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生産職の正しい暮らし方  作者: 白黒
反逆者の楽園
6/11

第6話 覚悟

暫く投稿遅れます。

(ドラゴン)と対立したオレ逹だが、勝てる光景(ビジョン)が全く浮かばない。

先程放ったブレスで、MPが少し消費されていたが、今は高速で回復されている。そして、この(ドラゴン)の職業は<拳闘士>。恐らく近接戦の方が得意なのだろう。それなのに、遠距離攻撃のブレスであの威力。いったい拳はどれ程のダメージをくらうのか想像もつかない。


「やってやるよ!!」


オレは自分にカツをいれる為に、そう叫んだ。そして、ミデンと氷大狼(アイスウルフ)に指示を飛ばした。


「ミデンは接近して(ドラゴン)の腕に触れないよう攻撃!氷大狼(アイスウルフ)はミデンを乗せて、攻撃の援護!」


そう言ってオレ一人だけ氷大狼(アイスウルフ)から飛び降りる。足をクッションにして、地面に着地した。

オレが飛び降りたのを確認すると、氷大狼(アイスウルフ)はミデンを乗せて、全速力で(ドラゴン)に向かって駆けて行く。


そうはさせまいと、(ドラゴン)は喉を膨らませ、もう一度ブレスを吐き出そうとしている。

だが、これを止めるのはオレの仕事だ。風属性魔術で矢に風を付与し、それを使い弓を最大限引き絞る。


ーーー


《風付与》スキルを獲得。

《無詠唱》スキルを獲得。

《無詠唱》スキルのレベルが上がりました。


ーーー


何やらログが流れているが無視だ。全力で引き絞って放つ矢を、(ドラゴン)の鼻先に狙いを定める。


手を離すと同時に、矢は疾風の如き勢いで放たれた。放たれた矢は、狙っていた鼻先に寸分違わず突き刺さる。


意識外からの痛みに、(ドラゴン)は堪らずブレスを中断した。(ドラゴン)が此方を睨み付けているが、知ったことではない。

そこに漸く、ミデン逹が(ドラゴン)の足元に到着したようだ。ミデンは氷大狼(アイスウルフ)に股がり、全速力で(ドラゴン)の足を切りつけようと駆けて行く。


(ドラゴン)もそちらに気付き、足を振りかぶって蹴りだした。空気を切り裂くかように、高速で迫ってくる足を、氷大狼(アイスウルフ)は間一髪で避け、ミデンはその隙を逃さずすれ違いざまに切り着ける。


「グァアアア!!」


『絶対切断』の効果は伊達ではなく、切りつけた鱗とその奥にある皮が深く切り裂かれていた。

(ドラゴン)は久し振りに痛みを与えられたようで、大袈裟に痛がっている。


「隙だらけです!」


ミデンはそこに、更に追撃を加えた。先程とは反対の足に、もう一度同じように切り着ける。(ドラゴン)も学習したのか、痛みをこらえて構えを取る。


構えを取った(ドラゴン)は、デカブツとは思えない程の素早いパンチをミデンに放った。

ギリギリで避けたミデンだったが、拳圧によって生み出された風によって、10m程吹き飛ばされてしまった。レベルが上がり、頑丈になっているので、それほどダメージは食らった様子は無いが、ミデンと氷大狼(アイスウルフ)のHPバーはグングン減っていた。

恐らく、アクティブスキルによる何かしらかの効果だろう。


オレは一度、ミデン逹に退却を命じる。戻ってきた一人と一匹にエリクサーを掛け、全回復させる。すると、かけた液体は光状になり、ミデン逹に吸い込まれていった。

どういう構造か興味が尽きないが、今は目の前のモンスターを倒さなければ、後先が無いので、また今度にしておこう。


そんな事は置いておき、この状況を打開出来るアイテムは限られている。そして、どれ程の効果を発揮するのかも不透明だ。


現状、森へは(ドラゴン)のブレスで崖とかし、行くことは出来ない。唯一の逃げ道は草原へと絞られる。だが、あそこを通るには(ドラゴン)を掻い潜る必要があり、逃げたとしても見晴らしの良い草原なので、すぐ追い付かれる事になるだろう。


だが、取れる手がそれしか無いことも、また事実。


オレはミデン逹に、ある(・・)作戦を伝える。



◇◆◇



「ッッそれではマスターが!」


ミデンは言葉にならないような声で、そう叫ぶ。氷大狼(アイスウルフ)も心配そうに此方を見つめる。

だが、ここでオレが折れる訳には行かない。それでは誰も助からないのだ。


柔らかい笑みを浮かべて、なるべく優しい声を出して伝える。


「心配ないよ、自分の主人を信じてくれ。」


ミデンと氷大狼(アイスウルフ)を真っ直ぐ見つめて、そう言った。

ミデンは何も言い返す言葉が浮かばないようで、不安そうな目で此方を見つめる。

オレは少し背伸びをして、ミデンの頭を撫でた。

それだけでミデンは安心したように、身体の力を軽く抜く。


氷大狼(アイスウルフ)、ミデンを頼んだぞ。」


「ッワウ!」


氷大狼(アイスウルフ)は尻尾を激しく振りながら、任せろと言わんばかりに吠える。これなら安心だ。

ミデンのワンピースの裾を噛み、崖の方へと引っ張る。


終始、心配気な様子でオレの事を見ていたが、覚悟を決めたのか、決意を秘めた目でオレにせめてもの応援(エール)を送る。


「どうか御無事で!」


「勿論だ。それでは作戦開始!」


ミデン逹は精一杯の返事を返すと、崖の方へ駆けていった。


「さて、オレも覚悟を決めないとな……。」


オレはストレージから風精霊の髪飾りを取り出す。

髪飾りなんてつけたことがなく、分からないが、適当に邪魔な前髪を横にずらす為に取り付ける。


「さて、本番はこれからだ……!」




春休みの宿題は終わってるけど、学校復帰してからの実力テストはやりたくない。

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