↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅蓮荘奇譚 弐  作者: 天城なぎさ
第弐拾玖話 異界転移
PR
91/95

第弐拾玖話 漆

 駅から少し住宅街に入った辺りで、ノスタルジックな雰囲気を醸し出す喫茶店に到着。


「ハードボイルドな店主がいるのかな」

「級長、何言ってんの?」

「何って、店名がマーロウだよ? ハードボイルドな探偵の名前なんだ。世界的にも有名だよ」

「舜氏。世界的に有名なのは、ホームズだろ」

「はいはい。この話の続きは、中でしよう。それとも響希と舜氏は、外で話してる?」


 カララン。と鳴り響くドアベルの音に気づいたのか、バックヤードから白髪交じりの中年男性が現れた。


 店内も落ち着いたノスタルジックな内装で、『これぞ喫茶店!』と言える。

 心地よい音楽が流れていて、居心地良さそう。


「いらっしゃいませ。何名様ですか?」

「七人です。大人数ですみません」

「いえいえ、たくさんの方に来て頂けて、嬉しい限りです。どうしましょうか、四人掛けのテーブルでよろしいですか?」

「はい」


 高坂先輩が対応してくれて、私たちは四人掛けテーブル二席に分かれて座った。


「さてさて。ごめんね、桃麻氏、りんちゃん。お邪魔します」

「どうぞ、僚(つかさ)氏。ゆっくりしようぜ」

「何飲もうかな。お、桃麻、僚(つかさ)君! ミルクセーキある! クリームソーダも捨てがたいっ!」

「じゃあ、俺とシェアするか? 両方頼めば、両方飲める」

「良いね、それ!」


 メニューを見ながら、私たちが飲み物を決めていると、僚(つかさ)君が私たちを見てニヤついている。


「熱々ですな~。お二人は」

「そんなことは、ない。よね? 桃麻」

「そうそう。華鈴とは幼なじみだから、いつも通りだよな」

「そっかそっか。微笑ましいね」

「僚(つかさ)君は何飲む?」

「僕はね、メロンソーダ」


 飲み物を注文して、いよいよ本題へ。

 響希君たちの方も飲み物が決まったようだ。


「どうしますよ、皆さん。僕はどちらでも良い」

「結界が張られている以上、俺としては土地神に会いに行く」

「結界ってヤバいの? あたしたちは妖怪見えないし、よく分かんない」

「俺も妖怪見えないけど、土地神だっけ? 興味ある。華鈴が行くなら、通訳してくれるだろうしな」

「私はキュアライフに行きたい。せっかく皆で来たのに、もったいないよ。高坂先輩はどうですか?」

「ん~。ここまで来たんだもんね。キュアライフに一票」

「俺も、キュアライフ。妖が見えるようになったけど、まだ気持ちの整理が出来てない……」


 話をまとめると、中立が二票。土地神の音築に会いに行くが二票。キュアライフが三票。


「決まりだね。キュアライフに行こう」

「音築には会わないのか」

「私たちだけだったら、音築一択だったね」


 妖眼である私たちだけなら、音築を迷わず選んでた。だけど、今日は違う。妖眼じゃない桃麻や吾妻さん、高坂先輩はそうじゃない。


「お待たせしました。アイスコーヒー二つとアイスティー二つです。こちらはミルクセーキとクリームソーダ、メロンソーダです」

「ありがとうございます。あ、ミルクセーキはこっちです。クリームソーダとメロンソーダも。ありがとうございます」


 私たちのテーブルでは、僚(つかさ)君が受け取ってくれた。


「はい。クリームソーダはどっち?」

「俺で良いか?」

「いいよ。ミルクセーキは私」

「りんちゃんがミルクセーキね。桃麻氏がクリームソーダ」

「ありがとう、僚(つかさ)君」

「ありがとう、僚(つかさ)氏」


 するとマスターが、カウンターに戻らず、何か言いたげにしている。


「皆さんお若いのに、音築様をご存知でしたか」


 驚きのあまり顔を見合せる私たちは、しどろもどろ。

 マスターに音築のことを聞いてみるのか、聞かないのか、誰も答えを見つけられない。

 だけど何か知っているのなら、聞いてみるのも悪くないはず。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。