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■第33話 『レンドの敗北』

■第33話 『レンドの敗北』




「行くぜぇぇぇぇ!」



レンドは、剣を腰より低い位置に構えながら、全力疾走している。

向かうは、麻袋の男。



「ウゥゥ~ゥゥ…」



男は迎え撃つように、再び手を翳し、『見えない何か』を放つ。

だが、レンドは臆することなく、突進を続ける。




「撃ってきやがった!?・・・でもよぉ!」




彼は一直線に突っ込みながら、『風魔法』を掌ったロングソードを、一気に振り抜く。




「ウォォォォ…ッラァァァァァ!!」



ボッフゥゥーーーン!!




『風同士』が『相殺』され、小さな台風が巻き起こる。

吹き荒れる気流の中、レンドは、立ち止まることなく走り続けた。




「なんだ、なんだぁ!?まぁた、同じ手っスかぁーっ!?」


「アウゥ~~・・・」


「そいつぁ、もう・・・きかねぇんッスよぉぉ!!」




麻袋の男まで、距離は5mほど。

男は、再び、ゆっくりと手を翳し始める。




「ウゥ~ッ…」




だが、レンドも悠長に見ている訳ではない。





「撃たせねぇっての!!」





『2発目を撃たせる前』に、レンドが一気に懐へと飛び込み、お互いに、2m程の距離まで迫る。





「へへっ!やぁっと、捕まえたぜぇ!!」





『接近戦』の距離。

レンドの『剣』が『男に届く』距離だ。





「・・・この距離は、おれ、強いっすよぉ?」


「アァ……ウゥ~ゥ…アァァ~ッ……」




接近戦に持ち込まれても、男に焦る素振りは無い。

またしても、ゆっくり『手の平』をレンドに向け始める。




「ったく。そんな暇あたえねぇっての・・・・」




レンドは、力強く一歩踏み込み、『長すぎるロングソード』を真横に薙ぎ払った。





「ウォォラァァーー!!」



ブオォォォンンッ!





尋常ではない速度の剣。

まるで『トップスピードのスーパーカー』が通り過ぎたような、空を切る音。




レンドの『鋭い斬撃』が男を捉える。





だが……





「・・・・なに?」





レンドの剣は空振りしていた。




「てめぇ・・・躱しやがったのか!?」




普通であれば、男が『剣を避けた』と考えるだろう。

しかし、レンドは異変を感じ取っていた。




『どういうことだ?俺の剣は、完全に野郎を捉えたはずだ・・・『避けられた』ってのも違う。まるで『居る位置』が『移動』したような感じだ』





彼は、ロングソードをチラリと見つめ、反射で剣に写り込んだ男の姿を見た。




「アウアゥ~~ゥ……アァ…」


「野郎・・・まだ、何か『術』を隠し持ってやがんな?」




まるで、最初からその位置にいなかったような『謎の回避術』。

レンドは『ギリリッ』と歯を食いしばり、男を睨みつけた。




『何をしてきたのか、分からねぇっ!ぜんっぜん!!分からねぇ!!!・・・でもよぉ・・・』




彼は深く腰を落とし、脚に力を込める。




「だとしてもよぉ・・・こいつは避けれんのかよぉぉ!?」




そして、『ドンッ!』と思い切り踏み込み、男に連撃を見舞った。




「うぉぉぉぉらぁぁぁぁ!」




その連撃は『とても』早かった。



瞬きする間もないほど。

…男が『何かの術』を使う間もないほどに。




「せいぃぃーーーっ!」




気合の雄たけびと共に、繰り出される連撃。

凄まじい速度で迫る無数の斬撃を前に、男が初めて受けに廻り始める。



ギリギリで剣を避け、必死にバックステップで下がる男。

下がる男を追いながら、連撃を繰り出し続けるレンド。




「やるじゃねぇか!?俺の剣を避け続けるなんてよぉ!!・・・でも、いつまで持つんッスかねぇ!?」


「アウゥゥ~ゥ…」




絶え間なく、彼は連撃で男を押し続ける。




「シッ!シュッ!シッ!!」




レンドは、口から小刻みに呼気を吐き出し、高速で剣を振る。

男は、術を使おうともせず、ひたすら剣を避ける。



攻撃と回避。

2人は拮抗した状態に思えた。



しかし、攻防が続いた状況に『ある変化』が生じる。

レンドの剣が連撃を重ねていくにつれ、次第に速度が上がっていったのだ。




「シッ!!シッ!!シュッ!!シッ!!!」


「アウゥゥ~…ウゥ…ウゥ…ウゥゥ~~~…」




男は、加速されていくレンドの剣を、段々と、避けきれ無くなっていた。





そして…





男に『一瞬の隙』が生じる。





バックステップで下がり続けた男の背中に、ドンッ!と通路の壁がぶつかったのだ。




「ウァァ~?」




垣間見えた勝機に、レンドの目が光る。




「それ以上、『後ろ』には下がれねぇぞぉぉ!!」




ロングソードを真一文字に薙ぎ払った。





「貰ったぁぁぁぁぁぁっ!!」





避けようが無い状況での、一閃。

コンマ数秒後には、男の動体は真っ二つになる。





はずであったが‥‥





ガキィィーーン!!





何も手に持っていなかったはずの男が、レンドの剣を受け止めた。





「て、てめぇ・・・それが『奥の手』かよ?」


「…アゥ……ウゥアゥゥ…」




レンドは、男の『手に』に注目していた。

一体『何』でレンドのロングソードを防いだのか。





男が手に持つ物。





それは…





『何も』持っていなかった。





持っていなかった、というのは少し語弊がある。

敢えて言うならば、男は『透明な何か』で、レンドの剣を受け止めている。




「へ~・・・すげぇな。なんだそりゃ?何を持ってんのか分かんねーけど、俺の剣を受け止めたってことは・・・差し詰め『透明な剣』って所か?」




レンドは余裕がある素振りを見せるが…内心では驚いていた。




『この野郎・・・見たことねぇ術ばっかり使ってきやがる。見えねぇが、これは『剣』だ。間違いねぇ』




目には見えない『透明な剣』を、レンドはジッと観察した。




『・・・分からねぇことだらけの相手だが、たった一つだけ、理解出来たことがある』




レンドのロングソードと、男の『透明な剣』。

2人は鍔迫り合いで、押し合っている。




「お前は、今、剣を出して防いでいる・・・他にも術があるのに使わねぇのは何故だ?」


「ウゥ…アゥゥ…」




レンドは、ニヤリと笑った。




「それは、つまり、『他の術』を使う『余裕』がねぇってことだろう?」


「アウゥ…アウゥゥ…」




ギリギリと押し合う2人だったが、やがて力の拮抗が崩れ始める。




「へへっ。すなわち、剣で戦うってことは・・・」




レンドの上腕二頭筋が、ビキッ!っと音を立て、倍の太さに膨らんだ。

尋常ではない筋力が、一気に男の『透明な剣』を押し込む。





「俺の『得意分野』で戦うってことだぜぇぇ!!」




ガキィィィン!!





レンドが、男の透明な剣を弾き飛ばし、ガラ空きになった胴体に向かって、剣を振り抜いた。





「これで・・・終わりだぁぁぁぁぁあ!!」





ブオォォォォン!!





ロングソードの、激しく空を切る音。

今度こそ、男の胴体が真っ二つになったと思われたのだが…





「ぐ・・・ぐぉ・・・・」





膝をついていたのは、レンドの方だった。




「て・・・てめぇ・・・何しやがった・・・?」




レンドの腹部から、血が流れ出している。

彼の腹には、500円玉くらいの穴が2つ、ぽっかりと開いていた。



膝をついたレンドに、男は容赦なく『透明な剣』で追撃してくる。




ガキィン!ギィン!




レンドは、瞬時に立ち上がり、下がりつつも『透明な剣』を受け流し、男と距離を取った。

彼の腹部からは、ぶわっと血が溢れ出ている。




『いてぇ・・・結構、深い傷だな・・・あの透明な剣。確かに、見えなくて厄介ではある。だが、手に持ってることに変わりはねぇ。だったら、見えなくたって『剣』を『防ぐ』ことは出来る・・・だが、問題は・・・』




距離を取るレンドに、男は透明な剣を構えている。

互いの様子を伺う2人であったが、やがて男が奇妙な行動を始めた。




「ウゥゥ~…」




左手の人差し指をレンドに向けたのだ。





そして…





ポンっ!ポフッ!




男の人差し指から、小さな音が鳴った。

まるで『ポップコーンが2粒弾けたような音』。



さっきとは違う『見えない何か』が発射されたのだ。

そして、レンドの左腕に『それ』が命中する。




ボッ!ボンッ!



レンドの左腕を穿つ音。

肉が弾ける小さな音。




「ぐぅ!?・・・・くっ・・・問題は・・・これだ・・・・」




彼の左腕には、小さな穴が2つ開き、血が『ピュッ』と吹き出ている。




『威力は最初に撃ってきた『何か』ほどではない。最初に撃ってきたのは、まるで『大きな壁』が迫ってくるような感覚だった。だが、今回のは『ものすごく小せぇ』』




レンドは腹部と左腕に開いた穴をジッと観察した。




『野郎、何を飛ばしてきやがったんだ?・・・この穴から見ると『小さくて丸いもの』を飛ばしたように見える・・・『これ』は避けれねぇ。完全に見えねぇし、飛んでくる気配すら感じねぇ・・・』




腹部と左腕に開いた小さな穴。


腹部の穴に至っては、塞いでいる右手を放すと、ドバっと血があふれ出てきてしまう。

範囲は小さいが、非常に深い傷である。


右手は腹部から放せず、左腕は破壊されてしまったレンド。

彼はまともに剣を持てず、構えは崩れ去っていた。




「・・・さっきも、その術で俺の腹を撃ったな?」


「ウゥゥ~…アウゥ~…」


「へへ・・・策士じゃねぇかよ?俺の左腕を狙って、完全に防げなくしたってことか」




動きの鈍っているレンドに、またも、男が人差し指を向ける。




「てめぇ、マジで何者ナニモンだ?・・それは風魔法じゃねぇ。何か違うモンだな?」




男の人差し指は、レンドの眉間を狙っていた。


言葉は通じずとも、男の雰囲気で分かる。

この『一発』で『勝負が決まる』ということだ。




「やべぇ・・・動けねぇかも・・・こいつぁ、ちょっと・・・やばいッス・・・」




そして、男の指から、ポフッ!と小さな音が爆ぜた。





レンドは……『死』を覚悟した。





『止めの一撃が来る!?・・・・・・俺は、死ぬ!?』





『見えない小さな何か』が、レンドの頭を目掛けて飛んでくる。





そして、次の瞬間……





ギィィィン!!





石礫が金属にぶつかったような音が響く。




レンドの前には、ジャレットが立っていた。

彼の頭を狙うと分かっていたジャレットが、『見えない小さな何か』を剣を盾にして弾いたのだ。




「無事か!?レンド!!?」


「た・・・・隊長?」




男は割って入ってきたジャレットを警戒し、様子を伺っている。

男から視線を逸らすことなく、ジャレットは背中越しにレンドに話しかけた。




「すまん・・・もっと早く加勢するべきだった」


「謝らないでくださいよ・・・こうなっちまったのは、俺自身のせいなんですから・・・・・・ホントに、すんません」




レンドは、うっすらと悔し涙を浮かべていた。




「畜生・・・・畜生!!・・・負けた・・・俺、負けちまった・・・・王国4騎士長の俺が・・・畜生・・・すまねぇ。皆・・・・」




振り返ることなく、ジャレットは小瓶をレンドに後ろ手でポイっと投げる。




「・・・・それを飲め。さっき診療所でマリーから貰った、特性ポーションだ・・・・今、手持ちの、最後の一本だ」




受け取ったポーションの小瓶が、涙で滲む。

背を向けたまま、レンドに向かってジャレットが言葉を続けた。




「生きていれば、誰もが敗北を経験する。生きる道が『剣』だろうが『魔法』だろうが・・・例え『商売』だろうが、誰でもだ。だが、重要なのは、心折れぬこと。再び立ち上がること・・・生きてさえいれば、また、挑める。また立ち上がれば良いだけだ。だから・・・」




首を軽く後ろに回し、ジャレットはレンドの目を覗き込んで、フッと笑った。




「気にすんな」


「・・・ありがとう・・・ございます・・・隊長」




グイっと涙を拭い、瓶のふたを開けると、レンドは一気に中の青い液体を飲み干した。




「んぐんぐ・・・はぁ・・・助かったッス~~・・・」




腹部と左腕の出血が緩やかになり、傷口も少しずつ縮小されていく。

ジャレットは男と睨み合ったまま、背を向けているレンドに尋ねた。




「その傷だ。ポーション一個じゃ、全快とまではいかんだろう。だが・・・まだ戦えるか?」


「なぁに言ってんスか?全然、動けますよ。俺と隊長が2人掛かりで行けば、倒せますって」


「いや。無理はするな。俺がメインで戦う。ポーションで傷が癒えるまで、援護に廻ってくれ」




レンドはゆっくりと立ち上がり、ジャレットの隣に立った。




「了解ッス・・・隊長」


「よし・・・行くぞぉぉ!!?」




2人は剣を構え、男に向かって走り出す。




「っしゃぁ!第2ラウンドと行きますかぁ!!」


「レンド!!お前は左からだ!俺は正面から行く!!」




ジャレットとレンド。

そして、麻袋の男。


2対1の『戦い』が始まった。



「ウオォォォォォラァァァァ!!!」


「セァァァァ!!」






3人の戦いをベリアルは眺めている。



最初はレンドの善戦ぶりに、彼は何故か喜んでいた。

だが…『レンドの敗北』を見届けた途端、彼は表情は落胆したものに変わる。




「やはり、期待外れでしたか・・・・噂に聞く『4騎士長』でも、この程度だったのですね」




彼は、ジャレットが加わった『2対1』となった戦いには、最早、興味を示していなかった。




「あの程度では、騎士が1人増えたところで、結果は変わりません・・・もう、お終わりですね」




戦いを眺めることも止め、ベリアルがくるりと踵を返した。

そして、彼は驚くことになる。



ベリアルの目に写り込んだのは……





「・・・え?」




自分の『懐に入り込んだ』、拳を握りしめている『和人』だった。




「うおおおおおお!!」




和人は右ストレートを、ベリアルの顔に向かって放つ。



それは……『奇襲』だった。

和人の右拳が、ベリアルの顔面を捉えそうになっている。



「喰らえぇぇぇぇ!!」



迫る和人の拳が、ベリアルに当たる直前‥‥


彼は笑った。

その笑いは、今までの機械的なものとは違っていた。




「・・・ぷっ・・・・あっはははは」




滑稽なものに対する、侮蔑の笑いだった。

彼は、和人の拳をパシン!と、軽く叩き落としてしまった。




「何ですか、これは?・・・まさか『奇襲』ですか?」




拳を受け流され、和人の姿勢がよろめく。




「くっ・・・!?」


「こんな幼稚な『奇襲』は見たことがありません・・・いいえ。奇襲にすらなっていない。ただの『愚行』です」




ベリアルは、姿勢を崩した和人を、冷ややかに見つめている。




「あなた・・・愚か者ですか?」




『奇襲』は失敗に終わった。



だが……和人は失敗したなどとは、微塵も思っていない。








――――奇襲前、和人たちの会話にて。



アモンは、和人たちに策を伝えていた。



「討つべき相手は『麻袋の男』ではない・・・『ベリアル』じゃ」


「どうして?アモンちゃん。ジャレットたちが戦ってるのは男の方よ?あいつをやっつけないの?」


「そこまで説明しておる暇はない・・・和人よ。主ならば分かるはずじゃろう?この策の意味が」



ミルとゴーフレットは、アモンの言葉を理解できず、眉を顰める。

だが、和人だけは違った。



「奴らは・・・我らと『同じ存在』じゃ」



和人はその意味を知っている・・・彼らは、自分たちと同じ存在。

恐らく『男が契約主』であり、ベリアルがアモンと同じ『人間ではない者』ということを。



「あ、ああ。分かったよ・・・・ベリアルを『狙え』ば良いんだな?」


「うむ。では、策を言うぞ。ベリアルを狙う策。それは・・・『奇襲』じゃ」




アモンの提案は『奇襲』。

『時を止める』でもなく『妙な能力』を使うでもなく、思いのほか正統派な策である。




「奇襲・・・なのデス?」


「そっか!あいつ、今なら隙だらけだもんね。ジャレットたちが頑張ってる間に、ベリアルを後ろから、ぶん殴っちゃえばいいのね!?」


「そういうことじゃ・・・・じゃが、問題がある」




アモンは親指の爪をカリっと齧った。




「・・・奴には、奇襲など『通じぬ』のじゃ」




和人はその言葉を聞いて、呆れ気味にアモンに尋ねた。




「はぁ?・・・通じないのに奇襲するのか?意味わからないぞ・・・・」


「和人よ。『奇襲』という策の概念を知っておるか?」


「それくらい知ってるよ・・・『相手の不意を突く行為』だろう?」


「その通りじゃ。『相手』の『不意』を突く。『不意』とは『警戒が無い状態』を指すことじゃ。つまり、『警戒が無い状態』は『最初の一度』だけ。『最初の一撃』が失敗すれば、それで終わりじゃ・・・じゃが、奴に『不意』などは存在せぬ」



アモンの説明は矛盾だらけである。

和人たちは戸惑いながらも、アモンに疑問を返した。



「不意を突けない相手に、奇襲ってどういうことだよ?全く道理が通っていないぞ」


「わたしにも分からないわ・・・ねぇ、アモンちゃん。それって、絶対失敗するってことじゃないの?」




彼らの疑問に対し、アモンは驚くべきことを言い出す。




「そうじゃな。失敗するじゃろう」




それは、ますます、混乱する言葉だった。

『失敗する』と肯定しきったのだ。


和人は、すっかり呆れ果ててしまった。




「失敗するのに、やるのか!?だから、それ意味分んないって!」


「落ち着くのじゃ。話は最後まで聞くがよい・・・・奴にとって無警戒という状況は起こり得ぬ。今もあらゆる事象を想定し、迎撃方法、ひいては逃走経路まで計算しつくしておるじゃろう」


「それは分かったよ・・・だから、絶対失敗するって言ってるんだろう?」


「そうじゃ。奇襲とは、警戒の無い状況でしか成立せぬ・・・なれば」



アモンがクワっと目を見開く。



「奴が『無警戒』になる『状況を作り出せば良い』のじゃ」




――――――――――





和人の拳を軽々と叩き落とし、ベリアルは冷めた目で見ている。



「・・・何という愚かな人だ・・・わざわざ、死ににきたのですか?」





和人はある台詞を思い出していた――――



『良いか?和人。最初の一撃を、上手く『失敗』するのじゃぞ?・・・この策は主に掛かっておる。奇襲の全てが『それ』から始まるのじゃ』



――――アモンが言っていた言葉だ。




冷ややかに笑うベリアルを前に、和人は呟いた。




「よし・・・成功したぞ・・・」

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