少女が見つけたもの2
「あー、ケイ!やっと来たかぁ!遅いじゃねぇか!あのな、話があるんだけどケイにハルは似合わないと思うんだが…ん?ハル?」
ゴートが1人待つ畑に、誰かが向かってくる人影が見えたのでそう声をかけるが、明らかに速い。速すぎる。日本でいう特急電車のようなスピードで向かってくる人影は身体能力を魔法で強化したハルであろう。
「あ、ハルかっっグフォォッッ」
ゴートがそう気づいた時にはハルはすでにゴートのもとにたどり着いて、そのまま彼に抱きついた。
「どうしたんだよ、ハル…ん?ハル…?」
明らかにいつもと違う様子でゴートに抱き着くハル。すぐに異変に気付いたゴートはハルに事情を聞いた。
「そうか…1人で辛かったな、今から大人たちで見てこよう。ハルは家で休みなさい。」
「ううん、私もいく、どんな人ががいるか危険だし…道案内がいないと時間かかるでしょ?臭いだって消しちゃったし…」
ありがとなと言って父親は娘を抱きしめる手に力を入れる。
(強い娘に育ったな…)
我が子の成長を実感した父親は少しウルっときたが、すぐに村中の大人たちを呼びにいく。それは逞しい男の背中だった。
「こりゃぁ、ひでぇなぁ」
「けれども、村の奴はこんなことしねーよ」
「あぁ、きっと外部の奴の仕業だろうなぁ、相当ヤバい奴が近くにおるかもしれん」
「ならばすぐに村のみんなに伝えて、女子供はなるべく家に出さないようにしよう。」
村の大人たちは死体の山を見て次々にそう言った。
「ところでハル、ケイはどうしたんだよ、狩りに行く前に別れたとしてもこっちに来る時に合わなかったのか?」
ゴートはハルにそう尋ねる。
「え…パパのところ行ってないの…だって朝は反対の森でちょっと会話したらすぐに別れて…」
そうして2人は顔を青くした。
「パパ!!ケイ君が危ないかもしれないっ!!」
「あぁ…この事件の犯人のことは何もわかっちゃいない…猟奇殺人に手を出さないとも言い切れない、すぐに探そう!!」
「俺たちも手伝うぞ、ケイ君を助けなきゃな!」
そう言って村人たちは必死になってケイを探し始めた。
しかし夜までケイが見つかることはなかった。