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■第05話 『融合した・・・らしい、僕』

■第05話 『融合した・・・らしい、僕』







「僕が死んだってどういうことだよ?」





僕の質問を大人しく聞き、 本はギョロっとした目で一度だけ瞬きをした。

そして、『ミチミチ』と不快な音を鳴らし、横に裂けた口を開く。





「うむ、主はサイクロプスの一撃で死んだのじゃ」



「・・・・は?いやいや。だから、こうして生きてるじゃないか?」



「そうじゃ、生きておる」



「そうだよ!だから、僕は今生きてるぞ!?大体、そのサイクロプスはどこにいったんだよ!?」



「サイクロプスじゃと?あやつなら、主の周りに飛び散っておるではないか」



「飛び散って?・・・・・・・うげっ!?」





僕は思わず地面を見た。





ネチャァ・・・・





足を上げると、不快な粘着音が聞こえる。

僕の裸足の足の裏には、肉片がこびりついている。



「おえぇ・・・」



内臓っぽいのとか、肉片っぽいのとか、なんだか色々散らばってるけど、これがサイクロプスだったのか。

見てるだけで気持ち悪くなってくる・・・





「うっぷ・・・ど、どうしてサイクロプスは死んだんだ?」



「主がやったのじゃ」



「・・・え?・・・僕がやった?」



「左様。といっても、覚えておらぬか?覚醒したてじゃからのう」



「ぼ、僕があんな化け物を殺せるわけないだろ!?何言ってるんだよ・・・」



「ふむ・・・・まあ、落ち着くが良い。結論から言おう」





本がクワっと目を見開いた。

僕の喉に唾液の塊が通り、『ゴクリ』という音を鳴らす。





「主は今、神の如き力を持つ『可能性を秘めた存在』となったのじゃ!フハハハ!」



「・・・・・・え?」



「フハハ。神という定義もまた、曖昧なものよのう」



「いや、何を言ってるのかサッパリ分からないんだけど・・・」



「ふむ・・・・まあ、簡潔に言うぞえ?主と我は融合した状態になったのじゃ」



「・・・はあ!?」



「我との融合が果たされた主は、我の力を『可能な限り』で使用することが出来るのじゃ」





融合したって言ったぞ・・・?

こいつと融合したっていうことは、つまり・・・・・





「それって、つまり・・・僕は化け物になったのか・・・?」



「いいや、人間のままじゃ」



「人間のまま?・・・・じゃあ・・・どうしてこんなことが出来たってんだよ!?」



「クハハ!その理由は、我との『契約』が成立したためじゃ」





——————『契約』!?

急にそんな単語が飛び出したので、僕の肩がビクっと上がった。

でも、本は気にも留めずに話を続けている。





「主は昨晩、我を手にしたであろう?」



「あ、ああ・・・・昨夜、お前は家のダンボールに入ってたよ・・・でも、

 僕はお前みたいな本を買った覚えがない・・・それに、契約書なんか書いた覚えもない」



「めぐり合う過程の段階では、主と我の意思は存在せぬ。これは『確率と運命』の関係性の話じゃ」





なんか、意味不明なこと言いだしたぞ?





「『確率と運命』って何だ?・・・お前の言ってることが、さっぱり分からない」



「む?そうか・・・今、主に説明しても詮無きことであったな。主の知能にも分かりやすく言おう」





本がため息を交えながら、僕をコケにしてきた。

なんか、すげー腹立つ・・・





「では、良いかの?主が我を手に取り、我の扉を開いた時点で、第一段階の仮契約が結ばれたのじゃ。そして、契約審査期間で主を観察し、主は我の審査をパスした。つまり第二段階を通過したのじゃな。第三段階にて、主が死したとき、『思念の消滅』を我が『もつれ』てつなぎ止め、融合を果たしたのじゃ」











・・・・ちょっといいかな?

・・・・・僕は黙って本の説明を聞いていたよ?

うん・・・・黙って聞いてた。









大きな鳩時計が頭に浮かぶ—————



鳩。

それは平和のシンボル。時計の針は12時を指す。

可愛らしい鳩たちが、時計の台座からチョコチョコと歩いて出てきた。

そして奏でられる歌。



ポッポー♪ポッポー♪ポッポー♪



—————和人の脳内で、鳩時計が鳴った









・・・・はっ!?

僕はどうしたんだ!?どっか違う世界に行ってた!?

まずい・・・こいつの言ってること、何一つとして分からない!!!

すごい難しい専門用語で説明されて、「はい、それでお願いします」って言わされる時に似てる。



・・・いや、ビビるな! 僕は流されないぞ!

『分からない』を恥じることなく、『強い消費者志向』で行くんだ!







・・・よし、ここは咳払いを一回して、落ち着こう。





「コ、コホン!・・・仮契約ってなに?」





僕は本にさり気なく聞き返したつもりだったが、

本の態度は明らかにおかしかった。諦めた感じの目だ。





「ふむ・・・今の反応で分かったぞえ・・・・恐らく、説明しても主には理解できぬ。これ以上は無意味じゃのう」



「はぁ!?」



「原始人に核爆弾の製造方法を教えても、理解できぬじゃろう?それと同じじゃ」



「原始人?・・・・ふ・・・ふざけるな!?人を馬鹿にするのも大概にしろ!」



「クハハ。そう熱くなるでない。細かい話はもう良いのじゃ。 最も重要なのはのう・・・先ほどの主への『問』じゃ 」



「え?・・・ああ、さっきの質問攻めのことか?・・・随分としつこかったな」



「うむ。あれこそが『契約』の最終認証・・・・言わば、印章が押されたという段階よ」









鳩、それは平和のシンボル——————



鳩時計の可愛い置物だった鳩が、リアルな鳩に変わり、

大空に向かって羽ばたいていった。



クルックー、クルックー、バサバサバサ!



——————和人の脳内で鳩が・・・



僕の脳内で鳩が羽ばたいていった・・・









「・・・・」



「む?どうしたのじゃ?急に黙り込みおって」





ムンクの叫びって、リアルにしたらこんな感じで叫ぶのかな?

とにかく、僕は叫んだ・・・・





「はぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!?僕、知らないでハンコ押しちゃったってことぉぉぉぉ!!?」



「クハハ!先ほどの『問』で主の理想を知り、我は主に決めたのじゃ。我も印章を押した。これにより、完全に契約は結ばれたぞえ」



「だ、騙してたのか!!?・・・ちっくしょおお!・・・・・ちくしょおおおおおおお!!」



「クハハハハ!まあ、言葉で説明できるのはこれくらいじゃろうて」


「畜生・・・・お前と融合したなんて・・・僕は、一体どうなるんだ?」



「クハハ!どうなるじゃと?実際に試せば良かろうて・・・・ほれ、後ろを見てみよ?」



化け物本が、僕の後ろを見つめながら、気持ち悪い笑顔をニンマリ浮かべた。









後ろを振り向くと、





「ギィィーーー!!」





100mほど先で、化け物が叫んでいた!









「な、なんだぁ!?あいつは!?」





サイクロプスとは違う化け物だ・・・・

まだ少し遠い距離に居るけど、こっちに向かってきている。

あの化け物もどっかで見たことある気がする・・・でも、今はそんなこと考えてる場合じゃない!





「お、おい!ど、どうすりゃいいんだ!?やばいぞ!」



「落ち着け。我を信じよ」



「我を信じよって・・・お前はさっき僕を騙したじゃないか!?お前の何を信じろっていうんだよ!?」



「その無意味な疑問を問う前に、先ずは生き残ることが先決じゃないかの?ほれ、来るぞえ」







「ギイイィィィーーー!!」





化け物が奇声を上げながら、走ってくる!

思ったより速いぞ。



さっきよりも距離が近づいてきている・・・!?





「ど、どうすればいいんだ!?」

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