-スワイズ小惑星帯沖宙戦3/4-
お久しぶりです。
夏休みに入り少し余裕ができたので投稿することにしました。
一機のBAがイチキシマヒメに急速接近し、機首のミサイルを放つ。4つのそれが白い尾を引き直進する。しかしそのミサイルは当たることなく撃墜された。
「この部隊紀章、レットドック隊ですか。少々骨が折れそうですね」
レットドック、エリス達の星ではそれなりに名の知れた部隊である。
その時だ、ディスプレイにオープンチャンネルにて通信が入った。
『これはこれは、バーズンウッド卿』
この声は。
「レットドック隊、部隊長。ジェス・フランクス」
『おうおう、あんたに知ってもらえているなんて俺はとんだ幸せみんだぜ』
「降伏してください、既にそちらの戦力半分に近いはず。今でも十分部隊壊滅に近いはずです。これ以上無益な戦いは...」
『はっ、敵の身を按じる前に自分の身を守ることに専念しなぁ』
フランクスは自機の大型クローを振りかざす。
エリスの機体は人型への変形が可能な可変機である。その特性を生かし。BA形状になり高速で離脱する。
『おいおい、逃げんなよォ』
エリスは反転し人型へ戻り近接戦へ持ち込む。帝国軍の機体は人型への可変機構を持たず基本的にBAは大型のクローなどを搭載し、近接戦への対応を行っている。しかし、人型のそれと比べるとやはり、近接戦能力は見劣りしてしまう。と、言っても彼女の機体も完全に人型ではなく4本のクローが近接兵装である。
「しつこい男は嫌われますよ」
エリスはフランクの斬撃をいなし、カウンターを叩き込む。
しかし、カウンターを見越していたフランクスはそれを軽々かわし、少し距離をとった後、機首の粒子砲を放つ。
それを間一髪のところでエリスはかわそうとするが、左脚部の装甲の表面を少し焦がしていた。
「やはり、噂を聞くだけあって腕は確かですね」
『はっ、はっ、はっ、てめぇみたいな女っ子にゃあ負けやしねぇよ』
安い挑発だ。
「女性を差別するようなセリフを言うとはどう言った神経をお持ちなんですかね?」
エリス少しキレ気味である。
『ひょえぇー、噂に聞くだけあって怖い怖い。だが気に入った俺はお前を手に入れる』
これを聞いてエリスは一瞬固まった。が、
「なんですかそれ?」
だいぶドスの効いた声でフランクスに質問を投げる。
『そのままの意味さ、俺はお前を気に入っただから手に入れる。さっきも言っただろう。さあ、俺の元に来い』
フランクスはさも当然のようにしていた。
しかし、エリスにとってはめんどくさい男がナンパでだる絡みしてきている程度にしか思えなかった。
「いえ、結構です。他を当たってください」
エリスはそういうとクローをかまえ戦闘態勢に入る。
『そうか、あくまで俺に楯突くか、まあ、もう手遅れだがな』
「一体なんのことわかりませんが。差別をするような方を私は許せるほど聖人ではないですよ」
そう言ってブースターを全開にし切りかかろうとしたその時だ。機体が軋む音が各所から響く。
「なっ、一体何が」
エリスの機体はワイヤーによりがっちりと拘束されていた。
『悪いな、俺の話に付き合ってる間におめぇさんの機体は拘束させてもらったぜ』
幾ら操縦桿やレバーを動かしても拘束が解けることは無かった。
「なんて卑怯な」
モニター越しにフランクスを睨みつける。
『はっ、戦争に卑怯もクソもあるかよ。まあ、安心しなエリスちゃん。あんたは殺さないから』
エリスは身震いした。自分のことをちゃん付けして呼んでくるこの男に嫌悪感を抱いたのだ。頬を汗が伝う。フランクスの機体から何かワイヤーが発射される。
『ちょっとの間動きを止めてもらうぜ』
ワイヤーの先がエリスの機体に張り付く。とんでもないぐらいの嫌な予感が彼女の中を満たした。「マズいと」その予想は見事的中する。
フランクスは彼女の機体に高圧電流を流した。機体全体に青白い電流がほとばしる。それに呼応おするように機体が、「ガクンガクン」と動く。エリスは必死に操縦桿を動かすが、機体が自由に動くことは無かった。
「よしよし、十分あったまってるね。あとはお持ち帰りするだけだ」
エリスの機体が完全に沈黙したのを確認したフランクスは余裕な態度だ。
それとが打って変わって、エリスの顔は焦りの色に染っていた。
「ダメだ、全然動かない...。このままじゃ」
コックピットは完全にブラックアウトしている。相当な強度を持ったワイヤーなのだろう。脱出レバーを引いても完全に固定され、脱出はできなかった。
どう足掻いてもこの状況を覆すことが出来ない。絶望的な状況だ。
「一思いに殺しなさい!!!」
恐怖のあまり叫んでいた。しかし、通信機が故障している今そんな声が届くはずもなく。
大きな衝撃が走る。
「きゃぁ────!!!」
恐怖の渦の中にある時に、唐突な衝撃。幾ら兵士だとしても悲鳴の一つや二つは出る。
しばしの間静寂が訪れる。それにまたも恐怖する。そしてまた静寂を貫く衝撃。先程より小さかったが極限状態の彼女にそんなものは関係ない。その衝撃が小さかろうと恐怖のあまり声が出てしまう。
その後どれぐらい時間が経ったかは分からないが、長い時間をいくつかの計器しか動いていないコックピット内部に居た。
その時、一筋の光が差し込んだ。コックピットハッチが開いたのだ。そこに居たのは地球軍のパイロットスーツに身を包んだ男だった。ヘルメットは逆光で見えない。彼はエリスへ手を伸ばしていた。
恐る恐るその手を握る。彼はエリスを外へ引っ張り出した。接触振動回線にて直接声を届けて来た。
『大丈夫か?エリス』
星空だ。それに気づいたエリスは今まで強ばってしまっていた体が解けているような感じに襲われた。全身に力が入らなくなる。変な話だが重力もないのに崩れ落ちるような感覚に襲われていた。
しかし、あることに気づき星空に質問を投げる。
「敵機はどうしたのですか?」
それを聞いた男は表情変えず一言。
『俺が落とした』
その答えにエリスは自分に降り掛かっていた危険は解消されたことに安堵した。
改めましてお久しぶりです皆さん。
三富三二です。
最近暑くなってきましたクーラーなしでは生きていけそうにないです。溶けてしまいそうでバイクで走りたいですがなかなか行く気になれないでいるという。
そんなことはさておき、今回も短いですね。最近色々調べて見ると私の文章の書き方がすごく不細工であることがわかりました。と言っても今まで出てきた文章を修正しようにも時間が無いのでなかなか難しそうです。(まあ、ゲームする時間を削ればいいのに)そんな感じでこれからもゆっくりとですが投稿を続けていこうと思っております。これからもよろしくお願いします。
制作時BGM Mr.Children「HANABI」




