第弐拾弐話 壱
ツグノハという名の、般若の面を着けた妖の依頼で、私たちは。と言っても、私と響希君で、信濃川流域での妖捜索を行うことになった。
広い範囲だから、何日もかかるだろう。
『おや、ツグノハ殿ではありませんか。何故、こちらに?』
『もしや、シキ殿ですか? 玖琉様より、お噂は聞いております。玖琉様を、探して頂きたく、こちらへ』
『そうでしたか。玖琉殿が行方知れずですか』
帰ってきたばかりのシキが、木の間へ入ってきた。飄々としているけれど、驚きが隠せていない。
『もしや、妖たちが傷ついているのは、穢れによるものですね?』
『ええ。玖琉様のみが祓える力を持つ。アタシでは、まだまだ』
『ツグノハ殿。お心当たりはありませんか?』
『アタシには、見当もつかない。何故いなくなられたのか……』
弟子であるツグノハにも、行方を知らずにいる。信濃川流域を調べない事には、何も始まらない。
「とにかく、調べるしかないか」
「じゃあ、行こっか。ツグノハ、貴方もいっしょに」
『はい』
この辺りは、信濃川の中流域。近場から探して、妖たちに聞き込みをしようか。
『清浄の玖琉様が、姿を消したとは、真か? 響希、華鈴』
「そうらしい。手がかりが欲しい。鳥たちは何か言ってないか?」
『玖琉様を知らぬ者が多い。妖でなければ、分かるまい』
「そうか。何か分かったら、教えてくれ。ナラメ」
『多くの妖の為だ。承知した』
鷹の妖、ナラメ。森に住んでいる、妖の一羽らしい。
大きな翼をひろげ、飛び立って行った。
「あんな妖がいたんだね」
「ナラメはこの森に住んでいるが、知らないうちに何処かへ行ってる。あまり姿を現さないんだ」
『鷹の妖とは。中々見ませぬな』
森を出て、信濃川の流域へ。近くにいた小さな妖に聞いても、玖琉様の行方を知る者はいない。
「時間が足りないか。手分けして探そう」
「私、白牙と妖たちに聞き込みしてみるね。ツグノハは、響希君と探してて」
「分かった。行こう、ツグノハ」
『ありがとう。人間の子どもよ』
川岸を、響希君とツグノハに任せ、私と白牙で妖たちに聞き込み。
「ちょっと、いいかな」
『おわぁっ! 人間か!? な、何用だ!?』
「この辺りで、清浄の妖、玖琉様を見かけなかった?」
『玖琉様? この辺りに、来られているのか?』
「来てるみたいなの。だけど、行方不明みたいで」
『確か、岡ノ原の地で見たという妖がいたな』
「岡ノ原ね。ありがとう」
初情報をゲット! 岡ノ原にいるなら、すぐにでも会いに行ける。だけど、もう少しだけ聞き込まなければ。確かな情報にしたい。
『あ、あそこにも妖がいるよ。ボク行ってくるね』
「お願いね。私は、橋の上にいる妖に聞いてくる」




