-アスルトヘイルド星へ-
やあやあ、三富三二だよ数日ぶりだね。
統一歴176年8月30日 地球圏ISP
今、星空たちはISPに居る。
ここでは主に、地球-火星間の物資の輸送を行う輸送船や、宇宙軍の中継基地、旅客機などの補給地点などを行うその名の通りの場所である。
ここではロイやエリスの母星である、アルストヘイルド星へ向けての出航準備が行われていた。
IPSでは各ブロックは通路で繋がっている。港側と居住側、プラント部分も離れてはいるがモノレールで繋がっている。作りは片面が全面ガラス張りの廊下で一般人と一部要人とでは別々のものが用意されている。軍人が使うのは要人が使用している方だ。
そこをふたつの影が流れる。
「では、今回我々は第18特務艦隊とともに、かの惑星へ行けということですか?」
第5独立艦隊、旗艦信濃艦長エリカ・アイヒベルガーは少し怪訝な顔を見せる。
「そのようですね。そして遠距離航行のことを踏まえて新造艦をわざわざ送ってくれるそうです」
信濃参謀長大北ケルンも同じく曇った顔をしている。そして2人は同時に目の前の港にドッキングした大型戦艦を見る。
艦首側には大型の3連装の主砲が上下3基。艦底や舷側いわば船の側面、にはBBなどの艦載機を発艦させるカタパルトが3基。そして各所に装備された大量の対空火器。
これが地球協商軍の完成させた大型戦艦、改アマテラス級戦艦をさらに改装したモデル。
改アマテラス級戦艦《甲型》1番艦 イチキシマヒメである。
「大きいわね」
率直な感想だ。
「我々第5艦隊で運用中の巡洋艦は全てプリンツ・オイゲン級巡洋艦へと変えることだそうです」
プリンツ・オイゲン級宇宙用重巡洋艦これもイチキシマヒメと同じく新しく建造された軍艦である。
「上層部も太っ腹ね。ここまで来ると何かありそうだけど」
「ですが、我が艦隊の旗艦だった信濃はもう老朽艦に数えられてもおかしくない艦ですから上層部の考えもあながち間違ってはいないと思えます」
エリカはどこか引っかかる気がするが、今はそんなことを「あーだこーだ」言ってないけど考えている暇などない。
艦を変えるのでその引越し作業的なものがまだ残っているのだ。
イチキシマヒメ艦載機格納庫
星空は目を見やる。グリードス、本来は宇宙での運用は一切考慮されていないはずの機体、それが何故か宇宙戦艦の格納庫内に格納されている、場違いな光景だ。
「なんでグリードスあんの?あんたの機体ってあのクノイチじゃないの?」
鈴が反対側の格納ブロックを指さす。そこには宇宙空間での戦闘でずっとお世話になっていた星空の愛機、既に試験運用は終わり徐々に軍全体に供給され始めた新型量産機だ。肩に識別番号としてL-34-18と言う英数字が刻印されたクノイチがコクピットハッチを開いた状態で固定されている。
「技術屋が言うには地上ではグリードス、宇宙ではクノイチを使えだそうだ。と言ってもこの2機両方ともカスタムが入ってるみたいだ。」
そう、クノイチ、グリードス両機共に改修が施され本来次のテストベットとして運用するはずの装備を使うことが出来るのだ。この改修だが、星空以外にも何名かの機体に施されている。
「ふーん、なんか不自然。なんで全ての機体にその改修を施そさないんだろうね」
「確かにそうだな」
鈴の言う『不自然』というのはこんな事例が今まで無かったことに起因する。世界を見れば試作、試験兵器というのは少数配備されていたり、1部隊に少数配備されることも少なくない。しかし、協商宇宙軍技術部はそんなことは一切行わなかった。出来るだけ多くの情報が欲しいとのことで2つの兵器試験部隊の両方に試作兵器を送り込んでくる。そんな組織が戦況が悪化し資材が少ないわけでもないのに急に配備数を少なくすると言う行動に疑問を抱く兵士は少なくなかった。
「あれ!どうしたんすか名パイロットが2人してそんな辛気臭い顔して」
2人の聞き馴染みのある声が聞こえる。しかしこの声の持ち主は本来宇宙軍の艦艇には居ないはずの人物、
「名パイロットだなんてお前に比べればまだまだなはずだが、なんでお前がいるんだ大重 岳斗 (おおしげ たかと)?」
それを聞いて岳斗は笑いながら言う
「何言ってるんです。軍内部で有名なのは星空さんあんたでしょうに」
そう言って手を伸ばしてくる。無重力状態なので掴んで止めて貰わないと慣性の法則でそのまま進んでしまうのだ。星空は岳斗の手を取りブレーキをかけてやる。
「外に出れば知名度で言えばお前の方が有名だ」
それを聞いて岳斗は笑う。
「それはそですよだって自分は広報に使われましたからね」
そう、岳斗はアイランドストーム作戦の時の功績を称えメディアの前で1等彗星勲章という名誉ある物を送られている。それをきっかけで星空は岳斗の声と姿を知っていた。
「鈴さんも初めまして」
「どうも」
相変わらず鈴は知人でない人間には素っ気ない態度だ。
「おっと、さすが『冷酷なスナイパー』や『鬼のオリオン座』と言われるだけの事はありますね」
それを聞いて鈴は『ギロッ』と、岳斗を睨みつける。それを見て不自然な汗をかきながら岳斗は話を続ける。
「にしてもあの、『勝利の女神』『無敵の白鳥』と言われる星空さんが落とされるとは、驚きましたよ」
「無敵って、俺はそんな玉じゃないさ、現にほら。落とされちまってるんだから」
「いやいや、そんなことは無いですよ」
そんな互いを謙遜し合うような会話を打ち切るように鈴が唐突に岳斗に質問をなげかける。
「でっ、あんたはどこに配属になるのよ?」
「俺は強襲揚陸艦竹島だ」
強襲揚陸艦とは敵の占領下にある海岸などに強襲、上陸し多数の部隊を即時に展開し、そこに反撃の踏み台を構築するための艦だ。しかし、竹島は宇宙空間と海上運用の両方が可能な万能艦であり、宇宙に漂う宇宙要塞や、コロニーなどでの強襲も可能な艦なのだ。
配属されているのは第18特務艦隊だ。
強襲揚陸艦、海上で運用する艦であるこの艦に海兵隊のBBパイロットである岳斗が配属されるのも納得のいく話だ。
「そろそろ、出航準備っすね。じゃあ自分竹島に戻るんで」
といい岳斗は星空に押してもらって来た方向へと戻って行った。
鈴がポツリつ呟く。
「アイツ、星空を見る目が男の目じゃなかった。けど危険だな...、何かあれば何時でも殺れるようにしとかないと」
何を言い出すかと思えば急に物騒なことを言い出した。
その時、艦内中にスピーカーから『出航1時間前各員の所定の位置について準備せよ』と声が響くそれを聞き星空達BBパイロット達は自分のパイロットスーツに着替えるため更衣室へと急ぐ。
この数ヶ月後、彼らは人類で初めて太陽系を離れ。太陽系の外に設置された連邦の簡易ワープ装置へ到着した。
おはこんにちは、最近暑さに負けそうでめっちゃくちゃに溶けてしまいそうなけど、溶けない三富三二です。しかしながら本当に暑いね最近。
今回はまた戦闘なしパートです(いい加減にしろ)。
はい、すいません次は戦闘が絡んできますので、と言ってもどう言った戦闘になるかは全然分からないので(笑)
では、次は来月の10月の5日までに完成すると思うのでノシ
制作時BGM 瑶山百霊 東方ボーカル 「運命の憐月」




