-星空達の戦いの裏で2/2-
3ヶ月開きました。
本当にごめんなさいm(_ _)m
統一歴176年7月7日
信濃医務室
視界がぼやけていた。
だが、かすかに目の前には無地の灰色が拡がっている。おそらく天井がある。
「ここは...?」
これが鈴の目覚めた時の第一声だ。
耳には「ピッピッピッ」という音が一定のリズムを刻んで聞こえてくる。
「私...、自爆を...」
最後の記憶、自爆プロセス用のコードを選択し、スイッチを押したはず。だが、鈴は生きているのだ。
「目覚めてそうそうに、おっかねぇこといってんじゃなぇよ」
声のする方へ目を向ける。
そこには、後頭部をかきながらたっていたガタイのいい男がいた。鈴自身は目が未だにぼやけていてはっきりと見えなかったが、声を聞くだけで十分わかる。
「レアン...ドロ軍曹...?」
そう問い掛けられた人物は、
「正解だ。で、調子は...。て、見りゃわかるよな」
「私、今気づいたばかりなんですが?」
鈴は今気づいたばかり、周りの状況、自分の体がどうなってしまっていて、どんな怪我をしたのかすら分からない。
「色々話したいことはあるが、軍医を呼んで来るよ待ってろ」
そう言ってレアンドロは席を外した。
鈴は丸一日気を失って居たらしい。
少し時間が経った。軍医が簡単な確認のをいくつか済ませ部屋から出ていった。
部屋には鈴とレアンドロだけが残る。
「軍曹...、なんで私生きてるんでしょう...?」
「自爆プロセスやったからか?」
そうだ、鈴は確実に自爆プロセスを起動し、敵ごと道ずれにするつもりだった。
「脱出ポッドが自動的に起動したんだ、だからお前は生き残ったんだ」
「でも、確かに自爆スイッチを...」
「あ〜、それなんだがな。自爆スイッチ起動しても10秒ぐらい余裕があるんだ...」
鈴は一瞬レアンドロが何を言っているのか思考が追いつかないでいた。数秒考えていた。
「じゃあ、自爆する前に自動脱出のシステムが動いったってこと?」
「まあ、そうだな」
死ぬ覚悟までして自爆装置を起動したのに...、あの覚悟意味のないものになってしまった。ある種損した気分であった。
「なんか損した気分...」
「何言ってんだこいつ、生きているだけ幸せだと思え」
と言いながらレアンドロは鈴の髪に手を置いて『くしゃくしゃ』と手を動かした。
もちろん鈴の肩甲骨の辺りまである髪が一気に乱れる。
「ちょっ、やめてください!髪乱れるし、怪我が痛いって」
「はっはっはっ、いいじゃねぇか」
豪快な笑いと共に相手が怪我人だということを忘れたかのように少し乱暴に、
「そう言えば、隊のみんなは?」
それを聞いた瞬間少しレアンドロの顔がくもった。
それを鈴は見逃しはしなかった。
「未帰還機が数機ある、今可能な範囲で捜索中だ」
「そうですか...」
鈴はそれ以上詳しいのことを聞こうとは思わなかった。戦争と言うものは恐ろしい、つい数日前まで話していた仲間が突然と姿を消す。それが気づけば日常になっていく、だが、日常になっていったとしても、その時の痛みや、滞りに近いような感覚はやはり慣れるものでは無い。そもそもなれるべきではないハズのものだ。しかし、それに慣れなくてはならないのが戦場であり、戦争なのだ。
鈴はふと思い出す。
別働隊で指揮を執っていた彼のことを、
「そうだ、星空はどうしたんですか?」
レアンドロの顔がさっきとは別にもっと暗い表情になる。
「星空はぁ...、そのだな...」
嫌な予感。いや、ここまで来るとさすがにわかる。鈴にとってあまりにも信じたくない話だ。
「まさか...、未帰還なんて言いませんよね」
そんなことないと、嘘だと、信じたかった。レアンドロにそう言って欲しかった。鈴の心の中ではそう繰り返していた。だが、
「その通りだ」
レアンドロの答えは非情にも鈴が求めていた返答とは真逆の答えだった。頭の中を『嘘だ、嘘だ!!!』と信じたくない、否定したいと言う単語に埋め尽くされそうになった。しかし、こんな時にふざけて冗談を言うなんてものは、罰当たりなことであり、不謹慎な事だ。故にレアンドロが言っていることが事実であることは明確である。
「星空帰ってきますかね...」
細々とした声でそうつぶやく。
「それはわからん、だが星空はLOSTする直前まで戦闘してたようでな、もしかするとその時、戦闘していた敵機が結果を知っているかもしれない」
「でも、敵には聞けませんよ...」
鈴のその言葉にレアンドロは困った顔で、
「ダメだ、やっぱり俺には人を慰めるのは不向きらしい」
すまねぇ、という感じで後頭部をかく。
しかし、鈴にとってはそれだけでも十分な助けになったのに違いはない、鈴は心からレアンドロに感謝していた。だが、この男おそらく感謝を伝えると途端にカッコ悪くなる男なので鈴は心の中だけで感謝の気持ちを呟いた。
この数時間後、星空の機体から通信が送られてきたことにより、星空の生存が確認できたことを知った鈴は本人も考えていた以上の涙を流した。泣きながら艦内通信を使って星空と少しの間話をした。
後にそれを思い出した鈴はあまりの羞恥心のあまりベットの上で声にならない声を上げていた。
おはこんばんちは
どうも三富三二です。
最近は本格的な夏が始まった感じがじわじわとそして着実に私の体を溶かしていくように感じます。
そうです、夏の暑さに弱い男です。
本当は別のストーリーを投稿する予定でしたが色々込み合ってしまった結果少し私の中での考えていた順番が少し変わってしまったのですが、まあどうにかなったのでよし(えぇ)
今回も最低限ノルマである2000文字は確保してあるので大丈夫だです。
制作時BGM CHAGE and ASKA 「太陽と埃の中で」




