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勇気視点 

 今日俺の学校に転校生が来た。

 名前は幸田 イトという銀髪のとても可愛らしい少女だった。

 そしてクラスメートの幸田 陰晴を好きだといい将来結婚すると言った。


 正直言って意味が分からなかった。


 こんな事をいったら失礼かもしれないが幸田 陰晴という人物はあまりカッコいい人間ではないからだ。勉強の成績は平均よりも低く、運動能力もさして高くない。顔も普通、不細工ではないがイケメンでもない。

 そして普段から左腕に包帯を巻き、よく分からないことを言っている。俗にいう中二病な人間だ。

 そんな人がいきなり転校してきた美少女と婚約者?彼女?意味が分からない。


 そうしてかなり疑問に思いはしたがそれでも転校生は幸せそうな顔をしていたから、俺は色々な愛の形がある、そう納得して次の授業の準備を始めた。

 そして転校生と陰晴の所に案の定、人が集まって質問攻めにされている。


 そうして暫くした時だった。


「ひやあああああああああ。あ」


 その叫び声と共に恐ろしい殺意を感じた。

 いや。恐ろしいという言葉では語れないような禍々しく純粋な殺意。

 これは何だ?今のは何だ?誰がその殺意を出した?


 俺はその方向へと目を向けると。そこには陰晴がいた。


 そして陰晴がクラスの不良こと倉田の頭を掴んで床に叩きこんだ。その結果倉田の顔面から血が溢れ歯が砕け散る。


「さてと。右手か右足、どちらを折られたい?」

 陰晴が倉谷追い打ちをかける言葉を発する。


「ひえ、いや。あのう」

 歯の折れた倉田の悲壮な声が聞こえる。


「おい、止めろよ。何をしてるんだ。陰晴」

 俺は陰晴の余りの暴行に見過ごせずにそう止めに入った。


「あ?何だ勇気、俺の邪魔をするのか?」

 恐ろしい殺意が怒りが俺の身体中を駆け巡る。

 怖い。今すぐに逃げ出した。でも、でも、ここで引いたら俺じゃない。陰晴は明らかにやり過ぎだ。


「ああ。そうだ。お前はやり過ぎだ。何があったかは分からないか、そのままでは死んでしまう」

 俺は陰晴にそう言って説得を試みた。


「そうか。じゃあ。お前のそのハーレムメンバー三人に向かってこいつがやらせろとか無神経な事を言ったら殺したくならないか?」


 陰晴のその言葉から何があったか何となく察した。多分不良の倉田が陰晴に不用意な発言をしたのだろう。気持ちは分からなくはない。でもやっぱり殺すのはやり過ぎだ。


「そんな簡単に俺は人を殺そうとは思わない」


「そうか。それは別にお前の意見だ。俺はこのクズを許せないし。許すつもりもない。だから処罰を与える」

 俺の言葉に陰晴はそう。即答すると倉田の右腕を潰した。

 折ったとかじゃなくて、潰した。恐ろしい力だ。


「あああああああああああ」

 倉田の叫び声が響く。俺はその瞬間、本能が逃げろと叫んだ。


 コイツには絶対に勝てない。俺の何百倍何千倍も強い正真正銘の化け物だ。逃げろと。そう本能が全力で叫んで警告をならした。


 だけど俺は俺の正義感がちっぽけな正義感が逃げずに立ち向かわせた。


「お前。その手をどけろ」

 俺は内心凄く震えながらそう言った。


 そして対抗するために霊力剣を生み出して陰晴に斬りかかった。


「砕けろ」

 たった一言陰晴が言葉を発しただけで、霊力剣が砕け散った。

 何が起こった。霊力剣をいとも簡単に言葉だけで砕くなんて。そんな事、普通は出来るはずがない。一体どれだけ格上の存在なんだ。


「はあ。さてと。勇気流石にクラスメート達にこのことがバレたら不味い思うやろ?だから。この教室内にいる者の記憶よ、このクズが不用意な発言をする前まで消えろ」


 パン


 陰晴がそう言って手を叩いた瞬間に一瞬教室が光る。

 そして収まる。


「ぐああああああああああああああああああ。いてえええええええええ」

 倉田がいきなり叫び声を上げる。いや無理もないあれだけの殺気を至近距離で喰らった上に手も折られているというか潰されているのだから。


 でも、おかしい。

 何故か倉田の傷が存在していない。

 完璧に治っている。

 傷一つない。


 おかしい。絶対におかしい。俺は確実に倉田が陰晴にやられるところを見たはずだ。

 そう見たはずだ。


「あれ?痛くない、痛い。痛い。何だこれ」


「なあ、あんた保健室にいった方が良くないか。高校生にもなって漏らすとか恥ずかしくないの?」

 陰晴が倉田の心配をしている。おかしい倉田をこんな目に合わせたのはお前だろ。


「は?あ、痛い」

 倉田が急に喉を抑えて痛がる。そしていきなり叫んだ。


「て、あれ漏らしてる。あああああああああ」

 そうして逃げるように教室から出ていった。


 ・・・・・・・・・・・・


 今起きたことが余りにもおかし過ぎる。全てがおかしい。

 俺は確実に、そう確実に陰晴の異常性をかいまみた。陰晴が倉田の腕を潰したのを見た。陰晴が恐ろしいなんて生ぬるい化け物のような殺気を出したのを見た。陰晴が俺の作り出した霊力剣を簡単に砕いたのを見た。そして陰晴が皆の記憶を消したのを見た。


 そして俺は気が付いたら陰晴の胸倉を掴みこう言っていた。


「おい。お前、今のは何だ?」

 と。


 圧倒的格上であり。今の俺では絶対に敵わない陰晴という化け物に喧嘩を売った。

 この時ばかりは自分の正義感に心から後悔をした。

 でもやってしたまったものはどうしようもない。それに俺は今の陰晴の行いを許せない。倉田のことはもちろんだが。今俺は陰晴が勝手にクラスの皆の記憶を消したことが特に許せなかったのだから。

昨日投稿出来なくてすみません。

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