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紅蓮荘奇譚 弐  作者: 天城なぎさ
第弐拾参話 いつまでも。
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第弐拾参話 伍

 急いで一階に降り、皆で晩御飯。メニューは、すき焼きとお新香。京野菜の天ぷらに、お刺身。

 豪華すぎるメニューに、気が引けてしまう私をよそに、皆はカメラで撮影していた。


「華鈴、遅かったね」

「何かあった?」

「ちょっとね。人形を探さないと、いけなくなって」

「人形? 何で?」

「部屋にいた女の子に、頼まれちゃって」


 同じ部屋のメンバーで、テーブルを囲む。すき焼きを作って、あとは各々、食べることになっているけれど、すき焼きって、どうやって作るの?


「じゃあ、作りますか。関東風にする? それとも関西風?」

「関東風がいい! その方が食べなれてるし」

「私も。関東風で」

「えー? 京都に来たのに、関西風にしないの?」

「だよね。私たちは関西風がいい」

「華鈴は? どっちにする?」


 関東風と関西風の違いが分からない。そもそも、違いがあるのかどうか、私は知る由もなく。


「関東風と関西風って、違うの?」

「最初にお肉を焼くか、最初に割下を入れて、煮込むか。その違いかな。華鈴、もしかして初めて?」

「初めて。皆は食べたことあるの?」

「あるよ。年に一、二回くらいかな。年始とお盆に、親戚が集まって、一緒に」


 すき焼きを食べたことがないのは、まさかの私だけ。十四年と十ヶ月生きて、すき焼きの経験値がない。


「華鈴の家はさ、お父さんが単身赴任してるんでしょ? 帰ってきた時に、食べたりは?」

「全然。バイキングビュッフェに行くから、すき焼きとは無縁で」

「それなら、関東風の作り方、見る? 家で作る時があったら、作れるでしょ」

「二人は良いの? 関西風で、食べたかったんだよね?」

「華鈴の初すき焼きだから、譲るよ」

「家で関西風作ればいいし、華鈴の初めてを、奪いたくない」


 中学の同級生は、保育園や小学校からの、同級生だけ。小学生の頃は色々あったけど、中学生になってからは、理解してもらっている。


「関東風でも関西風でも、割下で味が決まるから、気にすることないよ」

「そうそう。華鈴って、色々気にするよね。部屋のことだって、怖いけど、仕方ないし」

「まぁ、私たちは平気だけど、紗奈たちがねぇ。華鈴、私たちと同じ部屋だから良いけど、紗奈たちには気をつけなよ」


 紗奈は保育園からの知り合いで、()()()()が見える私を、良く思っていない。


「すき焼き、美味しいよ。皆、食べた?」

「どれどれ。あ、ホントだ。美味しい」

「華鈴も食べなよ。美味しいよ」

「う、うん」


 初めての京都。初めてのすき焼き。関東風で作ってもらったこのすき焼きは、一生忘れることはないだろう。

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