第60話 旅行5
2人が自分の部屋に帰ったあと私たちはもう一度シャワーを浴びてきた。
「騒がしかったね。」
「ですね。」
時計を見るともう12時を回っていた。
「そろそろ寝よっか。」
「そうですね……」
私たちは寝る準備をしてベッドに入る。時計の音がカチカチとなる音がする。今時珍しいホテルで壁に時計が掛けていた。
「……まだ起きてますか?」
「うん……眠れない?」
「ええ……2人きりになるのは初めてですから。」
少しの沈黙が流れた後、早苗が口を開いた。
「理子は文華ちゃんの事……どう思ってるの?」
「いきなりね……前よりは嫌いじゃないかな。昔は嫌いだったけど。」
「そう……理子は恋した事あるの?」
「なーに?恋バナってヤツ?残念ながら私は恋なんてしたことないわよ!」
私は少し茶化しながら答えた。しかし早苗から反応がなく少し困った。
「失望した?」
「いいえ……文華ちゃんが少し不憫にも思えて。」
「何で?」
「好きって気持ちをずっと否定されてるから……かな?」
「早苗は……優しいね。でもね。私にも言い分はあった。私はいつも文華の面倒見役にされてた。それが苦しかった。好きな事もできなくなった。何か有れば常に私に話がきた。教師も親も……それがたまらなく嫌だった。」
私は少し起き上がって額に手を当てた。
「嫌いなわけじゃないんだ。自分がわがままなのが悪いのかもと思ったんだ。ならいっそ文華を嫌いになって突き放してしまえば良い。そう考えて高校は別にしたんだ。」
「……辛かったんだね。理子も……」
(私じゃ……やっぱり勝てないな……)
「私ね……理子の事好きなんですよ。」
不意の早苗の言葉に私はキョトンとしてしまった。
「そりゃ友達だし、好きでもないのに一緒にいるのおかしくない?」
「……やっぱり理子はどこか抜けてますね……おやすみなさい。」
「はぁ!?どういう意味よそれ!」
「気にしないで下さい。私が言いたかっただけなので……」
なんか腹が立った。これが桜、文華、桃華なら引っ叩くが早苗にはそんな事出来ない!なので……
「言わないなら……こうだ!」
「ひゃ!ははは!や、やめてやめて!」
「話したらやめてあげるー」
くすぐり攻撃だ。効果はバツグンだが早苗は口を割らなかった。
「やだー!絶対言わないははは!」
なかなか強情で口を割らない早苗、結局寝たのは3時ごろだったため、翌日の車内では2人して爆睡だった。
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