩の……、なんだけっけ。嫌なやつだから覚えたくないんだよね。あ、思い出した。あいさんだ。


 「サプフィールです」


 でもあなた知ってるでしょ、私の名前。忘れたふりして嫌味ったらしく聞いてきても何もないけど?


 「今度ブランドのモデルやるんでしょ?すごいなぁ、私なんかあっという間に追い越しちゃうんだろうなぁ」


 さも感心しました、みたいな字面だけど実際はねっとりと嫌味たっぷり。その目、口ぶりには嫉妬や憎悪が見え隠れする。


 こいつは見た目しか取り柄のない可哀想なやつだ。なまじ外見が良いからら大方今まで甘えて生きてきたんだろう。実際、モデルを勤めるくらいだから一般に美人と言って差し支えない。けれどそれだけ。


 後輩である私が活躍の幅をこいつ以上に広げていることにそのチンケな自尊心が耐えられないのだ。かといって容姿で勝てず、中身では惨敗。誇れるのは自分が先輩という称号だけ。果たしてそれがモデル業界で何の意味があるのだか。


 私は、もちろんこの容姿は両親から手に入れたものだし、三カ国語が話せるのも家庭環境のおかげ。だけどそれに胡座あぐらをかいてるだけじゃない。ドイツ語やフランス語だって私はそれなりに話せる。私自身の勉強の賜物だ。他にも体型維持とか色々してる。


 こいつはそういった私の努力に思い至らない実に拙劣な思考の持ち主。大変に浅い表層的な理解で私に一方的に敵意を抱いてる。


 さらっと私を自身の得意先に枕として差し出そうとしたのもこいつ。


 今に私の方が上の立場になる。そしたら首輪をはめて四つん這いにして一周回らせてワンと吠えさせてやる。


 けれどそれまでは雌伏しふくの時と判断できる脳が私にはあるから、慇懃に接するのだ。

なんかあんまり筆が進まないんですよね。頭の中にストーリーはあるのにいざ書こうとすると上手くいかないというか。


頭の中にダイナマイト

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