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二股

 俺は勇気が想像よりもヤバい安倍晴明&現正教会最強の男教皇アンノウの血を引いているマジの化け物という問題を前に放棄した。


 だって、このままいけば勇気は猫子と付き合いそして思春期に身を任せて・・・そして結婚その後はまあ幸せに生きて下さいって感じだからな。


 うん、多分上手くいくはず、いや、マジで頼むよ。もし白木さんもとい陰陽連と正教会の人が勇気を巡って争うとか止めろよ。完全に俺やクラスメートに飛び火するから。そうなったら本当に面倒やからな、その上、もし俺の両親の仇が関わってたりしたら、ここら一帯更地にしてでもそいつを殺すことになるから。余計に事態は悪化するからな。まあ、イトがいるから大丈夫だとは思うけど。うん多分やけど。多分。いや何かフラグが立った気がする。


 ・・・・・・・


 うん。気にせんとこ。

 しっかし、勇気問題どうするか。何かもう少し備えはしときたいな。備えあれば憂いなしやしね。


 ・・・・・・


 よし、監視を増やすか、勇気の周りに気づかれないように虫型の眷族である蜘蛛と蟻と陰に潜む妖怪を潜ませておくか。

 まあ、今は監視増やすしか出来ないけど、勇気に接触しようとする小規模・中規模組織なら潰していくか。今のところは勇気の力バレていないが、それも時間の問題だろうしね。

 まあ。基本的に大規模組織ってのは結構互いに牽制しあったりであまり派手に動けなかったりするけど。小規模・中規模とかは結構ガッツリそれもなりふり構わずに攻めて来るからな。うん。絶対にどこかで大きな問題を起こすよな。


 まあ、極力そうならないように努力はしていくつもりだけど。多分起こるだろうね。まあ俺には優秀な眷族がいっぱいいるし。もしも問題が起こっても。何とかなるやろ。

 さて、取り敢えずはこれで大丈夫だろう。あまり考えすぎても良くわないしな。

 というわけでイトとラブラブイチャイチャして寝ますか。


 ―――――――――


「陰晴、もう朝だよ、起きて。ほら起きて」

 いつもの様にイトに揺さぶられて目が覚める。


「ああ。おはようイト」


「おはよう。陰晴。あ、もうご飯は出来ているから早く食べてね」


「そうか。それはありがとう。じゃあ早速頂くよ」

 俺はそう言って洗面所で顔を洗い包帯を新しいのに変えてからリビングに行き朝ごはんを食べる。

 今日の朝ご飯はパンにスクランブルエッグにベーコーンとコーンスープにサラダだった。


「うん。相変わらずとても美味しいよ。イト」


「そう言って貰えると嬉しいです。フフいつも美味しそうに食べてくれて作り甲斐があるよ」

 そう言って可愛らしく笑ってくれるイト。ああ本当に癒される。

 俺は気が付いたらイトを抱きしめていた。


「陰晴、どうしたんですか?今日も怖い夢を見たんですか?」


「いや、違う、ただ抱きしめたくなったんだ」


「そうですか。どうぞ思う存分抱きしめてください」

 俺はその言葉に甘えて暫くイトを抱きしめる。イトを抱きしめている時は何もかもを忘れられる至福の時間だ。

 亡くなった両親の事も。勇気に関する問題も俺に腕に封印されている悪魔も、全てを忘れることが出来る。


「ああ。本当にイトがいないと俺は駄目だ」


「安心してください。私はずっと陰晴の側にいますから。陰晴の為ならば私は何だってしますから」


 そう優しい言葉を俺の耳元で囁いてイトの方から抱きしめてくれる。

 ああ、落ち着く。浄化されるようだ。イトは俺の女神だ。


 そうして俺は暫くイトを抱きしめた。


「あのう。陰晴そろそろ学校にいく時間ですよ」

 イトにそう言われて時計をみたら、7時50分と中々にヤバい時間だった。


「ヤベ、ゴメン。イトに夢中になり過ぎてた。すぐに学校の準備をしなきゃ」

「あ、それならバトラーにお願いして準備は終わらせてますよ」

 イトがそう言って俺に鞄を渡してくれる。


「ありがとうイト、じゃあ行ってくるよ」


 ―――――――――――――――――――――


 そして学校に着き、自分の席に座り、越田と楽しく会話をする。因みに今のトピックとしては猫子と勇気がいかにしてくっつくかという物だ。

 今の所、猫子の押しに勇気が負けて流れでくっつくという案が一番有力だ。

 結構この話題は気になってる人も多く越田以外の男子も加わって結構盛り上がった。そうしてる内に話題の猫子が教室に入って来る。


「どうも、勇気さん今日も猫子が来ましたよ」

 そう元気よく手を振りながら勇気の所に向かう猫子。

 それを遮ったのはまさかの白木さんだった。


「勇気は私の初めてを奪った相手よ。猫子さんには絶対に渡さないわ」

 そう言って勇気の腕をそのつつましい胸で包むようにギュッと掴んだ。


 ・・・・・・・・・・・・


「は?」

「ひ?」

「ふ?」

「へ?」

「ほ?」


 男子の声が綺麗に被った。いやはや男子の結束力が凄いな。


「勇気お前、ぶっ殺してやる。白木さんの初めてを奪ったってどういうことだ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」

 越田が気絶するとか超えて発狂しながら勇気に向かい胸倉をつかむ。

 まあ、当然の反応だろう。つか本気で一体何があった、俺そんな報告眷族から聞いてないぞ?


「いや。俺は別にそんなことしてないぞ」

 勇気が必死に否定をする。


「何を言ってるの勇気、私の初めてのキスを奪ったじゃない」


「キス?」

 またもや男子の声が被った。

 なるほどねキスか、じゃあいいやとはならんよな。うん。なるわけがない。まあ初めて奪うよりかはあれだけど、初キッスもたいがいだ。


「キャーーーーー。それってどういうこと?」

 女子たちの黄色い悲鳴が上がる。


 因みに男子は、白木さんのキスが奪われた情報だけでも心のダメージが大きく、何人かは放心状態になり、越田はまた気絶した。


「越田~~~~~。起きろ起きるんだ越田。さっきの殺意はどこへ行った。起きろ死ぬな越田」


「俺はもう駄目だ。俺が起きたら何があったか教えて、く、れ」

 そして越田は気を失った。


「取り敢えず気絶した越田を教室の隅に置いておくか。しばらくしたら目を覚ますだろ。誰か手伝ってくれ」


「じゃあ、俺が手伝うよ」

 そう言ってくれた男子の手を借りて越田を邪魔にならない教室の隅に移動させる。いやはや越田の扱い雑だが、まあいいやろ。越田も許してくれるだろうし。


「さてと。ごめんね、じゃあ勇気に白木さんに猫子さん、続きをどうぞ」

 俺は何事もなかったかのようにそう言った。

 猫子はそれを聞いて、何事も無かったかのように勇気にくっつき唇にキスをした。


「これで私も勇気さんに初めてを捧げました」

 そう言って白木さんに宣戦布告をする。


 いや~~~、凄いね猫子。行動力の塊やな。

 うんうん。いや結構今ビックリ中やわ。


「キャ~~~~~~」「ギャア~~~~~~」

 女子の黄色い悲鳴と男子の怨嗟の悲鳴が同時に沸き起こる。


 まあ、そうなるわな。しっかしこれはワンチャン勇気ハーレム展開ありえるな。ラノベ主人公かな?

 さてと楽しそうだし俺もいっちょヤジを飛ばしますか。もちろんお得意の悪意マシマシでね。


「おい。勇気お前はどっちと付き合うんだ?白木さんか猫子さんか?それとも二股か?」

 俺がヤジを飛ばすとノリの良いうちのクラスの男子も一緒になってヤジを飛ばしてくれる。いやはや持つべきものはノリの良いクラスメートですな。


「そうだぞ。勇気どっちだ」「はっきりさせろ」「二股は人間の屑のすることだぞ」「白木さんに手を出したら殺す」「猫子さんを泣かせても殺す」「かといってはっきりさせずに逃げても殺す」

 ヤベ、これ勇気何を選択しても殺される奴やん。

 いや。男子怖え。まあ焚きつけたの俺やけど。草生える。さてと勇気はどんな選択をするのかな?実に楽しみだ。


「俺は二人ともと付き合わない」

 勇気はそう断言した。

 え?マジすか?こいつこんな美少女二人に挟まれて断るとか男か?

 ちゃんと股にアレぶら下がってるよな?男だよなコイツ?本当に男だよな?ちょっと怖いんですけど。


「え?どうしてなの勇気さん?私の何処か駄目だったんですか?言って下さい。絶対に直しますから」

 猫子がその言葉に対して縋りつくようにして猛烈なアピールをかます。

 おっと。しかもこれは上目遣いだ。これには流石の勇気もダメージが入る。心がぐらついている。勇気はしっかりと男だった。正直俺安心している~~~。


「あのう。私も私も勇気君の理想とする女性になりたいです。どこが駄目か教えてください」

 おっと、白木さんが対抗して勇気に上目遣い攻撃をする。更に揺れる勇気。ついでに白木さんが勇気の腕に胸をこすりつけるから胸も揺れる。


 揺れる揺れる揺れている~~~~~~~~~。これは猫子とは違う大きな点だ~~~~~~。

 猫子のは何というか非常に残念だ~~~。壁だ~~~。ヤベ。心の中の実況だけど。声に出したら絶対怒られそうだ。

 まあ猫子は俺の眷族だから起こるとかいう俺に対する危害は加えられないんだけどね。


「いや。別に駄目な所は無いというか、何というか」

 流石にうろつく勇気。そうだよな。この美少女二人に駄目な点何てないわな。あの時は場を収めようと強い精神力を持ってそう言った感じだが逆効果も逆効果。大失敗だぞ。

 さあ。どうする勇気。さあさあさあ。いやはやどんな選択を取るか実に楽しみだ。


「えっと、えっと。じゃあ二人共の付き合うってのは駄目かな?」

 おっと。この二人の美少女からの攻めに耐え切れず最低な二股に逃げた~~~~~。

 こんな事したら男子から殺されるぞ。


 バタン


 とある男子が倒れた。


 バタン バタン バタン


 更に男子が倒れた。


 あ。まさかこれは越田と同じ展開か?

 倒れているのは白木さん信者の皆様じゃん。アイツら白木さん信者もとい白木様フャンクラブ会長越田の後を追うように。

 クソ。お前らの犠牲は無駄にはしない。特に越田の犠牲を無駄にはしない。


「おい。勇気二股はないんじゃないか」

 俺はそう言って怒鳴った。同士が倒れてあたふたしていた男子も俺のその姿を見て俺に賛同する。


「そうだぞ。勇気それはないわ」「お前に人の心はないのか」「二人の気持ちを考えろ」「そうだそうだ」「このクソ野郎め」「二股した芸能人の末路知ってるだろ」

 その男子の姿を見てか女子も反対に賛成してくれる。


「そうだよ。勇気君。白木さんと猫子さんの気持ちを考えて」「二股はないわよ。流石に二人が可哀想だわ」「そうよそうよ」

 おお。女子の言葉は確実に男子の言葉よりも勇気の心に刺さっていく。流石女子だ。


「止めて、皆私はこれでもいいわ。猫子さんはどう?」

 白木さんがまさかのこれでいいとか言い出した。


 は?お前良いのかよ。マジでいいのかよ。クソここは猫子に反対して貰ってどうにか猫子とくっついてもらわないと。下手な事になって陰陽師側に取られたら超厄介だぞ。

 でも今、念話とか使って流石にないとは思うが白木さんにバレたら詰むし。

 どうするか。


 ・・・・・・・・・


 ここは猫子の判断に任せるしかないな。さあどうなる。猫子はどんな選択をする。


「私もそれでいいですよ。だって最終的には私が勇気さんを落として見せますから」

 そう言って猫子は滅茶苦茶小悪魔みたいな可愛い笑みを浮かべた。


 うわ。これは凄いわ。

 多分今男子の何人かのハートが打ち抜かれたぞ。これはワンチャン猫子フャンクラブ出来るかもよ。いや流石にないかそれは。


 さて、というわけで白木さんと猫子がそう言ったので一応場は収まり。倒れている人は目を覚まし事情を説明して暴れ狂ってるのを皆で押さえつけて、何とか解決させました。いやまあ根本的なことは何も解決してない気がするけど。

 結構疲れた。本当に疲れた。

 そして午前の授業が終わり昼休み。

 猫子がやってきた。


 さて、昼休みはどうなるかな?


「勇気さん。お弁当を食べましょう?」

 上目遣いで攻めていく。相変わらず猫子あざといな。強いな。


「ああ。そうだな」

 そんで越田が椅子と机を用意してくっつける。

 しっかしあれだなこの輪に白木さんは入りにくいだろうな。猫子が弁当を作ってくるという素晴らしいポジを確保してしまったしな。


「勇気君。私も一緒にいいかな?」

 おっと、白木さんいったああああああ。ああああああ。マジかよ凄いな、よく行けたな。メンタルダイヤモンドかよ。


「ああ。いいよ」

 そんなわけで三人で弁当を食べ始める。


 うわ。うわうわうわ。

 地獄だよ。

 いや天国かもしれんが、まあ、男子は殺意に満ち溢れ女子は好奇心に満ち溢れている状態だ。まあ、一部女子もとい勇気の片思い中だった女子は殺意を抱いてるけど。


 まあ特に越田は、今すぐにでも勇気に飛び掛かって殴りそうなくらいの殺意を持っている。

 ほんで勇気は二人のラブラブオーラに押されながら、二人からあ~ん、されてあ~んでお弁当を食べてやがる。


 何だこれ、甘すぎるやろ。口から砂糖出てきそう。いや出ないけどさ。まあ陰陽術とか使えば出せないこともないけど。


 つか。凄いな白木さんも猫子もマジで勇気に対しての手を緩めないな。絶対に互いに勇気は譲らないっている強い意志が見えるぞ。

 しっかし、このままでは互角だな。どうなる?

 この弁当バトルはこのまま幕を閉じて放課後のバトルに移行するのか。


「なあ。二人は俺にいつ惚れたんだ?」

 うわ、勇気が仕掛けた。というかとんでもない爆弾発言しやがった。


 お前、イケメンで運動神経よくて、勉強出来て性格の良いお前が言うか?そのセリフ?馬鹿野郎。馬鹿野郎馬鹿野郎。でも、待てよ、猫子は俺に命令されて勇気に迫ている、白木さんも勇気の力に目を付けたから勇気に迫っている。

 これは、意外と言い質問何ではないか。


 まあ、外野の男子と女子からは死ぬほどヘイト買ったけど。


「勇気さん。数か月前私が強引なナンパに困っている時に助けてくれたの覚えていますか?」

 猫子がそんな事を言い出す。


 え?マジで勇気お前そんなカッコいいラノベ主人公みたいなことをしたのかよ。凄いな。もうお前凄いよ。これからラノベ主人公って呼ぼうか?いや面倒やから呼ばんけど。


「ああ。あの時か」


「はい。あの時です。その時私の胸は打ち抜かれました。でも中々勇気さんに声を掛けれずにこの恋心はずっとくすぶってました。でも私は自分の心に正直になろうと決めました。だから。勇気さん。貴方のことが好きです」

 そして豪快に告白か。くそ。強いな猫子。ヤバいよこれは強い。さあ白木さんはどう出る。


「私は、あのう、校舎裏でその・・・」

 白木さんはそう言って顔を赤くして口ごもった。


 ああ。なるほどね。理由に悪魔に襲われていたのを助けて貰ったからってのを出そうとしたのか。

 で、今このクラスメート全員が聞き耳を立てている状況でそんな悪魔がどうとか言ったら不味いんで。言えなくなって口ごもったのか。

 で、恋愛は知らんが。まあ普通のことには勘のいい勇気なんでそれにすぐ気が付く。


「ああ。あの時か」

「はい。あの時です」

 二人で通じ合い始める。これは中々に強いな。


 周りの男子も女子もそれが何なのか気になりはするけど。二人の作り出している世界が余りにも強すぎて質問できないな。これは。というか皆質問しても答えが返ってこないと分かってるし。


 ああ。思ったよりも白木さん強いな。猫子が圧倒的に優位だと思ってたけど。これは分からなくなってきたぞ。


「そうか。ありがとう答えてくれて」

 勇気がそう言う。まあそう言うしかないわな。


「はい。どういたしまして。じゃあ、あ~ん」

 猫子が可愛い笑顔でそう言った後、あ~ん再開する。行動が早いな猫子。


「あ、じゃあ私も。あ~ん」

 おっと、白木さんもあ~んをしていく。


 うわ。何だろう。うん勇気に対して殺意しか湧いてこない。まあ俺は意外とそこまでだが。他の男子の殺意ゲージはMAXを超えてリミットブレイクしているよ。越田とか頭の血管張り切れないか心配だよ。

 このままじゃあ、越田とか一切の冗談抜きで勇気を殴りそうだし。少し男子全員の殺意を怠惰にさせるか。


 殺意怠惰っと。


 よし、これでいいかな。

 さて、今日はまあ多分これ以上の進展はなさそうだし、イトが作ってくれた昼飯を食べますか。


 そうして俺は昼飯を食べて、食べ終わる。そっから越田と仲良くゲームの話をして昼休みを過ごした。まあ、途中から越田の愚痴に変わったけど。

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