第弐拾捌話 弐
竹中さんが運転する車で、一時間くらい。
新潟市にある、日本人なら誰もが知る有名ホテル、コタニホテルに到着。
「着きましたよ」
「ありがとうございました。竹中さん」
駐車場から、竹中さんと一緒にホテルの中へ。
フロントには、父の幼なじみである、コタニホテルの支配人、小谷宏昌さんの姿が、見受けられた。
「ようこそ、コタニホテルへ。大きくなりましたね。僚君」
「お久しぶりです。父共々、いつもお世話になっています」
「いえいえ、こちらこそ。幸治なら、バーにいるんじゃないかな」
「これからディナーだと言うのに、もう飲んでいるんですか。あの人」
「仕方ないよ。外国人女性と一緒のようだしね」
外国人女性? 聞き捨てならない言葉だなぁ。
しかも何で、親子でのディナーだと言うのに、見ず知らずの女性を連れてくる?
あの人、僕とのディナーを、楽しみにしていたんじゃないのか?!
「外国人女性? 竹中さん、どういうことですか?」
「あー、うん。その人のことは、後ほど」
「そ、そうだ。僚君。エントランスでお待ちになりますか? それとも、レストラン?」
「レストランに行きます。行きましょう、竹中さん」
竹中さんも、小谷さんも知っているような、そんな感じがする。だけどそれは、本人の口から聞かなければ、僕は納得したくない。
小谷さんに連れられ、竹中さんとエレベーターに乗る。
レストランは確か、五階だったかな。
「小谷さん。ディナーの後で、卓球やりません?」
「最近、全くやってないから、かなり鈍ってるよ?」
「僕も中一以来なので、大丈夫です。イライラが治まれば、良いだけなので」
「幸治はいつも、我が道を行く人だから、少しは周りを気にして欲しいよね」
「そもそもの話、息子とのディナーに、女性を連れて来ます? あり得ないですよ。普通」
「こちらとしても、止めたんだけどね。僚君に紹介するんだって、全然聞いてくれなくて」
小谷さんでも止められないのが、父である。
我が道しか考えることが出来ず、こうと決めたら一歩も譲らない。
「先生の調子は、イギリスでも変わりませんよ。俺も振り回されていたりします」
「竹中さんの心中、お察しします。父がすみません」
会話をしていると、いつの間にか五階に到着。
これから、父と会わなければいけない。後戻りも出来ないし、ここは覚悟を決めよう。
エレベーターを降り、五階フロアに足を踏み入れる。
「フーッ。よし!」
息を吐いて、一度リラックス。決戦の地は、エレベーターから数十メートル行った、突き当たりのレストラン。




