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紅蓮荘奇譚 弐  作者: 天城なぎさ
第弐拾参話 いつまでも。
44/95

第弐拾参話 漆

 翌日。快晴とまではいかない、晴れ空の下。


「晩御飯までには帰って来るように。何かあったら、すぐに電話して下さい。では、解散!」


 これから、グループで自由に散策をする。グループは、私と同室の(かえで)、桃麻、楓の彼氏の大和の四人。


「清水寺、楽しみだね~!」

「楓は御朱印帳持ってきた?」

「当たり前でしょ。お寺と神社で一冊ずつ。華鈴は?」

「私も、二冊持ってきた。楽しみだね」


 これから私たちは、電車とバスに乗り、予定している五ヶ所に行く。余裕を持たせた予定で、一番乗りで戻ってこれるだろう。


「あ、ヤバい。トイレ行って良い?」

「大和。お前、食い過ぎ!」

「ゴメン! ちょっと待ってて」

「はぁ。食べるのだけは、好きなんだよね。ごめんね、二人とも」

「大丈夫。余裕をもたせた予定だから、遅くなっても、間に合うよ」


 私たちは旅館の一階で、大和がトイレから戻ってくるのを、待っている。


「楓、大和とよく付き合ったな」

「押しに負けたの。ホント、嫌になることばっかり。デートなんて、遅刻常習犯なんだから」

「大和の彼女は、大変そうだね」


 かれこれ二十分くらい、大和はトイレに籠ってしまった。中々戻ってこないため、余裕がなくなって。


「大和まだかよ。俺らの観光、どこか諦める?」

「諦めるなら、伏見稲荷か金閣寺は? 八坂神社に行くし、諦めてもいいよ」

「伏見稲荷と金閣寺を諦めても、後悔はないよ」

「それにしても、まだかよ!」


 大和が戻ってきたのは、約一時間後。スッキリしたみたいで、満面の笑みを浮かべている。


「ごーめーん! 中々腹痛が治らなくて」

「大和。金閣寺は無しになった。あと、伏見稲荷も無し」

「えー! なんで!? 予定は、余裕をもたせたんじゃないの?!」

「今、何時だと思う? 皆は出発して、多分、一ヶ所目を観光してる」

「あー、これはもう無理だね」

「どうしてくれるの!? たった三ヶ所だけじゃない!」

「すみません。行こ。清水寺からだよね?」


 そんなこんなで、一時間遅れで出発した私たち。電車とバスの時間もズレてしまい、観光どころの話ではなかった。


「あれ? 八坂神社に行くバスは、こっちから?」

「大和。もう、ついてくるだけにしてくれ。時間がないから、お昼はコンビニだな」

「このままだと、そうなるね。楓、足大丈夫?」

「うん。靴擦れで血が出てるけど、なんとか」


 お土産屋さんで、焼き八ッ橋と生八ッ橋を買って、桃麻とお揃いのストラップも購入。映画村で、たくさん見てまわるために、余裕なんてない。

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