第拾玖話 肆
お昼過ぎ、私たちいつものメンバーは、飽きもせずに紅蓮荘に集まっていた。
「それでね。すぐにHRが始まったから、打ち明けなかったんだよ」
「れんれんがねぇ。僕たちの場合、幼なじみだから、あの二人が知ってるのは当然だしね」
「知ったからと言って、何かが起こるわけじゃなかったしな」
「どうしたら良い?」
うーん。と悩んでくれた二人。私だけでは、どうにもならない。
「ほっといて良いと思う。そのうち忘れるだろうし」
「だな。アイツの場合、頭の中のほとんどは、卓球だろうから」
「そうなんだ……。青柳君と平坂君って、卓球強いの?」
「強いも何も、まっしーのお父さんがね、オリンピックの強化選手に選ばれた人だったんだよ。でも、練習前に腰の怪我をしちゃって。今は卓球のクラブで教えてるよ」
「ちなみに、あの二人は一年の時に、甲信越大会で三位だった」
そんなに凄いんだ。夢があるって、毎日が楽しいだろうなぁ。
「ところでさ、お花見どうする? 僕はいつでも良いよ」
「新潟県の開花予想は今週だけど、満開予想は来週くらいみたいだな。俺はいつでも良いけど、あの三人がどう言うか」
「じゃあ、連絡してみるね。一斉にビデオ通話にしよう」
***
『はいはーい。お、響希氏と僚氏! それに、級長と吾妻さんも!』
『珍しくビデオ通話だけど、何かあった? まさか、橘先生?』
『あれ? これでいい? あのー、映ってます?』
電話でお花見の予定合わせ。皆家に帰っているようで、背景に自室の壁やらが映っている。
「ヤッホー。あのさ、皆でお花見行こうよ!」
『お花見? 何処で? あたしはいつでも良いよ』
「場所はね、はい。りんちゃんから発表です」
『お! 何処だ?!』
「えっと、場所はね。丘松公園です!」
『毎年賑わう所ですね。場所取り、頑張らないと』
「場所取りは、俺がなんとかする。良さげな場所を選んでおくから、楽しみにしててくれ。俺は、本当は、美穂さんと行きたかった……」
落ち込む響希君に、皆で哀れみの視線を送る。
本人は分かっているのか、それは響希君にしか分からないけれど。
「料理は僕に任せて! いっぱい作るね!」
『マジで!? 僚氏の料理食えんの!? じゃあ、俺はスイーツ作るから!』
「桃麻の作るパンケーキ美味しいから、皆にも食べて欲しい!」
『それなら俺は、飲み物担当します!』
『舜、張り合わないの。あたしは……。どうしよう』
「私と吾妻さんは……。やることないね」
男子だけで役割分担が済んでしまい、私と吾妻さんはやることがない。
「二人は、食べる担当で良いんじゃないか? あと、撮影担当」
『それで良いの? 後で恨まれるとかないよね?』
「ない。あるわけない」
その後、日時と集合場所を決め、ビデオ通話は終了した。




