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紅蓮荘奇譚 弐  作者: 天城なぎさ
第弐拾話 罪深き者
19/95

第弐拾話 肆

 私たちだけでは、長かった一時間半は、シキとキノカサが来てくれたおかげで、短く感じられた。そして私は、重要な事に、気づいてしまったのは、言うまでもない。


「あのー。響希君」

「どうした? 華鈴の分は残しとくぞ?」

「そうじゃなくてね。これから橘先生に会いに、学校に行くよね?」

「それがどうした? 在校生だから、自由だろ」

「自由だよ。そうなんだけど、今日は休日で、私たちは私服だよね」

「休みなんだから、私服だろ。何も、不審な事は何もない」


 響希君と(つかさ)君は、シキお手製の紫花豆おはぎを食べ進め、大皿いっぱいにあった、おはぎは消えていく。


「ちょっとまて。華鈴、俺たちは在校生だよな」

「そうだよ。響希君、気づいた?」

「気づいた。そう言うことか」

「どうする? このままだと、学校には入れないよ」


 話に入って来なかった(つかさ)君が、お茶を飲んで一息つくと、分からないといった表情で、私たちを見ている。


「僕たち、在校生なんだから、入れるでしょ? 二人とも、何言ってんの?」

「いやいや。入れるんだ。確かに、入れる。ただ、ここで問題が発生してる」

「何? 何もないでしょ?」


 (つかさ)君は気づいていない。今日は休日。私たちは私服。お願い。(つかさ)君、気づいて。


「今日は休日。学校の玄関は開いている。僕たちは在校生だから、中に入れる」

「そう、入れるんだ。ただ?」

「あ、私服じゃん! 制服じゃないと、入ったら怒られるやつじゃん!」


 良かった。気づいてくれた。そうなると、着替えて行くしかない。


「着替えてから学校に集合すると、面倒だな」

「呼び出す? 橘先生の連絡先、僕まだ入れてないけど」

「私のスマホ、バッテリー切れたから、使えないよ。響希君は、入ってる?」

「入ってる。呼ぶしか方法がないか。ついでに、謝罪も出来るしな」


 部活は終わった頃だから、電話に出てくれるだろう。

 響希君が橘先生を呼んでくれている間、私と(つかさ)君は、何もする事がない。


「ダメだ。出ない」

「呼び出し音はしてたんだよね? それなら、大丈夫だと思うよ」

「そうだよ、響希。最後の一個、食べても良い?」

「折り返してくれれば、後が早いんだけどな」


 さて、どうする。橘先生と話せないのなら、松坂さんに会いに行くしか、方法がないような。


「松坂さんに会いに行く?」

「家、知らないだろ。それに、松坂が知っているなら、既に封じているはず」

「待とうよ。橘先生から、折り返してくるかもしれないしさ」


 外から入ってくる光が、次第に少なくなってきた。雨が降ってきそうな空模様。

 そして、ポツポツと降ってきた雨が、本降りに変わっていった。

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