第拾玖話 伍
清々しく晴れ渡った、土曜日。桜の満開を待って、今日はお花見の日。
丘松公園までは、電車とバスで向かうことになり、待ち合わせ場所は駅になった。
私は少し早めに、桃麻と一緒に駅に到着。
「まだ皆来てないな」
「電車まで、もう少し時間あるからね」
「お花見とか、したことなかったな」
「そうだね。初めてだね」
「俺の作ったスイーツ、楽しみにしてて」
しばらくして、僚君、吾妻さん、須崎さんが駅に来た。
須崎さんは、二リットルのジュースや、お茶のペットボトルを何本も袋に入れ、疲れている様子。
「早いね~。二人とも」
「月島は、もう向こうに行ってるんだよね?」
「飲み物、これで足ります?」
「級長、買いすぎじゃない? 何本あるの?」
「ジュースが二本、お茶が二本」
「買いすぎですよ。須崎さん」
そろそろ電車が来る時間。私物以外の荷物がない、私と吾妻さんは、須崎さんからペットボトルを一本ずつ預かり、ホームへ向かう。
「まったく。舜が四本も買うから。四本だと、何キロになると思ってるの?!」
「ごめんって。足りなくなるよりは、多い方が良いでしょ。みずきの好きなプーアール茶、作ってきたから。許して」
「プーアール茶に免じて、今日は許してあげるけどっ」
微笑ましい。倦怠期があったなんて信じられない、二人。中学生から付き合っているらしいし、お邪魔は良くない。
「ラブラブだな。級長と吾妻さん」
「倦怠期があったなんて、信じられないよね」
「写真撮っとく?」
「良いね、それ」
スマホをショルダーバッグから取り出し、吾妻さんと須崎さんをパシャリ。
シャッター音はオフにしているから、恐らく二人は気づいていないだろう。
「うん。良い感じ」
「どれどれ。俺も見たい」
「これ。結構、良い感じでしょ」
「だな。ラブラブじゃん。級長カップルは」
撮った画像を桃麻と一緒に見てみる。中々良さげな二人の、ひととき。
「ところで、僚氏は?」
「いない? さっきまでいたのに」
「トイレか?」
「そうなんじゃない?」
電車がホームにやって来るアナウンスが流れ、電車が目視で確認出来る頃、僚君もホームにやって来た。
「間に合ったぁ~。セーフ!」
「僚氏、どこ行ってたん?」
「ちょっと、トイレに。ハァハァ。息上がりそう」
「座って、息整えるしかない! 土曜日だから、少しは空いてるっしょ」
ホームに入ってきた電車は、桃麻の予想通り空いていて、五人分座れる場所が。
「桃麻氏の予想通りだったね」
「俺の予想は、以外と当たるから。崇めてくれて良いから!」
「ありがたや~」
「崇めよ、称えよ~」
ここに響希君がいたら、どんな感じだったんだろう。
とりあえず、この二人のやり取りも、パシャリ。




