第弐拾漆話 壱
夏休み初日。斑牙と一緒に、朝食のスクランブルエッグと、カリキリベーコンを作っていると、朝から珍しく、父から電話があった。何だろうと電話に出てみる。
「ハロー?」
『ハロー、僚。グッモーニン!』
「おはようございます。で、何の用ですか? あ、そちらは夜ですね」
『うん、夜だよ。真夜中だよ。元気かい?』
「とりあえず生きてます。無事です。生存確認だけですか?」
『明後日からしばらく、日本で仕事なんだ』
帰ってくるらしい。父が帰ってくると、何かと騒がしくなる。僕はあの人が嫌いだ。
「そうですか。朝一の飛行機で来るんですね。分かりました」
『うん。よく分かったね。コタニホテルに予約入れたから、一緒にディナー食べよう』
「こっちには、来ないんですね?」
『そのつもり。皆元気かい?』
「じいちゃんは腰を痛めてて、今は入院してます。ばあちゃんは元気です」
いつもは、自分の両親の心配なんてしないのに、今日に限って心配するとは。
「そろそろ、寝たらどうですか? 朝一の飛行機なんでしょ?」
『そうだね。じぁね、グッナイ』
通話を切り、ジーンズのポケットにスマホ入れる。
トースターに入れていた食パンは焼き上がり、ちょうど良い焼き上がり。
リビングに二人分の食パンとブルーベリージャムを運び、カリカリに焼いたベーコンと、スクランブルエッグを皿に移す。
「斑牙。ブルーベリージャムが無くなりそうだから、食べて良いよ」
『僚殿はどうなさるのです?』
「僕はチーズがあるから、大丈夫」
ピザ用チーズが残ってたはず。ピザソースを塗って、なんちゃってピザでも作ろうか。
「そうだ。ピーマン残ってる。ウインナーもあるし、玉ねぎが、半分くらい残ってるはず」
『ナポリタンでも作られるのですか?』
「なんちゃってピザを、作ろうと思ってね。斑牙も食べる? 食パンで作れるんだよ」
『食べてみたいです。お願いします、僚殿』
「任せなさい! ジャムは、ヨーグルトにでも入れようか」
と、言うわけで始まりました、つっちーキッチン!
本日作るのは、なんちゃってピザ。
『持ってきましたよ』
「ありがとう、斑牙」
助手の斑牙さんは、何も言わなくても、リビングに運んだ食パンを、持ってきてくれます。
それでは。先ずは、ピーマンを輪切りにします。あまり力は入れないように、切りましょう。潰れて割れてしまうので。
はい、次。
玉ねぎは繊維に沿って、薄くスライスしてくださいね。
冷蔵庫に入れて冷やすと、目にしみなくなります。これは、皆さん知ってますね。
でも、冷蔵庫で冷やしてから使うと、時間が掛かってしまいますよね。そんな時は、冷凍庫へイン! 時短になりますよ。
続いては、ウインナー。これは、斜めに切ってください。特に言うことはないです。厚さは、お好みで。
食パンの片面に、ニンニクで香りを付けてから、ピザソースを塗ると、ワイルドな感じに仕上がります。
具材はお好みでのせてくださいね。チーズはお忘れ無く!
僕たち、朝にパンを食べる時は、いつも二枚ずつと決めています。
もう一枚の方には、そのままピザソースを塗って、具材をのせたら、ピザ用チーズをのせ、ここで一手間。
オリーブオイルを少し掛けてみてください。
おっしゃれなピザに大変身しますよ。
あとはオーブンで焼いて、お召し上がりください。




