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二つの宇宙(せかい)  作者: 三富三二
16/29

-リミッターシステム-

遅れてすまぬ。

統一歴176年7月7日 病室?


白い天井が星空の目に映った。天井には黒い点のようなものがいくつもある、学校の音楽室などで見る消音機能のある壁のようなデザインだった。そういうデザインの物なのだろう。

「知らない天井だ...」




同日 日本海上防衛隊 横須賀基地


少し髭を生やした男が資料を片手に革張りの椅子にもたれながら呟いた。

「いつかは起動すると思っていたが、少し早い気もするな」

それに答える人物は立体的に空間へ映し出されたホログラムだ。

『自分もそれには同感です』

アドリアン・チャイコフスキだ。

「どうするんだね。あのシステムが起動したのはいいが、その起動した機体と共にそのパイロットまで行方が分からないとは...」

髭面の男は額に手を当てながら『困ったぞ』という素振りを見せる。

『現在全力を持って捜索していますが、通信を絶った地点は『アレ』に近い場所なので創作は難航してます』

「本当にあの島のような艦艇はどうにかならんのかね艦砲射撃もダメ、BB(バトルボット)や攻撃機の艦爆や艦攻も効果なし...。いっその事核でも落とすか?まあ冗談だがね」

艦艇に対しての核攻撃の有効性は過去のビキニ環礁でのアメリカが行った実験で結果は分かりきっている。そもそも協商軍は戦争での核爆弾の使用は全面的に禁止している。

「まあ、あの艦艇をどうにかすることも大事だが、今君たちの部隊が優先すべきはそのパイロットの捜索だ。」

それを聞いてアドリアンは敬礼を返した。


病室


この時星空は無視意識に近い状態だった。

その状態で星空は自分の機体であるグリードスを操縦していた。記憶も曖昧だがただ1つはっきりと覚えている事柄がある。

自分が人生で初めて撃墜(・・)されたのだ。

星空は今までに、訓練生の時も実戦の時も、1度たりとも撃墜、もしくは撃墜判定を受けたことがないのだ。アドリアン達のような実戦をいくつもくぐり抜けてきたエースとも幾度かシュミレーションをしたことがあるが、それでもタイムオーバーでの引き分けばかりで勝敗がはっきりしたことも無い。

「悔しいな...。それに、あれは怖いな...」

撃墜されたからこそ味わえる恐怖を星空は身をもって感じた。だからといってBBのパイロットから降りるかと言ったら話は別だ。

「気分はどうだね?」

「え...!」

星空は急に話しかけられ驚いた。

声の聞こえる方へ顔を向ける。

そこにはいかにも軍人ですよと言わんばかりの服を着た男がいた。旧ドイツ軍のナチス親衛隊の軍服のようにきらびやかなものだった。

「いつからそこに...」

星空はベットの上に拘束されているとはいえできる限りの臨戦態勢をとる。

「まあ、君が『悔しいな...』の辺りからかな、そんなに警戒しなくていいよ。拷問や尋問にかけるわけじゃないから」

男は両手を上にあげ、ヒラヒラさせていた。

「何が目的でこの星に来た」

星空の質問に迷いはなかった。

「Wow、話が早いね。まっ、話の早い人は嫌いじゃないけどね」

「その前に君の名前を教えてもらえるかい?」

「なぁ、俺たちの住む星にはな、名前を聞く時は自分から名乗るもんなんだ」

それを聞いた男は

「自分から名乗らないのは失礼に当たるのかな?」

「あぁ」

星空は短く答える。

「それは失礼した。私の祖国では礼儀を重んじる国なのでね。さっきのは訂正させてもらうよ。私の名はロイ・ブラウン大将だ。では改めて聞こう、君の名前は?」

にこやかな笑顔を見えながらロイ・ブラウンと名乗った男は星空に手を差し伸べる。握手を求めているのだ。

「平塚星空、少尉です...。握手を求めてるようですが、これでどうしろと...?」

固定されロイの手のある高さまで届かない手をできる上げ高く揚げ講義の視線を向ける。

「おっと、すまない今すぐ拘束をとくよ」

そう言ってロイは出口付近に待機していた女性を呼び付け星空の拘束をとかせた。

「これで握手ができる。よろしく平塚」

「よろしくお願いします、えーとブラウン...さん」

それを聞いたロイは

「ロイで構わないそれに敬語など必要ない」

そう言いながら今度はちゃんと握手を交わした。

「で、さっき言っていた私たちがこの星に来た目的だが」

「あぁ、そうだ。この星に来た目的はなんだ。植民地か、労働力か、それともこの星の資源目的か?」

星空は少し強めの口調で言い放つ。

「それも魅力的ではあるが、残念ながら全て外れさ」

そう言いロイは今自分たちの置かれた状況からなぜこの星に来たのかを語り始めた。



協商時間統一歴167年4月7日12:46

ロイヴィア連邦共和国首都 ジャンカル


この日もこの貿易の拠点にもなっている大きな港町ではいつもの時間が流れていた。

ある者は仕事に励み、ある者は友人と昼下がりの時間に楽しい会話をしていたり、そしてある者は想い人と愛を育んでいたり、ここジャンカルにはいつもの平和なひとときが流れていた。

だが、そんな日常をあるひとつの光が全てを変え、全てを消し去った。

この時のロイの階級は大佐だった。ロイはジャンカルにある海軍省の基地の地下にて部下と共に軍艦の武装の資料を閲覧してた。

長時間の職務で固まった体を伸ばし終えた時だ。

「ッー...。では、皆さんそろそろお昼にしま...!!!」

最後まで言う前に轟音と共に強い衝撃が地下に伝わってきた。

天井からは砂のようなものが落ち、電灯はチカチカと点滅していた。

地震とは違う揺れだった。

ロイは部下たちを連れて地下の出入口へと向かったが、出入口は瓦礫によって塞がれていた。

「どうします。ロイ大佐」

「外の状況が知りたいですね。崩落の危険もありますがこの瓦礫をどうにかしましょう」

瓦礫は思ったほど多くなかった、それにロイたちの部下だけではなく別のようで地下にいた兵士たち総出でこの瓦礫を退けためそう時間はかからなかった。地下からの脱出には成功したものの外に広がる景色はロイ達にとって地獄であった。

軍の建築物も含め周囲の建物はほとんどが吹き飛び、そして道には幾人もの人間だったものが身体中に大火傷をおった状態で転がっていた。息のあるものはまるで狂ったようにその場をのたうちまわり、川や海に飛び込み程なくして息絶えた。

軍艦の甲板は一部木で出来ているため炎を上げていた。それの周りにもぷかぷかと浮かぶ黒い物体がいくつもあった。

共に脱出し、その光景を見た兵たちのほとんどがその場で気分を悪くし嘔吐した。ロイも例外ではない。



ここまで聞いて星空の頭にはある言葉が浮かんだ。自分の生まれた地、日本だけに落とされたあの悪魔の爆弾を、

「核爆弾...」

気づいた時には既に口にしていた。

それを聞いたロイは。

「核爆弾なんてのもじゃない、ONC爆弾だ。核爆弾とは少し違う爆弾でね火薬量が増えれば増えるほど威力の上がる爆弾だ」



そして、この日からロイヴィア連邦共和国と大ジャンドロフ帝国との戦争が始まった。

新 年

あ!け!ま!し!て!

お!め!で!と!う!ご!ざ!い!ま!す!


年末は色々あり忙しくて投稿が遅れました。ですがこの物語を書くのは楽しいので頑張ってこれからも投稿していこうと思います。


え、短編がどうなったのかって...描き続けていたら止まんなくなって未だに書き続けてる...

え、完成の見通しはどうかだって...?

まだまだかかりそうですね。

ごめんなさい許してください何でもしますから。(何でもするとは言ってない)


では今回はここまで、最後まで読んでいただきありがとうございます。

おかしな点、感想などお待ちしてます。


制作時BGM 幽閉サテライト「コノ木葉隠レ~石~」

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