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紅蓮荘奇譚 弐  作者: 天城なぎさ
第弐拾参話 いつまでも。
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第弐拾参話 陸

 晩御飯を終え、お風呂にも入ったら、消灯時間までは自由時間。部屋には私だけが残っていて、襖の前にいる女の子と、二人きり。


『お人形、見つかるやろか』

「見つけてみせるよ。大事なお人形なんでしょ?」

『優しい人やな。私を見ても、怖がりもせん』

「慣れてるからね。旅館の人に聞いてくるね。防空壕があった場所が分かれば、お人形が見つかるでしょ」


 防空壕があったことを知っているとしたら、かなり年配の人に聞くのが、一番。だけど、誰に聞けば良いんだろう。とりあえずフロントに行ってみようか。


 階段を降り、一階のフロントへ。大女将さんかな。フロントで作業をしていて、他に誰もいない。


「すみません。大女将さん」

「あら。どないしはりました?」

「昔、この旅館には、防空壕があったんですよね? それは、どこですか?」

「防空壕? 何故それを、知ってはるん?」

「親戚から聞きました。昔、この辺りに住んでいたらしくて」

「防空壕に興味があるなんて、変わったもんを好まれますな」


 大女将さんは、作業を止めてくれて、私の話を聞いてくれた。女の子のことは触れず、親戚と偽って。


「親戚が小さかった頃、この旅館の防空壕の中で、大事なお人形を、落としてしまったそうなんです」

「お人形さん?」

「どんなお人形なのかは、分かりません。防空壕で落としたとしか、聞いてなくて」

「ほんなら、行ってみましょか。今、防空壕はウドを育てるために、使っているさかい」

「よろしいのですか?」

「構いませんよ。ただ、今日はもう遅い。明日、晩御飯の後に行きましょ」


 大女将さんと約束して、明日の晩御飯の後、防空壕に連れてってもらえる。


「明日、よろしくお願いします」


 部屋に戻り、防空壕に行けることを、女の子に伝えなければ。これで、女の子も安心だろう。


 引戸を開け部屋に入ると、女の子以外誰もいない。


「明日、晩御飯の後、防空壕に連れてってもらえるの。お人形、探してくるね」

『ホンマに! やった! いっちゃんに渡せる。これで、未練は無くなる』

「いっちゃんって、誰なの?」

『この旅館の子や。べっぴんさんなんやで』

「そうなんだ。ねぇ、生きてたら、何歳になるの?」

『せやな。もう八十歳やな。うん。八十歳や』


 この旅館の子なら、大女将さんに聞けば、きっと分かるはず。八十歳くらいなら、大女将さんくらいかな。


「華鈴。何話してたの?」

「え?! びっくりしたぁ」

「女の子と話してたの?」

「お人形見つかった?」

「ふぁあ。眠い。先寝るね」


 もうすぐ消灯時間。先生達が見回りにくるから、早く寝なければ。

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