第弐拾肆話 漆
紗奈の彼氏さんの奢りで、私と紗奈はピザとポテトをシェア。
「お友達さんも、紗奈みたいに美大志望?」
「いえ。進路はまだ決まってないです」
「えっ! 決まってないの!? 良かったぁ。同志がいた」
「隼人と華鈴を、一緒にしないで。隼人と違って、悩んでるだけなんだから」
「今日の紗奈、冷たくない?」
美術館で過ごすお昼も、何だか落ち着く。今度、また何か展覧会があったら、その時は桃麻も一緒に。
「それで。カルマ様の居場所、何か分かった?」
「うん。居場所はね。でも、探さないといけないから、もう少し時間がかかるかも」
「そっか。それでも良いよ。カルマ様と絵の話をしたいだけだし。それにまた、公園で会えるしね」
「ちょっとちょっと~。カルマ様って誰? 俺も話の輪に入れてよ」
紗奈の彼氏さんは、あっという間にトーストをペロリとたいらげて、私たちの会話に入ろうとしている。
「隼人には、関係ない話なの。ガールズトークに入ってこないで」
「他の男の話なら、聞き捨てならないよ?」
「他のクラスの女子を、口説いていた奴に言われたくないんだけど」
「それに関しては、申し訳ありません。紗奈さん」
「許す代わりに、私たちの話を聞かないで」
おお。紗奈強い。
「じゃあ。俺はイヤホンして、ゲームしてるから、いない者として、お話ください」
ワイヤレスイヤホンをして、スマホゲームを始めた、紗奈の彼氏さん。申し訳ない気持ちになるけれど、聞かれたくない話。
「カルマ様がいる場所なんだけど、霞ヶ森にいるみたい」
「霞ヶ森って、絶対に入ってはいけない森だよね? そんな所にいるなら、公園に戻って来るのを待つしか……」
「大丈夫。いつ戻るか分からないし、紗奈は早く話したいでしょ? だからね。霞ヶ森付近で会うのは、どうかな。人目につかないような場所」
「森付近で、会える場所なんてある?」
「巾王神社はどうかな」
うーん。と、考え込んでしまった紗奈。カルマ様と会うことは、いつでも出来る。美大志望で、塾に通っている今、何度も話をして、素敵な作品を描いて欲しい。
「巾王神社ね。そこで会えるなら、すぐにでも会いたい」
「良かった。じゃあ、今日探してみるね」
「華鈴。霞ヶ森に入るの?」
「うん。でも、大丈夫。あの森には、危険はないよ」
「でも、昔から云われてる。危険は犯さないで」
「じゃあ、知り合いの妖に手伝ってもらうよ。それなら、良いでしょ?」
「何だか、華鈴は変わったよ。以前の華鈴じゃないみたい」
「妖と触れ合ってきたから、多少は変わったかもね」
ピザを一切れ食べながら、曇り空の窓の外を見てみる。雨が降りそうな天候だけど、今日は降らない予報だったかな。




