第弐拾参話 参
中学生の修学旅行は、奈良・京都・大阪の関西定番コース。大仏、お寺、お城。神社にも行って、歴史的建物を巡る、定番中の定番。
「ここ、座ってもいいですか?」
『構わんよ。なんや、この辺の者やないな』
「旅行で来ました」
『りょこー? なんやそれ?』
「旅かな?」
『そーか。旅か』
奈良での自由時間に、アイスを買って、お店の外で食べようと、空いてるベンチを探していたら、着物を着た女の人が左端に座っている、ベンチを見つけた。
何故かそのベンチだけ空いていて、私はその人と間を開けて座ることに。
「華鈴。誰と話してるんだ? まさか、あやかしか?」
え? あやかし? この人は、あやかしなの?
『妖が見えるんね。嬢ちゃん、気ぃつけや。この辺りは、怨霊も多いさかい』
「気をつけます。忠告、ありがとう」
「いいな。あやかしと話せて」
「怨霊が多いから、気をつけなさいって」
「古都はその類いが多いからな。華鈴が特に気をつけろよ」
桃麻も同じベンチに座り、一緒にアイスを食べることに。担任の先生に写真を撮られて、お互い焦ったことが、思い出。
「そろそろ移動の時間か。行くぞ。華鈴」
「もう、そんな時間?」
「そんな時間。行くぞ」
立ち上がり、バスへ向かおうとしていたら、座っているあやかしが話し掛けてきた。
『ちょっと、待ちぃな。嬢ちゃん。アンタに、良からぬ妖が近づくやもしれん。気ぃつけや』
「はい。貴女もお元気で」
桃麻は先に行ってしまい、急いで桃麻を追いかける。時間には間に合って、バスの中でゆっくりと呼吸を整えられた。
「それでは、このまま京都へ向かって行きますよ~! 京都といえば、寺社仏閣が有名ですし、お土産もたくさん! 今日は旅館でゆっくりしてもらい、明日、たくさん遊んでくださいね!」
元気なバスガイドさん。京都では、金閣寺、清水寺、伏見稲荷、八坂神社、映画村に行くことが決まっている。
でも、奈良では自由行動が出来たけど、京都ではグループ行動。
幸いにも、桃麻と同じグループになれた。京都観光は、満喫するつもり。
「運が良ければ、舞妓さんに会えるかもしれませんが、観光地で見かける舞妓さんは、舞妓体験をしている観光客なんですよ」
へぇ。舞妓さんは観光地にいないんだ。初耳。それなら、舞妓さんはどこにいるんだろう。
「舞妓さんたちがどこにいるの? って、思いますよね。舞妓さんたちは、花街と呼ばれる、地域に集団で暮らしています。夜になると、お茶屋さんに出向いて、接待をされるんですよ。昼間は、踊りのお稽古をされるので、皆さんは会うことが出来ません。ですが、大人になって、お金持ちになったら、会えるかもしれませんよ」
そう簡単には会えないよね。会ってみたかったけど、会えそうにないか。
「はい。京都に入りまして、間もなく、旅館に到着いたします。晩御飯は何ですかね。京都なので、すき焼きとかお新香ですかね~。楽しみにしてて下さいね」
晩御飯は何だろう。楽しみ過ぎてお腹空いたな。




