第51話 交渉
「私そろそろ帰るわ。」
「あー……うん。」
9月になり夏休みももうすぐ終わる頃桜がそんな事を言い出した。
「そろそろ許すんですか?」
「いや、本当に一人暮らしする為に再交渉してくる。」
「断られたら?」
「いんや!断られないはず!その為に理子と文華ちゃんの部屋に住まわせて貰ったんだから!」
私は疑問に思った。これは一人暮らしというよりシェアハウスだからだ。これでは首を縦に振らせるのは難しいだろう。私は文華と顔を見合わせた。
「まぁ妙に自信ありみたいだし、頑張れ!」
「頑張って下さい!」
「いや、2人にも協力してもらうよ?」
「……なんて⁉︎」
私たちは再び顔を見合わせた後、桜に聞き返した。
「いや、1番近くにいて私の行動見てくれてたでしょ。証人としては申し分ないじゃん!」
そんな話聞いてないし、知らない……そして生活を見てる限りでは……まぁ問題ないはずだ。
「それでいつ行くの?」
「学校始まる前に行くから3日後かな?」
「りょーかい。文華はどうする?」
「私は行かない……」
「だそうです。」
まぁ文華の性格はよく分かってる。たぶん上手く説明できないだろうから。断るのは分かっていた。
「じゃあ桜私だけでいい?」
「もちろん!1人いてくれるだけで心強いよ!」
という事で3日後桜の家に来たのだが……
「めっちゃ広いじゃん!」
「そう?」
「だって!めっちゃ庭広いし、木も植えられてるとか……うちでは想像出来ない……」
「言い過ぎだって……あんま友達連れて来た事ないからわからないけど……」
いやいや、呼ぶも何も広いでしょ!ちょっとした豪邸じゃん!と叫びたくなるほどだった。庭に松って……なに?
「まぁ入ってよ!」
「う、うん!」
桜の案内に従って家の中に入った。家の中も広かった。床もフローリングなんかじゃなく木製の立派なものでまさに名家と言って良いものだった。そして通されたのは更に広い部屋だった。
(ひろっ!なにここ?)
「ただいま父さん、母さん」
「おかえりなさい。」
畳からいぐさの香りがする。変えたばかりなのか?いやいやそんなことよりも……テーブルを挟んで2人が座って待っていた。たぶん桜の父さんと母さんなのだろう。すごい威圧感があった。
「こちらがお世話になってた王鷹理子さん。」
「は、はじめまして……王鷹です。いつも桜さんにはお世話になってます。」
「してますじゃないの?」
桜が何か言ってるがスルーしよう。してますだけどこういう場では本音と建前を大切にしないとだからね。
「あらあら……してますじゃないの?」
「してますだろう。」
この親は親で娘を全く信用してないのか?いや、似たもの親子か……
「い、いえいえ!いろいろとお世話されてますよ!」
「あらそうなの?それはそれは……」
「それで?桜は一人暮らしできると思うかな?」
「わかりません!」
2人はまさかの答えに驚いた表情をしていた。桜はというと……
「……え?はい?」
まぁそういう反応になるだろう……だがまだ始まったばかりだ。
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