第34話 朝食
「それで……桜は朝何を言われたの?」
お風呂から上がった桜に私はお菓子とジュースを持ってきて話の続きを始めた。文華は明日も早いから先に休んでいる。
「私はまだ子供だから一人暮らしはまださせないって言われて……その後私ももう子供じゃないし、朝ごはん作ったりもしてるって言ったの……そしたら親父がさ……この程度では料理とは言わんとか言って……」
前に桜の料理は食べた事がある。そこまで言われるほど不味くなかった、というか美味しかったと記憶している。
「前に作ってくれたホットケーキ美味しかったけど?」
「でしょ!私だってそれなりに作れるし、栄養バランスだって考えてるのに!言っとくけど味噌汁とかも普通に作れるからね!」
「はいはい、どうどう!分かるけどもう夜だからあまり叫ばないで……近所迷惑だから!」
私は興奮する桜を宥めながら話を続ける。
「ごめん、でもそれが許せなくて……」
「つい、家出してきたわけね。まぁ分からなくもないわね。」
「でしょ!もうムカついちゃってここに来た訳よ!」
「徹底抗戦するの?」
「するよ!最低でも親父が謝るまでは帰らない!」
「うん!了解!じゃあそれはお母さんの方には言っときなよ。心配させると悪いしさ。」
「……仕方ない……何もしてくれなかったけど心配かけるのは違うもんね……」
という事で連絡は入れた桜だったがスマホには鬼電がかかってきていて……流石に怒ってるだろうと思う。まぁ年頃の娘が23時回って帰って来なければそうなるよね。
「ちょっと電話かけてくる……」
「行ってらっしゃい……」
流石に聞くわけにもいかず、そして聞かせるわけにもいかず……という事で桜は外に出て話していた。そして桜は5分くらい経った後に戻ってきた。
「今夜は泊めて貰う事にするわ。明日帰るかはまた明日決めるわ。」
「いいわよ。テスト期間終わってもしばらくはいても大丈夫だから。」
「帰省しないの?」
「するけど、それまでには決着付くでしょ?」
「……分からんよ。あのクソ親父だもん。謝らないなら帰らない……」
「それならそれでお盆の帰省時にはお留守番任せようかな?文華は帰ってこい言われてるし、私も顔くらいは出す予定だし……」
「いいの?電気代とかガス代とかは?」
「いいわよ。桜とか桃華とか早苗なら信頼出来るし。」
「ありがとう……ごめん!今度ちゃんとお詫びするから!」
深々と頭を下げる桜に私はあたふたしてしまう。普段は私と同じで勝ち気の負けず嫌いが私に頭を下げてるんだから変な感じだ。
「いいから頭あげてよ、桜らしくないから!それよりもう寝よ。布団敷くから手伝ってよね。」
「ありがとう……恩に切るよ。」
時刻は0時を回っていた。明日もテストな為、さっさと寝る事にした。
翌朝起きるといい匂いがした。文華が朝ごはんを作ってくれてるのだと思ったが違った。
「文華ちゃん、味どう?」
「美味しいです!」
「でしょー!」
作っていたのは桜だった。そして味見をしていたのは文華だった。
「卵焼きは塩派?砂糖派?」
「私たちは砂糖派ですけど?桜さんのお家は?」
「ウチは塩だね。でもオッケー!今日は砂糖多めにしよう!」
めちゃくちゃハイテンションで作っていたので私は寝る事にした。出来上がれば起こしてくれるはずだからだ。そしてこの読みは当たっていた。
「理子ー!起きて朝ごはんできたよー!」
文華が私を起こしに来た。やはりこの辺りは抜かりない。私は起きる仕草をした。
「あ、文華ちゃん、早苗は後で私が起こすよ。昨日色々相談しちゃってさ。寝かせてあげてよ。」
「そうなんですか?理子は相談に答えられてましたか?」
(どこの心配してんの?)
文華の疑問に心の中でツッコミを入れた。
「うん、しっかりと戦う準備は出来たし、今度お礼もしないとね!」
「そう、理子はちからずくの解決方法ばかりだから心配なんです……」
「あはは!確かにね!でも……私はそんな理子の性格が好きだよ。ほら女同士だと本音は隠してる所あるじゃん?陰で悪口言ったりさ、暴力よりタチの悪い事とかほんと多くてさ……その点理子は裏表ないし、私と同じでちからずくの解決の方が好きなんだよね!」
「そうですね……」
「早苗や桃華はわからないけど少なくとも理子はその辺信用してる。だからここに来てるんだ。もし理子が違ったら私は野宿してたかもね……」
「そうなんですね。では、良かったです!ご迷惑を掛けなくて……」
ガシッ!
私は文華の手を握りしめた……逃がさない為に……
「さっきから随分と言ってくれたわね……文華ちゃん?」
「…………いつから?」
「最初から……」
「ごめんなさい…………」
そのまま私は文華の腕を引き込んで腕十字固めでお仕置きをしてあげた後、朝ごはんを食べてそのまま桜と学校に向かった。
「桜……」
「なによ?」
「……ありがとうね!」
「はぁ?何よいきなり⁉︎」
「別にーなんとなくよ!」
なんとなくではないけど桜にはお礼を言っておいた。嬉しかったから。そして含み笑いをする私に桜はひたすら問い詰めてくるのだった。
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