表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅蓮荘奇譚 弐  作者: 天城なぎさ
第弐拾漆話 妖と暮らす
75/95

第弐拾漆話 漆

 空きビンを探すため、僕たちは、海水浴場へ。

 妖がいることを悟られないように、僕が一人言ばかりを言っている、変な奴だと思われないように、海水浴客から距離をとる。


『賑やかですね。(つかさ)様、斑牙様、見てください。綺麗な欠片です』

『そうですね。こちらにも、ありますよ』

「シーグラスだ! 中々手に入る物じゃないよ」


 ミサカと斑牙は、緑色のシーグラスを見つけて、おおはしゃぎ。


『綺麗ですねぇ。ミサカ殿、こちらは赤です』

『たくさん集めましょう! 斑牙様、あちらにも、あるかもしれません!』

「シーグラスを集めに来たワケじゃないよ? 空きビンを探すんでしょ?」

『そうですが、(つかさ)殿。海など、滅多に来れる場所ではございません。本日は、楽しみたいのです!』


 レディー二人は、シーグラスの虜になってしまったらしく、空きビンは僕だけで、探すことになってしまった。


「もう! 僕の目の届く範囲だけにしてよ~!」

『分かりました。ミサカ殿、参りましょう!』

『はい!』


 空きビンなんて、すぐに見つかるはず。なんて考えていたけれど、そう簡単には見つからない。


「シーグラスは見つかるのに、空きビンが見つからないとか、あり得ないでしょ」


 照り返す日差しは、暑くて暑くて。飲み物は無いし、海の家に行って、買って来よう。


「斑牙! ミサカ! 僕、ちょっとここから離れるよ!」


 波の返る音と、海水浴客の賑やかな声だけで、返事がない。

 よほど夢中になっているんだろう。


「まったく。仕方ないか」


 二人のことは、少し目を離してても、多分問題ない。

 そんなことより、僕の方が問題だ。


「熱中症で倒れたら、夏休みが台無しになっちゃうよ」


 ***


 海の家に近づいてみると、かき氷もあるし、ラムネもある! 

 海水浴客ばかりで、混雑しているけれど、飲み物だけなら、すぐに済む。


「ペットボトルのウーロン茶と、ラムネを下さい」

「はーい。二つで二六〇円です」

「じゃあ、これで……。え? 高坂先輩?」

「花里君だぁ! 何でこんな所に?」


 海の家で、高坂先輩に会うことになるなんて。響希はこの事を、知っているのだろうか。


「知り合いの妖に、会いに来たんです。先輩こそ、バイトですか?」

「うん。専門学校の友達とね。短期バイト」

「最近、響希と会ってます?」

「明後日、バイト休みだから、二人で映画を観に行く予定だよ」

「ラブラブですね」

「そうかな? 響希君には、寂しい思いをさせてるからね」

「僕から見れば、微笑ましいですよ」


 他愛のない会話をしていると、高坂先輩を呼ぶ声。

 バイト中の、高坂先輩の邪魔は出来ない。


「だと良いなぁ。ごめんね、呼ばれてるから、行くね」

「こっちこそ、すみません。長々と。バイト頑張って下さい」


 暑すぎるのは、真夏の太陽のせいにして、僕はラムネのビー玉を押し込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ