リリアさんは合理的に生きていきたい
そんなこんなでリリアは19歳の時にお飾りの魔術師団長になった。
「わしは反対じゃ!!
いくらグラン・クロフォードの孫とはいえ女が魔術師団長になるとは!!
我が国の歴史上ありえない!!」
リリアは国王の勅命で魔術師団長になった。
リリアは伝説の魔術師グラン・クロフォードの孫であり、グラン並みの実力があるかもしれないという噂も出ていたので表だって反対するものは少なかった。
しかしウィリアム・ロイターは元々グラン・クロフォードをライバル視していたこともあり、リリアが魔術師団長になることを盛大に反対した。
「……(ФωФ)」
リリアはまったくもって魔術師団長になりたかったわけではないので、頑張ってウィリアムに認めてもらおうという気にもならなかった。
「それにグラン・クロフォード並みの実力があるかもしれないなど怪しいものだ!!
戦場に女、子供をつれて行けるわけもない!!
わしが若い頃は………………」
ウィリアムは魔術師団長として就任のあいさつ回りのために王宮に来たリリアを捕まえて就任反対の意思を伝え、昔の話をくどくどしはじめた。
「……(ФωФ)」
リリアはまだよくウィリアムのことがわからないのでとりあえず様子をみるために黙って話を聞くことにしたが5分くらいで飽きた。
しかしまだまだ話は続きそうだったので暇な時間は考え事をして過ごすことにした。
『さて、私が魔術師団長にふさわしくないというのはまったくもってそのとおり(ФωФ)
ただおじいさまや父上や兄上が頑張っても断れなかったのに私が頑張っても断れないだろう(ФωФ)
そもそも頑張りたくないし(ФωФ)
だけど魔術師団長やりたくないな(ФωФ)
でも国王陛下相手に頑張りたくないし(ФωФ)
てかこのおじいさん元気だな(ФωФ)
おじいさまと同年代だろうに(ФωФ)
うーむ(ФωФ)
私は頑張りたくないし、このおじいさん元気そうだし、このおじいさんに頑張ってもらおうかな(ФωФ)』
リリアは自分が頑張りたくないので、このウィリアム・ロイターとかいうおじいさんに頑張ってリリアが魔術師団長にふさわしくないと、クビにするべきだと皆に、そして国王陛下に主張してもらおうと考えた。
このおじいさんとは出会って間もないがもうすでにかなり面倒くさい。
きっとすごく面倒くさいおじいさんにちがいない。
このおじいさんに頑張ってもらえば国王陛下もリリアを魔術師団長にしておくのが面倒くさくなるかもしれない。
ローコスト・ハイリターン。
まったくもって合理的だ。
…………ただしまったくもって道徳的ではない。