第73話 好きになる理由
試験が終わって私たちは春休みになっていた。そして文華の第一志望の大学のテストは明日……そのため今日は夜まで早苗と外にいる事にしたのだ。今はカフェにいて2人でコーヒーを飲んでいた。
「ねぇ、早苗は私のどこが好きになったの?」
「急に聞きますね……」
こういう時普通は飲んでる物を吹き出したりするんだろうが流石早苗、何事もなく普通に聞いてきた。
「ごめん……でもさ早苗は私のこと好きって言ってくれたじゃん。ならどこに惚れたのかとか聞きたくて……」
「……文華ちゃんの事?」
「悟りすぎ悟りすぎ!まぁそうよ。私は文華の事嫌いだと思ってた。でもさ……結局今もあの子はちゃんとご飯食べたのかな?とか何も事件に巻き込まれてないよね?とか考えちゃうんだ。」
「それは……恋人というより親目線だね。」
そう言われても仕方ない。だから好きか嫌いかというものではなくなっている気がする。
「はぁ……恋人ってわからない。」
「でも、気になるって事は少なくとも嫌いではないんじゃない?」
「確かに……」
「好きになってるならもう四六時中頭から離れないものだよ?」
「あー……じゃあ私は文華の事好きになってるわぁ……」
「答え出ちゃってますね。」
「はぁ……私の負けかー……」
「ええー!まずそこなの!?」
「だってー!私勉強以外で文華に負けた事ないんだよ!」
「……ふふふ……やっぱり文華ちゃんは凄い。」
急に笑い出して奇妙なことを言い出した早苗に私は疑問しかなかった。
「えっ?なんで笑うの?なんで文華が凄いの!?」
「だって!理子にそんな事言わせられる人文華ちゃん以外いないもの……私に対しては絶対言わないでしょ?」
「まぁ……確かに……」
確かに文華には他の人とは違う扱いをしてきた。私が守らないと、私が躾けないと、私が居ないと……という考えが頭にあった。居ないと常に無事かを考えてた。
「でも、答えが出た様で良かったです。」
「いいの?早苗は……その……」
「気にしないでください……私は文華ちゃんに負けました。それは文華ちゃんの魅力で負けたからです。実力負けです。ならば受け入れるしかありませんから……」
寂しそうに外を見つめていた早苗……私が振った事には変わりない。だからこれ以上言うのは寧ろ失礼だ。
「ありがとう……じゃあ今日だけ早苗に私の時間をあげる。」
「……ん?」
「文華には内緒よ。もう文華と恋人になるけど、1日だけまだ恋人になってないからさ。今日だけ私と一緒に遊びましょ!」
目をぱちぱちさせた後、また早苗は笑った。
「やっぱり理子には敵いませんね。分かりました。では1日だけお付き合いして下さい。」
時刻は12時前、帰りは22時にしてるからそれまでには帰って文華と顔を合わせて今日を終わらせたい。
「じゃあどこ行く?」
「そうですね。私は理子とゆっくり散歩したいですね。」
という事で公園に行く事にした。まだ今日は寒くはない。2月のわりに暖かい。
「文華ちゃんとはどんな出会いだったの?」
「ん?覚えてないけどたぶんいじめられてたからその子たちボコボコにしたのかな?たぶん。」
「……女の子からしたら本当にヒーローの様な登場の仕方ですね」
「私も女の子なんですが?」
私はジト目で言うと早苗はクスクスと笑いながら一言ごめんなさいと言った。
「見て下さい。鯉がいますよー!」
「ほんとね……しかも大きい。」
無邪気に笑う早苗は可愛かった。もし会う順番が違えば違った未来もあったかもしれないのだろう。いや、そんな事を言うのは早苗にも文華にも失礼だ。そして今は文華の事を考えるのは早苗に失礼過ぎる。
「何をぼーっとしてるんですか?行きますよ!」
「うん……行きますか!」
それからは散歩しつつ休憩を挟みながら食べて歩いて休んでの繰り返し……ゲームセンターやカラオケなどの娯楽施設には行く気がないらしい。そうして時刻は19時になった。
「今日はよく歩いたわね。」
「はい、楽しかったです。」
「ねぇ、なんで今日はどこにも寄らずにただひたすら歩いてたの?」
「えっ?2人で居たかったからですよ。どこかに入ったら話せなくなりますからね。ずっと私だけを見てて欲しかったんですよ……今日だけは……」
「そっか……それにしても早苗は結構体力あるのね。」
「私、結構体力あるんですよ!」
クスクスと笑いながら言う早苗は可愛いの一言に尽きた。そして夕ご飯を食べた後、早苗を送って行く。
「じゃあまたね。」
「はい!気をつけて帰って下さいね!」
こうして私はアパートに帰った。文華の待つ私の家に……
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