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紅蓮荘奇譚 弐  作者: 天城なぎさ
第弐拾弐話 迷いの杜
36/95

第弐拾弐話 漆

 私たちの近くに、ツグノハらしき、般若の面の妖が。


「おーい、ツグノハ!」


 私の声に気づいた様子で、その場で立ち尽くしている。私たちがツグノハに近づいて、話を聞くことに。


『華鈴殿。それに、響希殿まで。そちらのお二方は……。妙月殿ではありませんか!!』

『久しいな、ツグノハ。紀伊国以来だな』

『妙月様がいらっしゃるとは。皆様は、玖琉様をお見かけしましたか?』

「ううん。見てない。私たち、邪気の影響で、同じ場所を歩き続けたの」

『とある妖の話では、森の中にある、祠の近くに、いらっしゃるそうです』

「祠? そんなもの、近くには無かったぞ」


 誰も祠を見ていない。祠の近くにいるなら、誰か一人でも、気づくはず。


『邪気が減りましたね。浄めの一波が、放たれたように感じましたが、どなたが?』

『それはボクだよ。ボクとシキ以外、誰も出来ないんだ』

『白牙殿でしたか。汝のおかげで、玖琉様を見つけることが、出来そうです』


 ツグノハが加わり、一緒に玖琉様探し。

 邪気が減ったおかげで、違う景色に変わっていく。


「祠なんて、どこにも無いぞ?」

『おかしいですね。祠があると、聞いたのですが』

「森の中にあるんだよね? この森、かなり深いし、広いよ。ピンポイントで見つけるのは、無理だよ」

『木の上から探してみるか。妙月とともに、木の上から探してみる。お前たちは、このまま探してくれ』


 その時、私の頭に激痛が走った。何かで殴られたような、そんな痛み。


『華鈴殿!?』

「大丈夫。心配事いらない。おそらく、妖念感だ」


 意識が遠退いて、視界は真っ暗。何も見えず、身体中の力が抜け、立っていられない。


 ***


 今年も、来てくださったのですね。玖琉様。見ない内に、少しお痩せになられました?


 この頃、何も食べておりませぬ。水縹(みはなだ)様は、お変わりなく。それにしても、この村には、穢れが少ない。貴女が豊穣の神だからでしょう。人々も妖も、幸せそうだ。


 (わたくし)は、豊穣を願う事しか出来ません。雨乞いの力でもあれば良いのでしょうが、この祠で願い事をしている事しか出来ませんよ。



 玖琉様が話しをしている。女性の声だろうか。何もなく、真っ暗な空間で、誰かと話をしている。



 玖琉様は、木霊(こだま)にお会いしたこと、ありますか?


 木霊ですか。ええ。ありますよ。しかし、この地では見かけませんな。


 大きなクスの木がありますの。そこにたくさんいますよ。そうです。会いに行きませんか? 可愛らしい姿なのです。


 それは、見てみたいものです。ともに参りましょう。



 玖琉様と誰かの会話は、ここで終わり。私の意識も、元に戻っていく。


「ううぅ……」

「大丈夫か? 華鈴」

「響希君。水縹様を探して。そこに、玖琉様も一緒にいるはず」

『水縹様とは? 玖琉様がご一緒とは?』

「豊穣を願う水縹様が、玖琉様と一緒に、木霊に会いに行くみたい。大きなクスの木に……」

『華鈴、立てるか? 無理そうなら、俺背負うぞ』

「ありがとう。キノカサ。お願いします」


 キノカサに背負われ、大きなクスの木を、目指すことになった、私たち。そこに玖琉様がいると信じて。

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