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第10話 バイト開始

「今日からよろしくお願いします!」


 私の挨拶に従業員たちからの挨拶が返ってきた。今日は6人出勤だった。


「とりあえず接客で注文取ってきてくれる?」

「分かりました。」


 店長から言われて私は伝票用紙を貰い、手持ちの縦長のバインダーに挟んだ。


「藤堂さん!ちょっと来て!」

「はーい、新人教育ですよね、お任せ下さい!」


 そう言われて来たのはお姉さんだった。


「この子バイトリーダーだから分からない時は聞いて、今日は付きっきりでいてくれるはずだからとりあえず後ろについて学びなさい。」

「わかりました。よろしくお願いします!」


「うんうん!礼儀正しいわね!私は藤堂夢よ。よろしく。」

「はい!王鷹理子です!よろしくお願いします!」


「とりあえずメニュー覚えようか、そしてメニューの書き方ね。短略で書いてね。それも教えるからさ!」


 サクサクと要点だけを教えてくれるそしてそれをメモした。後で復習する為に。そして初めての勤務は終わった。


「つ、疲れた……」

「はーい、お疲れ様。3時間の初勤務はどうだった?」


「目が回りました。」

「店長は凄いですね、あんなに人が居ても的確に指示を出してて……私には無理です。」


「慣れれば出来るわよ、周りを見ようとすれば見えるし、そこは意識の差よ。明日も頑張ってもらわないと困るから早く帰りなさい。」

「はい!お疲れ様でした!」


 私は店長に挨拶をしたあと、今日お世話になった藤堂さんにも挨拶をして帰宅した。


「ただいま〜」

「あ、おかえりなさい。」


 帰ると台所で夕食を作ってた文華がいた。


「……少し違和感があるな……台所に立ってる文華は……」

「ここに来てからまだ数回だもんね。たぶんあと少ししたら慣れると思う……よ?」


「なんで疑問系なの?まぁいいや、何作ったの?」

「お好み焼き……なんか食べたくなった……」


「折角ならホットプレートで焼けば良かったのに……」

「1人ではやりたくない……小さくなっても良いからフライパンで焼いた。」


 なんか人間味が少し出てきた感がある……やっぱり退院してから少し周りが見える様になってきたみたいだ。


「それで、その小さいのを2人で食べる?」

「もう一枚作るよ。タネはまだあるから。」


「そう、じゃあ私先にシャワー浴びて来ていい?汗で体ベトベトだから。」

「いいよ、汗臭いから早く入ってきて。」


 どうやら汗臭いらしい。まぁ暑い中バス乗って歩いて帰ってきたのだから仕方ない……が、やはり汗臭いは少し傷つく……なので速やかにシャワーを浴びてきた。


「上がったよー」


 私がシャワーを浴びてくるとすでに夕食の準備が出来ていた。時刻は21時半なかなかに遅い夕食だ。


「待たせたね。食べようか。」

「うん、食べよ。」


「頂きます」

「頂きます!」


 お好み焼きを割るとイカとかエビが入っていた。


「シーフード?買ってきたんだ。」

「うん。たまにはいいかなって?嫌だった?」


「ううん、それより外に出てたのが嬉しいよ。」

「ん?よく外は出てるけど?」


「えっ?そうなの?」

「うん、コンビニにはよく行くよ。お昼を買いに行ったりお菓子買いに行くこともあるよ?」


「……お菓子はどこにあるの?」


 この一言に文華は目を逸らした。つまりは隠し持ってるという事だ。


「私にも半分は頂戴ね。」

「うん……次からは残しておくね。」


 この言い回しはつまり全部文華の胃の中という事だ。


「食べ物の恨みは怖いわよ?」

「謝ったら許してくれたりする?」


「今夜は大プロレス大会になりそうね。」

「やだ!」


 とりあえず勉強も洗い物も置いといて……思う存分プロレス技をかけて文華を堕としたそれでこの日は終わった。


 次の日……


「じゃあオーダー取ってみようか!」

「はい!」


 私はバイトで一歩ずつ成長していた。オーダーは昨日文華を堕とした後、メニューをしっかり覚えてきた。そのおかげでオーダーを取るのは出来た。けど……


「ここ、ミスってるよ。」

「えっ?ミスってますか?」


「うん、ここタレじゃなくて塩だよ。」

「す、すいません!」


 先輩が後ろで見ててくれて更にオーダーも取ってくれてるので分かったミスだが、まだまだ正確性がない事を知らされた。今日はオーダー取りに専念してミスは2回あった。次の時は0にする。一つ一つ、確実にできるようになっていくしかないんだ。何事も……


 そして帰ると再びソースの香りがした。


「ただいま!今日は焼きそば?」

「おかえり、残念焼きうどんだよ。」


「何、ソースブームなの?」

「うん、明日は焼そばにする。」


「米が食べたいんだけど?」

「……関西ではたこ焼きをおかずにご飯食べるみたいだよ?」


「太るでしょうが!!」

「理子は痩せてるから少し太らないと……イタタタ!」


 私は言い訳をする文華を4の地固めを決めてやった。


「そういう問題じゃないのよ……栄養バランス考えなさい……あと、最近は文華のゴタゴタで忙しかったからやつれたの……その辺も反省して明日はバランスの良いさっぱりした料理にしなさい……いいわね?」


「明日は焼きうどん……いたたたた!ギブギブ!分かった!分かりました!」


 疲れてるのにプロレス技は余計に疲れた……もう少し簡単なお仕置きを考えとこう。

 ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新もお楽しみに!


 面白い、続きが気になるという方はブックマークをしてお待ち頂けると幸いです。

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