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第5話 初夜

 アパートに帰ってきた私たち……とりあえず暑いからクーラーを付けてた。


「いいの?いきなりクーラーなんて……」

「いいよ、暑かったら食欲なくなるでしょ?寝苦しくもなるし。」


 家では使わなかったのだろうが、ここは私の家だからある程度の自由はある。だからクーラーくらいは普通に付ける。


「文華も暑い時は使っていいよ。夏場は更に暑くなるからね。」

「うん……ありがとう。」


 文華がここに来るのは3度目だったが、部屋の端で突っ立てるので座るよう言った。


「ほら、いつまでそんな所で立ってるの。こっちきて座りなよ。」

「うん……」


 文華が座ったのは……私の隣だった。


「ちょっ!なんでそんなべったり⁉︎」

「なんとなく……?」


「暑いから離れてくれない?」

「クーラー入ってるよ?」


 あ、この感じは真面目に言ってる……普通クーラーが入ってても近くに……しかも密着してたら暑いはず……なのにここまで近づいてきてるのは……



      私に好かれようとしてる⁉︎


「ちょっと……私は暑いから離れて貰うと助かるな……」

「……分かった。」


 文華はテーブルの向かい側に座った。普通にしてれば美人だ。顔も体型もだ。ただ性格がなー……と考えてしまう。


「理子……」

「ん?どうしたの?」


「私暇だから勉強してるね。」

「あ、うん、この部屋でしていいよ。クーラー効いてるし。」


「ううん。リラックスしてるんだから部屋でしてくるよ。」

「……だめ!ここでしなさい!」


「なんで?」

「いいから言う事聞きなさい!」


 不思議そうな顔をしていた文華だったが素直に聞いてくれた。


「まさか……それ全部……」

「うん、参考書……」


 テーブルがあっという間に占拠されたー!いやいやいや!あり得ないってこんなに勉強して志望校落ちるってある?神様酷すぎるでしょ?少なくとも去年の私の倍は勉強してますよ神様!?


「飲み物何がいい?」

「気にしないで!集中するから……」


「はい……」


 文華は長い髪を後ろで纏めて前髪はカチューシャで前髪を抑えていた。ガチ集中じゃん!

 仕方なく私はスマホで漫画を読むことにした。


1時間後……


2時間後……


3時間後……


 いやいや!集中し過ぎ!もう5時半だよ!いつまで続けるの⁉︎


「ねぇ、そろそろ夕飯作るけど何がいい?」

「……私は要らないから理子の好きな物作って食べていいよ。」


「いやいや、初日くらいは一緒に食べようよ!」

「……分かった。でも、もうちょっとだけ……キリのいいところまで……」


「しょうがないな……いいよ。」

「ありがとう。」


 再び集中した文華……これは2時間くらいはまた集中してそうだ。なので1人で支度する事にした。冷蔵庫を見たら玉ねぎと卵があった。これでは大した物は出来ない。なので買い出しに行ってくる。


「文華、ちょっと買い物行ってくるから留守番よろしく!」

「うん……私も行っていい?」


「おっ、着いて来るの?」

「うん……行きたい……」

「じゃあ行こうか。」


 私と文華は近くの商店街へ買い出しに行った。


「明後日からまた学校だし、今日覚えておいて損はないわね。」

「えっ?私に任せるの?」


「うん、任せるよ!大体文華は料理上手じゃん!」

「そんな……上手くないよ?」


「またまたー家庭科でめっちゃ手際良かったじゃん!おまけに成績も優秀だったし!」

「……あれは理子がめちゃくちゃしてたからじゃないかな?」


 思い出される過去、

生卵を電子レンジへ……爆発!

ボウルを電子レンジへ……爆発!

フライパンに油を引かずその上そのまま放置し火力も最大にして焦がす……小火騒ぎになった。


「あれは知らなかったのよ!私悪くない!」

「いや、説明されてたよ。特に火を使うから気をつけてくださいって……」


 耳が痛い話だ。とにかく買い物だ。


「何買うのですか?」

「ひき肉とにんじん。」


「火を……使うの?」


 ここが往来の街中でなければプロレス技をかけていた。とりあえず帰ったら……ね。


「流石に今は使えるよ。じゃないと一人暮らしなんてしないよ。」

「それもそうだね。ごめん……」


「うん、帰ったら楽しみにしてなさい。」

「えっ?謝ったのに?」


 私は青ざめた顔の文華を見てバレない様に笑った。まぁ謝ったから今回は許すか。


 それから商店街を周ってひき肉とにんじん、あと明日の朝食用のパンと牛乳も買って帰った。


「よし!作るかハンバーグ!」

「えっ?ハンバーグ?」


「そうよ、文華好きでしょ?」

「うん……でも、いいの?」


「何遠慮してるのよ。今日くらい贅沢しよう!」

「でも、玉ねぎ買わなくて良かったの?」


「もうあるわよ。ほら、文華は勉強しておいで。」


 私は文華の背中を押して部屋に入れた。


「よし、やるか……」


 私は最初に玉ねぎを微塵切りにしてにんじんも微塵切りにした。その後ひき肉を出して微塵切りにした玉ねぎとにんじんを投入し、卵とパン粉を混ぜ合わせる。ここまでで20分くらいかかった。そこから形を作って空気を抜いて……30分くらい冷蔵庫に寝かせる。その間にお味噌汁とご飯を炊いておく。ご飯と味噌汁を作り終えたらいよいよハンバーグを焼いたら完成だ。大体1時間半くらいで出来上がった。


「文華出来たよ!」

「……」


 集中してる……だけど、折角なら出来立てを食べて欲しいからつついて気づかせる。


「おーい!出来たから食べるよ!」

「うん、いい匂いだね。」


「もしかして集中切れてた?」

「ううん。でも、匂いはわかるからそれに……せっかく一生懸命作ってくれてるんだから焦たくないじゃん。」


「ふぅーん……なるほどつまり私の料理に対して集中してたってわけね。」

「そんな事……ないよ?」


 そういう文華のノートはあまり進んでいないようだった。


「まぁいいや。ほら、片付けて夜ご飯たべよ。」

「うん!」


 文華が片付けをして私はお皿に盛り付ける。ご飯とお味噌汁、そして野菜で簡単なミニサラダを作る。


「じゃあ、いただきます!」

「いただきます!」


 私は文華の食べるのを見てた。


「どう?」

「美味しいー」


「良かったーー!」


 私は心底安心した。これで不味いとか言われたら凹んでた。


「なんでそんなに安心してるの?」

「いいでしょ別に!誰かに自分の手料理食べてもらうの初めてだったんだから!」


「じゃあ……私が初めてだね!」


 昔から分かってたけど……やっぱり文華の笑顔は癒される。


「何が嬉しいのよ。ほら、冷める前に食べましょう。」

「うん!」


 食べてる間は雑談をしながら食べた。話があまり合わないと思ってたが意外とスポーツも見る様になっていた為話の幅は広がって楽しめた。


「ご馳走様でした。」

「はい。お粗末さまでした。」


「洗い物は私がやるね。食べるだけだと太っちゃうから……」

「じゃあ任せるわ。私はその間にシャワー浴びてくるわね。」


 私は洗い物を文華に任せてシャワーを浴びた。そして入れ替わりに今度は文華がシャワーを浴びた。


「文華は今からまた勉強?」

「うん……なんで?」


「ううん。なんでもないよ。でも、23時までね。」

「なんで?」


「電気代……高いのよ。」

「あ……はい……」


 まぁ嘘なんだけど、寝る時間は合わせておかないと文華はきっと無理をしてしまう。ある種の抑止力だ。


「私は明後日の準備したら漫画読んでるよ。」

「うん……分かった。」


 寝るまでは自由時間となる。そして22時50分に私は文華に声をかけた。


「文華、寝るよ。」

「……うん。分かった。お布団敷くね。」


「その前にその教科書とかを片付けなさい。」

「あっ、うん、そうだね。」


 片付け終えてテーブルを立てる。そこにお布団を2つ敷いて寝た。


「理子……」

「ん?眠れない?」


「ううん……ただ……」

「言いたい事は言う……そんなに怯えなくてもいいからさ。はっきり言いなさい。」


 私は文華の頬に手を当てて優しく撫でた。すると少し落ち着いたのか話してくれた。


「私、本当にここに居て良いの?」

「良いわよ。」


「ありがとう……私、絶対勝って理子の彼女になるから!」


 改めて真っ直ぐ真剣な目で言われた。私は少し嬉しくなった。


「望むところよ!」


 私たちはそのまま初めての夜の眠りにつくのでした。

 ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新もお楽しみに!


 面白い、続きが気になるという方はブックマークをしてお待ち頂けると幸いです。

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