表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅蓮荘奇譚 弐  作者: 天城なぎさ
第弐拾伍話 蛍火舞う空
59/95

第弐拾伍話 陸

 翌日。キョウカ様は、二階の突き当たりの部屋で、一夜を過ごした。

 これは、俺と日向だけの秘密。キョウカ様を匿っていることは、誰にも知られてはいけない。


「響希、おはよー!」

「朝からテンション高いな。(つかさ)

「高くしてないと、心配なんだよ」

「何かあったのか?」

「昨日、響希は紅蓮荘に来なかったから、知らないと思うけど、キョウカ様がいなくなったんだ」

「キョウカ様がいない? 小さき友人たちは、知らないのか? キョウカ様の行方を」


 やはり、大事(おおごと)になっていたか。(ウチ)に居ると伝えたら、キョウカ様の自由はない。


「シキは、何か聞いてないのか?」

「シキも知らないって。森中の妖たちも、キョウカ様がいなくなった事に、驚いてる」


 なるほど。誰にも伝えずに、俺んちに来たわけか。とにかく、キョウカ様の居場所に関しては、黙秘するしかないな。


「おはよー。りんちゃん、キョウカ様の居場所、分かった?」

「おっはー」

「おはよう。二人とも。私の方も、何も分からなかった」

「いなくなったらしいな、キョウカ様」

「そうなの。式神たちも捜索に加わったけど、妖気が森の中だけに残ってて。まだ森の中にいるのかな?」


 教室に入っても、キョウカ様の話題。キョウカ様が、小さき友人たちと離れたがっているのは、何か理由があるはず。それが分からないうちに、教える訳にはいかない。


「おはよう。お三方。朝から、盛り上がってるね」

「おはよう、吾妻さん。知り合いの妖が行方不明になってて、その事でね」

「妖が行方不明? 心当たりはないの? いなくなった理由とか、居場所とか」

「それが分かったら、僕たち、すぐに見つけられるよ」


 続々と教室にクラスメイトたちが入ってきて、この話は終了。何事もなく、一日が過ぎていくことを、ただ願うばかり。


 ***


「僕さ、捜索範囲を拡げるべきだと、思うんだよ」

「霞ヶ森近辺で、キョウカ様が行きそうな場所なんて、ある?」

「うーん。行きそうな場所かぁ……。皆目、検討もつかない」

「妖といえど、そんなに遠くには行ってないだろ。俺は俺で探してみる」


 昼休みはいつも通りに、視聴覚室で話し合いをする。今回は、キョウカ様が見つからない限り、終わらない。


「そういえば、昨日来なかったね。響希君」

「真代に捕まった。卓球に戻って来てほしいらしい。(つかさ)にも、言うってさ」

「僕たち、卓球はもうやらないのに。まっしー、どうしたんだろ?」

「さぁな。今は、キョウカ様の行方の方が、大事だ」


 ヤバイな。俺の我慢が限界を向かえる。とにかく、早く終われ。今日という一日!


「今日が、休日だったら良かったのにね。僕たち、キョウカ様探しを、一日中出来たのに」

「まだ金曜日だもんね。あと世界史と英語が待ってる……」

「長いな。一日」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ