サンタさんとボクのおはなし
ボクの大好きなサンタさん。サンタさんの事を少しだけ教えてあげるよ。ここだけの秘密だよ。
やあ!ボクはトナカイ。世界一有名なトナカイだよ。きっと、みんなも知ってるはず。ボクはねぇ、サンタさんのソリを引くトナカイなんだ。ほら知ってるでしょ?今日はみんなにサンタさんのこと少しだけ教えてあげるよ。えっ?全部じゃないのかって?それは無理だなぁ。だってサンタさんは守らなきゃいけない秘密がいっぱいあるからね。守れなかったらサンタさんは消えちゃうんだから。そしたら、みんなも困るでしょ?クリスマスの主役がいなくなっちゃう。
みんなはサンタさんに手紙を書いたことがあるかい?世界中からサンタさんにお願いの手紙が届くんだよ。「オモチャをください」とか「人形をください」とかね。「お父さんとお母さんを仲直りさせてください」なんてのもあったなぁ。たしかケンカばかりで遊んでもらえないとか…おっと!あんまり言っちゃいけないんだった。その子には家族で一緒に遊べるオモチャをプレゼントしたよ。実はボクもね、サンタさんに手紙を書いたことがあるんだよ。まぁそれは後で話すとして、もらった手紙をどうするかを教えてあげよう。手紙の中にはプレゼントできないお願いもあるんだ。たとえば宝石とか、お金とか。だから最初にプレゼントできるお願いと、できないお願いに分けるんだ。これが大変なんだよ。なにしろ世界中の子供達からの手紙だからね。それをサンタさんが全部1人で読むんだよ。ボクも手伝ってあげたいけど字が読めないから手伝えないんだ。ポストに届いた手紙をサンタさんに渡すのがボクの仕事さ。サンタさんすごいよね、どんな言葉でも読めちゃうんだから。分け終わったら、プレゼントできないお願いの手紙を書いた子の所にこっそり行って、夢の中で話しかけるんだ。「これは、あげられないよ。かわりにステキなプレゼントを用意したよ。」ってね。それが終わったら、いよいよプレゼントの準備だよ。
サンタさんのプレゼント、どうやって準備するか知ってるかい?お店に買いに行く?ネットで注文する?いやいや。世界中の子供にあげるんだよ?買ってたらサンタさんが大変だよ。ボクのごはんも買えなくなっちゃう。サンタさんのプレゼントはね、みんなの気持ちでできてるんだ。みんなの優しい気持ちとか、ありがとうって言葉が小さな光になってサンタさんの家に飛んで来るんだよ。えっ?見えないって?そうだね。見えないくらい小さな光だからね。でも毎日ちゃんと飛んで来てるよ。その光がクリスマスの前までにサンタさんの家に集まって、家の中が光でいっぱいになるとクリスマスの魔法が使えるんだ。そうすると、みんなの手紙がプレゼントに変身して次々にサンタさんの白い袋の中に飛び込むんだよ。クリスマスの魔法はもう1つあるけど、これは言えない。サンタさんが消えちゃうからね。
クリスマスの夜にサンタさんとボクでプレゼントを届けるのは知ってるよね?プレゼントを届け終わったサンタさんとボクはサンタさんの家に帰るんだけど、そこで何が待ってるか知ってる?知らないでしょ。サンタさんの家の前にね、雪だるまの子供たちが待っててくれるんだ。みんな「おつかれさま」とか「今年もありがとう」とか言ってくれるんだよ。とっても可愛いよ。それから家の中では星の子供たちがスープを作ってくれてるんだ。クリスマスツリーの一番上の星だよ。ピカピカ光ってツリーを照らしてるけど、子供たちが眠るとサンタさんの家に帰って来るんだ。帰って来た星は、星の子供の姿に戻ってサンタさんとボクにスープを作ってくれるんだよ。これが毎年おいしいんだよね。温かいスープと暖かい部屋で体を休めたら、その日はみんな一緒に眠るんだ。
どう?サンタさんのこと少しは分かった?魔法のことは大人には秘密だよ。大人は信じてくれないからね。みんな子供の頃にはサンタさんからプレゼントをもらってるのにね。大人になると信じたくなくなっちゃうんだよな。なんでだろ?そうだ。忘れるところだった!ボクがサンタさんに書いた手紙。ボクは字が書けないから蹄でスタンプしたんだよ。
「サンタさん、ボク、ひとりぼっちです。友達がほしいです。」
ってね。そしたらクリスマスの夜にサンタさんがボクの所に来て
「おいで。」
って言ってくれたんだ。ボクは嬉しくて、そのままサンタさんのソリを引いて行ったよ。それからはボクの事を相棒って呼んでくれて、毎年一緒に世界中を回ってる。最高のプレゼントだよ。こんな幸せなトナカイ、他にいないさ!
じゃあボクはサンタさんの家に帰るよ。サンタさんのお手伝いがいっぱいあるんだ。みんな、優しさの光いっぱい飛ばしてね。今年のクリスマスもサンタさんと一緒に行くからね。待っててよ!