第弐拾陸話 壱
今日の天気は、晴れ後曇り。雨は降らないと、天気予報で言っていた。
暑い日差しの下、学校へと向かっていく。
「響希~! おっはよ!」
「朝から元気だな。真代」
「考えてくれた? 昨日のこと」
「全く。戻る気はない」
あと少しで校門だというのに、後ろから真代に声を掛けられるとは。不覚。
「つっちーとは、一緒じゃないんだね」
「今日は、俺が少し早く出たからな」
「ラケットはどうしてる?」
「まだ持ってる。捨てるに棄てられない。ラバーを張り替えれば、まだ使えるだろ。欲しいなら、いつでも良いぞ?」
「響希のラケット、シェイクでしょ。俺は要らないよ」
話しながら歩いていると、いつの間にか、生徒玄関の中に来ていた。僚の姿は見えない。
「朝練は? 漣はまだ来てないのか?」
「朝練はないよ。れんれんは、まだ来てないね」
「お前たちは、暇なのか?」
「暇ではないよ。夏休みになれば、練習試合が控えてる」
「俺たちを誘ったところで、ブランクがあるから、練習にすらならない。諦めてくれ」
教室に向かう俺たちの背後から、僚と漣の話し声が聞こえてきた。
「あ、響希! まっしーといるってことは、まさか響希も?」
「察しが良いな。漣も真代も、俺たちのことは、忘れてくれ」
「そうはいかないんだよ。三年の先輩が引退して、部員数が四人だけ。団体戦に出れないんだ」
「俺も真代も、次の大会で優勝したい。頼めるのは、響希と僚だけなんだ」
「僕たちのブランクは長いよ。それに、中学と高校でのレベルは、桁違いでしょ?」
そう。僚の言う通り。俺たちにはブランクがあるし、中学と高校のレベルは桁違いだ。
「何があったんだよ。中一の時に」
「そうだよ。何があったの? 俺も、れんれんも、何も知らないままなんだよ?」
いきなり辞めた時も、その後何度も、辞めた理由を問われてきた俺たち。いつか話さなければならないと、そう思ってきた。
「教室でゆっくり話す。それで良いか?」
「響希。話すの? あの事を?」
「もう、ここまで来たんだ。理由を話さなければ、俺たちだって解放されない」
「そっか。分かった。僕も話すよ」
教室に入ると、まだ誰も来ていない。華鈴も吾妻も来ていない、静かな教室で、話すとしよう。
「まだ誰も来ていないなんて、珍しいね。ね、響希」
「そうだな。まるで、俺たちの為にいないようだ」
「それじゃあ、話してもらおうか。何があったのか、どうして辞めたのか」
「響希の席の周りに集まるか。その方が良い」
各々、鞄を机の上に置き、俺の席の周りに集まった。この時が来たのかと思うと、心臓はバクバク。
「おはよう。早いね。皆」
「おはよ。あー、あたしたちは入らない方が良かった?」
「おはよう。雪村さん、吾妻さん。俺たちのことは気にしないで。すぐに終わるから」
華鈴と吾妻が、教室に入ってきてくれたおかげで、少し落ち着いた。それじゃあ話そう。




